Beasty Girls ~こちら公安局魔法少女課~
桜久
第1話
第1章 いつもの土曜日、いつもどおり
5月中旬の快晴の土曜日。都立中学校の2階の教室で、あたし、中学2年の上井京子は席に着いたまま窓の外を見ていた。
この日の最後の授業である4時限目が終わり、ホームルーム待ちの休み時間。
今日は第三土曜日で部活動が全面的に休みの日だ。
もっとも、帰宅部のあたしには部活動の休みは関係なく、それに加えて特に親しい友達もいないので教室内の喧騒を聞きながら窓際の席で外を見ている。
ホームルーム開始のチャイムと同時に担任の中年男性教師が教室に入って来て、持っていた紙の束を教卓に置く。
「よーし、じゃあまず、この前の中間テストを返すぞ。」
そう言うと教師は数学のテストを返却し始め、自分の名前が呼ばれると、あたしも立ち上がって教師の前に行く。教師はあたしにテストを返す前に、一瞬、妙な顔をした。
「上井は、いつも84点だな。他の科目もほとんど84点だし。狙ってやっているのか?」
思わず顔が引きつるが、すぐに小さく首を横に振る。
「そうか。」と教師は言うとあたしに84点のテストを渡し、それ以上は何も言わずにテストの返却を続ける。
あたしは自分の席に戻りながら、ちょっとだけ冷や汗をかいていた。
本当ならば全科目満点か98点くらいは取れるのだが、ある出来事を境に、あえて間違えて平均程度の84点を取るようになってしまった。
小学生のときは何も気にせず、すべてに全力を出して、あたしは勉強も運動もトップクラスだった。そして顔立ちも整っているあたしは、男女問わずに人気者だった。
しかし、ちょうど小学5年生になった頃から、あたしはクラスの一部の女子に嫌われ始め、彼女たちから思い出したくも無い嫌がらせを受けて転校した経緯がある。
いや、「嫌がらせを受けて転校した」というのは不正確だろう。
実際には、あたしに嫌がらせをしていた女子を階段から突き落とした、との濡れ衣を着せられて、加害者としてあたしは転校させられたのだ。
単純に、あたしに嫌がらせをしていたグループのリーダーの女子が移動教室のときに階段を踏み外して、何段か滑り落ちた。その時、階段の上の少し離れたところにあたしがいた。
その場には、あたしとリーダーのみ。リーダーは、あたしに階段から突き落とされたとのウソ話を担任の教師に言いつけた。
教師はどちらの主張が事実か分からなかったが、おそらく、あたしの主張を信用してくれたのだと思う。教師は特にあたしを責めず、とりあえずケガが無かったし、これからは仲良くするように、とだけ言ってその場を収めた。
ところが翌日に事態が急転する。リーダーの女子の祖父が区の権力者で、その祖父が、孫娘が階段から突き落とされて殺されそうになったと警察に乗り込んだのだ。
最終的に警察の人と校長や担任の教師、保護者が話し合い、あたしは転校することになった。
話し合いの場にあたしとリーダーの女子は呼ばれていない。大人だけの話し合いから帰ってきた母は悲しそうな顔で、ポツリ、ポツリと話し合いの様子を話してくれた。
そもそも、それは話し合いと呼べるものではなく、リーダーの女子の祖父が、孫娘が間違ったことを言うはずがない、突き落とされたのは事実だ、あたしを少年院に入れろ、とひたすら主張していたという。
警察や校長を含む周りの人は誰も逆らえず、ようやっと、あたしを転校させることで決着がついたそうだ。
あたしは驚いて、自分は突き落としてなんかいない、あの子が嘘をついているんだ、と大声を出した。
そうしたら母は、あたしを抱きしめて泣き出した。
「分かってる。ごめんね。お母さん、負けちゃったよ。」と。
小学5年生のあたしでも、それで何となく何が起こったのか分かった。嫌がらせリーダーの女子は、いつも自分の祖父が偉くて金持ちであることを自慢していた。
その一方、あたしの母はシングルマザーで、パート勤務であたしを育てている。
どちらが正しいか、ではなく、弱者は強者に勝てない、という世の中の仕組みに、あたしと母は負けたのだ。
そんな苦汁を舐めた経験もあり、今のあたしは妬みや嫉妬を受けぬよう勉強も運動も平均程度のフリをしている。
髪型も目立たぬように無難なセミロング。整った顔には、わざと黒ブチのダテ眼鏡をかけて前髪で顔を隠すようにしている。学力、運動、容姿、すべてが普通程度で特に目立たず、特に仲の良い友達も作らず、無難に学校生活を過ごすこと。それが弱者の生きる道だ。
「テストがいつも84点」との教師の一言から嫌なことを思い出してしまった。そして、いつのまにかホームルームは終わった。
