第4話 決意の灯

蒼は図書館に戻ると、由香が静かに微笑んでいた。


「……ありがとうございました」

由香の瞳には確かな光が宿っている。


紗夜が静かに蒼の肩に手を置いた。

「どうだった?」

「……すごかったです。本当に、記憶って……鮮やかで、生きてるんですね」

「そう。人の心に触れると、世界がこんなにも広がる」


蒼はふと、図書館の奥に揺れる影を思い出す。

——妹の面影。


まだ答えは見えない。

だが、恐怖や戸惑いを超えて、蒼は決意していた。


(俺も……ちゃんと向き合おう)


図書館の灯りが、蒼の胸の中で小さく揺れた。

それは恐怖を抱えながらも前に進む、彼の決意の灯だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る