「よーし。先生も今から休みなんだ。部活が無いからって変なことはするなよ。問題を起こして、先生が呼び出されるのは勘弁してくれな!」
はーい、と生徒たちは笑いながら返事する。この担任教師は割と物事をはっきり言うタイプで生徒に人気はある。あたしも別に嫌いなタイプの教師ではない。
生徒たちの返事に満足した教師は足早に教室を出ていき、生徒達は仲の良いグループで集まり出して、この後に何をするかを話し出す。
そんな輪の中に入るつもりの無いあたしは、カバンの中に教科書やノートを詰め込むと目立たぬように生徒たちの間を抜けて教室を出る。
今週も1週間、無難に過ごせた。そう思いながら下足箱に向かっていくと反対側から別のクラスの女子生徒が3人、体操服姿で歩いて来た。
「あ。上井さん。」
そのうちの1人、ショートヘアの女子が可愛らしい仕草であたしに手を振ってくる。
あたしは作った笑顔で小さく手を振って通り過ぎようとするが、ふと気になって声を掛けて来た女子生徒に尋ねる。
「あれ? 今日は第3土曜日だから、部活は全部休みじゃないの?」
「うん。ただ、明日にバレーボールの大会があるから、少しだけ自主練するんだ。」
「そうなんだ。頑張ってね。」
「ありがとう。」
その子はちょっと意味ありげな目線をあたしに送り、仲間と一緒に体育館に向かっていく。あたしは立ち止まったまま、その子の後ろ姿を見送る。
「可愛いんだよな。」
小さな声で呟くと、あたしは下足箱に向かう。
地味なメガネや前髪で顔を隠していても顔立ちは完全には隠せない。なので、あたしは男女を問わず多少はモテてしまう。
あの子は、今年のバレンタインデーにあたしにチョコを渡してくれた女子の一人だ。
彼女は冗談めかして「上井さんは、クールでかっこいいから。」と言って笑顔でチョコを渡してくれた。
ただ、チョコを渡す手が少し震えていたのを覚えている。受け取ると、そのまま彼女は真っ赤な顔であたしに告白してくれた。
正直、彼女はあたしの好みのタイプであった。そのまま喜んで告白を受けたい衝動にかられたが、ギリギリのところでその感情を押し殺した。
「ふう・・。」
当時のことを思い出し軽いため息をつくと、あたしは下足箱から靴を出す。
「もったいなかった、かな。でも・・。」
同じ学校の女子と付き合うような目立つことをしてはいけない。彼女は彼女でモテるタイプだし、弱者のあたしが彼女と仲良くしていたら色々と後ろ指を指され、嫌がらせをされることだろう。
結局、あたしはその場で彼女にチョコのお礼を言ったのみで、その後の彼女は何も無かったかのようにあたしに接してくれる。
「本当に良い子なんだよなあ。」
このまま中学を卒業して大人になったら、おそらく「あの時に付き合っておけば」と後悔する気もする。そもそも中学生の女の子とイチャイチャできるのは、自分が中学生である今だけの特権とも言える。
そんなことを悶々と考えながら校舎を出て校門に向かっていくと、1人の小さな女の子が校門の外に立っているのが見えた。
「ん・・・? 何だろう、あの子・・。」
小学3年か、4年生くらいと思われる黒髪ロングヘアの女の子で、なぜか黒のゴシックロリータのドレスを着ている。この中学校に通う誰かの妹だろうか。
珍しい恰好だが、ジロジロ見るのもお行儀が悪い。
あたしは目線を向けないようにしながら校門に近づいていく。ちょうど門を過ぎたところでゴスロリの女の子が、あたしに向かって小さな声で「こんにちは」とお辞儀をして声を掛けてきた。
目を向けると、色白でまるでお人形のように可愛い女の子だ。だが、見覚えは無い。
なぜ挨拶をされたのか不思議に思ったが、あたしも笑顔で「こんにちは」と会釈する。
その少女は、あたしに挨拶を返されたのが嬉しいのかとてもいい笑顔をする。
可愛いな。そう思った瞬間に誰かに肩を叩かれた。
「ごめんね。ちょっと付き合ってもらえるかな?」
見ると、20代半ばと思われる紺色のスーツを着た綺麗なお姉さんだ。それはいいのだが片手で警察章をヒラヒラと振っている。
そしてお姉さんの横には黒いスーツを着た鋭い目の女性。先ほどのお姉さんよりも若そうだが、こちらも警察章を手にしている。
「え? あたし、何かしましたか?」
普段は冷静沈着なフリをしているが、あたしは思わず大きな声を出す。
最初に声をかけてきたお姉さん系の女性警官は「だって、あの子が見えるんでしょう?」と言って、ゴシックロリータで身を固めた少女を指さす。
何を言っているんだという顔をしながら、あたしは頷く。
「変身した魔法少女が見えるということは、あなたも魔法少女よね?」
え?
「さ、行こうか。」
もう一人の鋭い目をした軍人のような女性警官があたしの腕を掴むと、近くに停車していた灰色の乗用車の後部座席にあたしを押し込む。
あたしの隣にお姉さん警官が乗り込み、ゴスロリの少女が助手席に、軍人警官が運転席に座ってエンジンを始動する。
マズい。よく分からないが、このままどこかに連れ去られるようだ。何とかしないと・・。
「待って! あなたたち、本当に警察?」
最後の抵抗とばかりにあたしは声をあげる。警察章は見たが、魔法少女がどうこう言っていた。どう考えても怪しい。
運転席の軍人警官はちらりとあたしを振り返ると、無言のまま運転席のダッシュボードのボタンを押す。ボコン、とクルマの屋根から何かの音がした。
そして、軍人警官がアクセルを踏み込んでクルマが発進すると、パトカーのサイレンが鳴り響いた。
「これ、覆面パトカー。信用した?」
良い匂いのするお姉さん警官があたしにニッコリとほほ笑んだが、あたしは引きつった笑いしか浮かべられなかった。
第二章 パトカーの車窓から
少し走ったところで、お姉さん警官が軍人警官にサイレンを止めるように指示した。そのまま覆面パトカーは一般車両に混じりながらどこかに向かっていく。
どこに向かっているのか尋ねようとしたところ、隣に座っているお姉さん警官がバッグからペンと手帳を取り出して、あたしに質問をしてきた。
「さて、お名前は上井京子さん、で良かったよね?」
何で名前を知っているのだろう。不審そうに見るあたしにお姉さん警官は、にこりと笑う。
「メガネをしているから最初は気付かなったわよ。でも、度が入っていないわね、そのメガネ。」
さすが警察官。鋭い。
「オシャレしているのかな? それとも、変装?」
「まあ、オシャレ、ですかね。」
そう言いながら、あたしはメガネを外すとカバンから取り出したケースにメガネを収納する。
「うん。メガネを外した方が可愛いよ。」
お姉さん警官は人懐っこい笑顔を浮かべてメモ帳に書いてある文章を読み上げる。
「上井京子さんは、中学2年生で14歳。工場勤務のお母さんと区営団地で2人暮らし。学業及び身体能力は平均程度。合っている?」
「合っています。」
「オッケイ。それで、っと。」
お姉さん警官はシートに深くもたれると、あたしの目をじっと見てくる。
「先週の土曜日夜。K町3丁目の路上で、強制わいせつの常習犯、まあ、いわゆる変質者が刃物と一緒に倒れて気絶していたんだけど。この変質者を殴って倒したのは上井さんね。」
「あー・・・。」
あたしは声にならない声を出す。何かもう、すべて調べられているようだ。あたしは大人しく白状する。
「男の人に刃物を突き付けられて、腕を掴まれた瞬間に反射的に殴ったら、その人が滑って転んで。でも、正当防衛で・・。そのまま、逃げちゃったのは悪かったですけど・・。」
「大丈夫。別に傷害罪とかで事情を聴きに来たわけではないから。それより、男を殴った時に着ている服が変わらなかった?」
どこまで知っているんだ、と思いながら、あたしは正直に言う。
「確かに、その時に自分の服が変わっていたように思えるんですけど。あれって、あたしの幻覚とかじゃなくって・・。」
お姉さん警官が微笑みながらあたしの肩に手を置く。
「幻覚じゃない。たまにいるのよ、魔法少女に変身する女の子。数万人に1人くらいかな。」
あ、そうなんだ。
「・・って、魔法少女? あたしが?」
「ええ。たぶん、変質者に襲われそうになって覚醒したんでしょうね。おめでとう。」
おめでとうと言われる理由がよく分からない。
「でも、魔法少女と言われても、魔法は使えませんでしたけど。」
「男を殴る瞬間、手から火や雷や、氷とかは出なかった?」
「出ませんでした。」
うーん、とお姉さん警官は考え込む。
「でも、服が変わったということは魔法少女に変身したはずなんだけど。どんな服だったか覚えてる?」
とても奇妙な恰好だったので今でも鮮明に覚えている。
「迷彩柄のショートパンツとスポーツブラ。おへそが出てて、なんかキックボクサーみたいな恰好でした。それから、黒のショートブーツに黒い皮手袋。」
お姉さん警官はちょっと目を丸くする。
「珍しいわね・・・。まあ、魔法少女の恰好は、その人の深層心理が反映される、って言われているし。そういうのも、あるのかな。」
あんな露出の多い恰好が、あたしの深層心理?
「ところで、変質者を殴った、ということだけど、上井さんは何か格闘技をやっているの?」
あたしは首を横に振る。
「毎日、自家製のサンドバッグを殴ったり蹴ったりして、筋力を鍛えているだけです。」
へえー、とお姉さん警官は目を丸くする。このお姉さん警官はかなり表情豊かにリアクションしてくれて、なかなかに聞き上手だ。
「あと、変質者を殴った後に、何かグロテスクな生き物が出て来なかった?」
言われて少し考えて思い出す。
「その人が倒れたあと、首筋からハムスターみたいなものが出てきて、あたしに飛びついて来ました。」
「ハムスター?」
「ええ。黄金色のキレイなハムスター。でも、羽が生えていたような気が・・。」
思い出しながら話すが、よく考えるとハムスターに羽が生えているわけがない。
「そのハムスターも両手で受け止めようとした瞬間に、光って消えちゃったんです。」
「その時も火とか電流とかは、手から出なかった?」
「出ませんでした。」
「そっか・・。その後は、現場から逃げちゃった、って感じ?」
「はい。慌てて逃げて。気づいたら服も元に戻っていました。」
「うーん・・・。」
お姉さん警官は両腕を組みながら考え込む。
「魔法が出なかったとすると。上井さんはパンチやキックなどの、自分の物理攻撃を魔力でパワーアップさせる魔法少女かもね。かなり珍しいわ。」
珍しいと言われたが、魔法少女というだけでそもそも珍しいのではなかろうか。
「あと、変質者を倒した後に出てきたハムスターだけど、それは魔獣ね。」
マジュウ?
「・・・・マジュウって、何ですか?」
「魔獣はね。悪人に取り憑いて、悪人をさらに凶悪化させる、魔のケモノよ。」
「はあ。」
「その変質者もハムスターみたいな魔獣に取り憑かれて犯行を繰り返していた。で、上井さんに殴られて、取り憑いていた魔獣が出てきて、魔獣は上井さんの魔力で消滅した、と。」
「あたし、ハムスターには何もしていませんよ。両手で受け止めようとしたら消えちゃったんです。」
「上井さんの手が魔力を帯びていたとしたら、手で受け止めようとしたときに魔獣が消滅したことも説明がつくわ。」
お姉さん警官は手帳に何かをメモしながら話を続ける。
「魔獣は異界の生き物で、魔法少女の魔力だけが魔獣を排除して、元の世界に戻すことができるの。人間は魔獣に対して攻撃も何もできない。魔獣は普通の人には見えないからね。」
あたしはちょっと考える。
「あのハムスター、というか魔獣は、あたしの手から出た魔力で元の世界に戻った、ということですか?」
「そうね。」
「そうしたら、あの子も元の世界に戻れて喜んでいますよね?」
お姉さん警官は眉を上げて驚いた表情を見せる。
「・・・魔獣が喜んでいるかは分からないけど、まあ、自分が生まれた世界に戻った方が幸せでしょうね。」
「良かった。」
「え?」
「あの子。消えちゃって心配だったけど。生きているなら良かった。」
あたしがそう言って安心するとお姉さん警官は楽しそうに笑う。
「魔獣のことをそんなに心配する魔法少女は初めてね。ところで、本題に入ってもいいかな?」
「あ、はい。」
本題とは何だろう。
「さっきも言ったけど、魔獣は悪人に取り憑いて、悪人を凶悪化させて、犯罪をいっぱい発生させる。だから、犯罪撲滅、治安維持のために警察が魔法少女に頼んで、魔獣を排除してもらっているの。」
へえー。
「で、今日は上井さんをスカウトしに来たの。悪人から魔獣を排除するお仕事を、私たち公安局と一緒にしてくれないかな?」
この人たちは公安だったのか、と思いながら、ちょっと考える。
「それって、あたしに何かメリットはあるんですか?」
「もちろん。協力してくれたら、上井さんの願いを何でも1つだけ・・・」
マジか。
「・・ってわけにはいかないけど。でも、奨学金として月に20万円を支給するわよ。」
ピクン、とあたしは反応する。
「20万円、ですか?」
「ええ。月に何回か魔獣を排除してくれればね。上井さんにとっては結構簡単だと思うけど。」
工場勤務の母親の給料は安く、親子2人でも生活は苦しい。月に20万円も支給されれば、相当、生活は楽になる。
「分かりました。協力します。」
「あら、そう?」
あたしがあっさりと引き受けたのでお姉さん警官はちょっと驚いたようだ。
「・・引き受けてくれなかったら、色々と脅そうと考えていたんだけど・・。」
このお姉さん、怖い。
「ま、物分かりが良い子で助かるわ。じゃあ早速だけど、これから上井さんの魔力のテストをします。」
「え。テスト?」
「テストといっても落ちることは無いと思うわ。すでに小型魔獣を排除しているレベルだし。むしろ、どのくらいの魔力があるのかの確認ね。」
「そうですか。」
「この先にある警察署の稽古場を借りているから。そこで魔力を見せてもらうわね。」
ずいぶんと手際の良いことだ。
はい、と返事をしようとした瞬間に運転している軍人警官が「到着しました。」と言った。
窓の外を見るとクルマはどこかの警察署に入っていくところだった。
第三章 魔力のテスト、だったはず。
運転していた軍人警官が手慣れたようにクルマを警察署の駐車場に停め、あたし達はクルマを降りる。
「あの建物が、稽古場です。午後一杯、貸し切りにしています。」
軍人警官が駐車場の向こうにある小さな体育館くらいの建物を指さす。警察署の建物とは離れており、独立した別館みたいな感じだ。
ぞろぞろと稽古場に歩いていくが稽古場の扉は締まっており、扉に何かの貼り紙がされている。お姉さん警官が貼り紙に近づいて書いてあることを読み上げる。
「本日午後は、公安局の指示により稽古場は閉鎖します。公安局の方へ。使う時は総務課まで鍵を取りに来てください、だって。」
お姉さん警官は不満そうに腕を組む。
「感じ悪いわねえ。無理やりに公安局が稽古場を借り上げたみたいで。」
「実際そうですから。総務課で鍵を借りてきます。」
軍人警官は冷静にそう言うと警察署の建物に向かっていく。残されたあたし達は互いに顔を見合わせたが、お姉さん警官が何かを思いついたように手を叩いた。
「そうだ。この子の紹介がまだだったわね。」
お姉さん警官はゴシックロリータの黒いドレスを着た女の子の肩に手を乗せる。
「この子は、ノワちゃん。今年で8歳。よろしくね。」
ノワちゃんは軽くお辞儀をするとお姉さん警官のスーツの袖を引っ張る。
「なあに?」と言いながらお姉さん警官は少しかがんでノワちゃんの口元に耳を寄せる。ノワちゃんが何事かをお姉さん警官にささやくと、お姉さん警官は苦笑いしながら姿勢を元に戻す。
「上井さん。キュートファイター、って知っている?」
唐突な話題にあたしは戸惑う。
「小さい子に人気のアニメですよね。女の子が変身して悪と戦う。」
確か10年以上は続いているアニメだ。
「そう。で、上井さんが、キュートファイターのケイちゃんに似ているんだって。この子、それで照れているみたい。」
「ケイちゃんって、確か初代のキャラクターですよね?」
「この子、初代のシリーズが一番好きで。もう何十回も繰り返し見ているのよ。」
初代の主人公はボーイッシュなケイちゃんとお嬢様のミアちゃんで、2人の恋愛模様もアニメの人気の一つだった。もっとも、保護者からクレームがあり、次期シリーズからは女の子同士の恋愛要素は無くなってしまったが。
「でも、あたし、ケイちゃんに似ていますかね? 初めて言われましたけど。」
「すごく似てるよ。髪型は違うけど、顔と声が似ている。」
ノワちゃんが嬉しそうに発言する。少しは照れが取れたようだ。ふと気づいたが、逆にノワちゃんはキュートファイターのプリンセス、ミアちゃんに似ているかもしれない。
「ノワちゃんは、プリンセスのミアちゃんに似ているね。」
あっという間にノワちゃんの顔が真っ赤になり、照れくさいのかノワちゃんはお姉さん警官の後ろに隠れる。まるで小動物のようで可愛い。
「鍵、取ってきました。それとトレーニングウェアも。」
不意に後方から軍人警官が現れた。そのまま軍人警官は稽古場の鍵を開け、重そうな両開きの鉄扉を片手で軽々と開ける。
稽古場は学校の体育館の半分くらいの大きさで靴を脱いで上がるタイプだ。普段は柔道や剣道の練習場になっているのだろう。窓はあるが日当たりはあまり良くなく、ひんやりとしている。
全員が靴を脱いで上がるとお姉さん警官が話しかけてくる。
「テストの指示は彼女にやってもらうわ。じゃ、お願い。」
お願いされたのはクルマを運転していた軍人警官だ。早速、軍人警官が前に出てあたしに質問してくる。
「先ほどの話だと、毎日、自家製のサンドバッグにスパーリングをしているそうだが。」
「ええ。そうです。」
「では、そこのサンドバッグでスパーリングを見せてもらおう。」
そう言って軍人警官は稽古場の隅に吊るされているサンドバッグを指し示すと、あたしにトレーニングウェアを投げ渡す。新品で割と高そうなウェアだ。
「これ、持って帰っていいですか?」
「だめだ。」
無表情に答えた軍人警官の言葉に肩をすくめると、その場で靴下とスカートを脱ぐ。そのままワイシャツも脱ごうとしたところにお姉さん警官が声を掛ける。
「ちょっと。向こうに更衣室あるわよ。」
軍人警官があたしの体を観察しながら抑揚の無いトーンで口を挟む。
「女同士だし、問題はないでしょう。」
その通りだ、と思ってワイシャツのボタンを外しながら軍人警官を見る。黒いスーツで隠れてはいるがこの女性もなかなかに体を鍛えている。
脱いだら筋肉がすごそうだ、と思いながらワイシャツを脱ぎ終えたあたしは下着姿で仁王立ちをして、普段から鍛えている体を3人に見せる。
「どうです?」
真っ先に反応したのは軍人警官だ。
「良い体だ。年齢の割に鍛えられている。上半身と下半身のバランスもいい。」
学校での体育の時間は夏でもジャージを着てできるだけ筋肉を隠している。もちろん、目立たないよう普通の女子のふりをするためだ。
こうやって鍛えている体を堂々と他人に見せるのは初めてであるが、軍人警官のように「分かっている」人には、むしろ鍛えた体を堂々と見せたい。
もちろん、見せた結果で自分の体を誉めてもらえれば最高に嬉しい。
お姉さん警官は目のやり場に困っている様子で特にコメントはしてくれず、ノワちゃんは顔を赤らめている。
ノワちゃんには刺激が強かったかな、と思い、新品のウェアを着用する。半袖にショートパンツでサイズはちょうど良い。
「じゃあ、スパーリング行きますね。」
あたしは軽く手足を伸ばすストレッチをしてからサンドバッグの前でファイティングポーズを取る。他の3人はあたしとサンドバッグを囲むように見ている。
パン、パン、パン、と右、左、右の順でパンチをサンドバッグに叩きこむ。その後は右足でキックを2回、右手と左手を一発ずつサンドバッグの真ん中に突き刺すと、間髪入れずに左足でキックを2回。そのローテーションを3回ほど繰り返す。
「どうですか?」
あたしはクルリと振り返ると3人の感想を伺う。やはり真っ先に反応したのは軍人警官だ。
「強さ、速さとも申し分ない。ちゃんと腰も使えている。」
お姉さん警官は驚いた表情で「すごいのね・・」とだけポツンと言い、ノワちゃんは目を丸くしたまま「キレイ・・」と言ってくれた。
「では、次は魔法少女に変身してスパーリングしてもらおう。」
「あの・・、変質者に襲われた事件以来、変身したこと無いんですけど。」
軍人警官は困ったような顔をお姉さん警官に向けるが、ノワちゃんが甲高い声で教えてくれる。
「あのね! おへそに右手を当てて、目をつむって、えいっ! てするの。変身後の自分をイメージしながら。」
アバウトな教え方だが言われたとおりにやってみる。目をつむり、おへそに手を当て変身後のキックボクサーのような恰好を思い描き、軽く腹筋に力を入れる。
ふわっと、エレベーターが上昇するような感覚があり、あたしが目を開けるとあの時の恰好になっていた。
あれは夢じゃなかったんだ・・。というか、あたし本当に魔法少女だったのか。
ちょっと離れた壁に大きな姿見があったので、その正面に移動して改めて自分を見る。
迷彩柄のショートパンツとスポーツブラ。黒のショートブーツに黒い皮手袋。キックボクサーの衣装に近いがストリートファイトを行う不良少女のようにも見える。
そして以前にこの格好になった時には気づかなかったが、髪が伸びてポニーテールになっていた。
「あら、かっこいいわね。」
「似合っているじゃないか。」
お姉さん警官と軍人警官はそれぞれの感想をくれる。そして、ノワちゃんはなぜか顔を輝かせている。
「その衣装、ケイちゃんみたい。」
確かに。言われて初めて気づいたが色合いは違うものの、このキックボクサーみたいな恰好はキュートファイターのケイちゃんに似ているかもしれない。
お姉さん警官も驚いたような声を出す。
「そう言えば、似ているわね。」
「お姉ちゃん! かっこいい!」
ノワちゃんの声援にちょっと照れていると軍人警官が近寄ってきて、あたしの腕や足を触ってくる。
「筋肉は変わっていないようだが腕や足に魔力を帯びているようだな。上井君、もう一度、スパーリングをしてもらえるか。」
はい、と返事をして、あたしは再びサンドバッグの前に立つと腰を低くして構えて、先ほどと同じように打ち込みを始める。
が、最初の右パンチを叩きこんだ時点でサンドバッグが天井近くまで跳ね上がった。見ている3人も驚いたようだが、あたしも驚いた。そして、跳ね上がったサンドバッグが勢いをつけて自分に戻って来る。
「危ない!」
お姉さん警官の声が聞こえたが、自分の力を試してみたくなり戻ってきたサンドバッグに今度は左手でパンチを入れる。左手のコブシがサンドバッグに大きくめり込むと動きを止めたサンドバッグが再び天井まで跳ね上がり、それを見た軍人警官が大声を出す。
「そこまで! サンドバッグが壊れるから、止め!」
戻って来たサンドバッグを片手で止めて3人に向き直るとノワちゃんが大喜びで手を叩いているのが目に入った。
「すごい! お姉ちゃん、やっぱりケイちゃんそっくりだよ!」
ノワちゃんは興奮しながらピョンピョン飛び跳ねており、ドレスに付いているフリルが一緒になって踊っている。可愛いなあ、と思いながらノワちゃんにガッツポーズをして笑いかける。
「それにしても、本当にすごい力ね。」
「今度、測定してみましょう。」
お姉さん警官と軍人警官が話をしている横で、「すごい! すごい!」と、ノワちゃんは興奮状態だ。ノワちゃんは8歳とのことだが、はしゃいでいる姿はもっと幼く見える。
そんなノワちゃんを見ているうちに、ちょっとしたファンサービスを思い付き、あたしは姿見で軽く髪を整えると変身したままの姿でゆっくりとノワちゃんに向き直る。
「おやおや、お嬢さん。ドレス姿でそんなに騒いではいけませんよ。」
両手を広げて微笑みながらノワちゃんに歩み寄る。確か、昔に見たキュートファイターのアニメにこんなシーンがあったはずだ。
ノワちゃんは一瞬、不思議そうな顔をしたが、すぐにアニメの有名なシーンであると察したらしい。
「えっ」と驚きの声がノワちゃんの小さな口から発せられ、ノワちゃんは硬直して立ちすくむ。
横にいる公安警官2人は、何の茶番だといった雰囲気であたしたちを見ている。
あたしはノワちゃんの前に来ると片膝をついてノワちゃんの左手を優しく手に取る。そして、ノワちゃんの顔を見上げながら決め台詞を放つ。
「今宵は、私だけの姫でいてくれるかな。お嬢さん。」
最後にチュッとノワちゃんの白い手に接吻をして、再び見上げる。が、ノワちゃんは呆然とした顔であたしを見つめている。
あ、これ滑ったか? と冷や汗を感じた途端、ノワちゃんの顔が真っ赤になり目をつむりながら体がゆっくりと後ろに倒れていく。
「え?!」
慌ててノワちゃんの体を抱えるようにして支える。
「ちょっと! 何をやっているの?!」
お姉さん警官が慌てて駆け寄りあたしからノワちゃんを奪い取る。
どうやら、ノワちゃんは半目のまま気を失っているようだ。そして魔法少女の変身が解けたのか、着ている服がゴシックロリータの黒いドレスから水色のワンピース姿に変わっている。
軍人警官が素早くノワちゃんの脈と呼吸を確かめる。
「気絶しているようですね。刺激が強すぎたのでしょう。」
「もう! 医務室! 医務室はどこ?!」
「ここを出て、警察署の通用口を入って、すぐ右です。」
お姉さん警官はノワちゃんを抱っこしたまま小走りで稽古場を出ていき、稽古場に残されたあたしと軍人警官の間に気まずい空気が流れる。
「あの・・。やりすぎちゃいましたか・・ね。」
おずおずと軍人警官に聞くと、軍人警官は相変わらずの無表情で答える。
「とりあえず医務室に行くぞ。お前も着替えなさい。」
これは怒られそうだなあ、と思いながらあたしは先ほどと同じようにおへそに手を当て目を閉じる。自分の変身前の姿をイメージすると今度はエレベーターが下に下がるような感覚がして、元のトレーニングウェアの姿に戻っていた。
そのあと、ノワちゃんの様子を見に行くために急いで制服に着替え始めた。ちなみに脱いだトレーニングウェアをこっそり持って帰ろうとしたが、軍人警官に目ざとく見つかりウェアは回収された。
第4章 合格、そして転校
結局のところ気絶させてしまったノワちゃんは、のぼせてしまっただけのようであった。あたしと軍人警官が医務室に到着したときには、ノワちゃんは軽い寝息を立ててベッドで寝ており、落ち着きを取り戻していたお姉さん警官は、軍人警官とあたしの2人で先に帰るように促した。
また、帰り際にお姉さん警官から魔法少女としてのテストは合格だと伝えられた。
軍人警官と2人で警察署の建物を出たところで、あたしは思い切って軍人警官に尋ねてみる。
「あの2人って、親子なんですか?」
無表情だった軍人警官は呆れたような表情を見せたが、すぐに真顔に戻る。
「まあ、一緒に住んでいるからな。親子ではないが、親子でもある。」
先ほどの灰色のクルマに戻り、軍人警官は運転席に、あたしは助手席に座る。あたしの自宅まで送ってくれるようで、住所を伝えると軍人警官は手慣れた様子でカーナビに住所を入力する。
「午後1時半か。時間を取らせてすまない。家に連絡するか?」
「いえ。今日は、お母さんは工場に出勤しているので。」
「そうか。」
軍人警官はクルマを発進させようとしたが、何かを思い出したようで「少し待て。」と言ってクルマを降りる。そして、クルマのトランクから何かを持ってくるとあたしに手渡した。
「・・・何ですか? これ。」
麻布国際女子学園、と書かれた学校案内のパンフレットのようだ。それは見れば分かるのだが、いきなりこれを渡された意味が分からない。
「魔法少女は全員、全寮制の、その女子校に通ってもらう。学費や寮費は特待生扱いで無料だ。」
「あたしも、ですか?」
「そうだ。親と同居していると夜中に魔法少女として出動するときに不審に思われるからな。学生寮であれば、昼も夜も出動できる。」
昼も夜もコキ使われるのか。まあ、月給20万円のためだ。パンフレットをパラパラとめくっている間に軍人警官はクルマを発進させる。パンフには色々な国籍の女の子達が映っている。
「外国の女の子が多いのですか?」
軍人警官が相手だと、どうしても敬語になってしまう。
「国際女子学園、だからな。もともとは各国の大使やVIPのお嬢さん専用の学校だったが、日本人の魔法少女も入学させてもらっている。」
ふーん。
「上井君の母上には、国の推薦で特待生として入学してもらうことになった、と文部科学省の役人に説明をさせに行く。毎月20万円の奨学金の話もその時だな。母上の承諾が得られたら速やかに寮に引っ越してもらう。」
「分かりました。」
パンフレットを読んでいると、いつの間にか窓の外の景色が自宅近くの見慣れた光景になっていた。あたしがパンフレットを閉じると軍人警官が声を掛けてくる。
「できれば、来週の土曜。1週間後にはここの学生寮に引っ越してもらいたい。」
「ずいぶん、急ですね。」
「公安局の仕事はスピードが命だからな。お前もそのうち慣れる。」
さっきまでは「上井君」だったが、「お前」と言う方が軍人警官らしい。
「引っ越しの時は、学園の関係者になりすました公安局の女性警官が車で家に迎えに行く。その車で引っ越しの荷物も運ぶから荷物は段ボール数箱程度にしておいてくれ。」
「段ボール1箱もあれば充分です。」
「そうか。あと、その女性警官がお前のインストラクターで今後はその人から仕事を教わることになる。」
あ、そうなんだ。
「どんな人ですか?」
「人選はこれから行うから未定だ。」
転校や引っ越しよりもそのインストラクターが気になる。自分とウマが合う人だと良いのだが。
「とりあえず、不明点などは来週以降、そのインストラクターに聞いてくれ。」
「分かりました。」
クルマが自宅である区営団地の前で停まり、あたしは助手席のドアを開けて外に出る。が、ドアを閉める前に運転席の軍人警官に声をかける。
「あの、ありがとうございました。」
「最初から送っていくつもりだったからな。問題ない。」
「いえ、そうではなくて・・。」
あまり人に感謝の意を伝えたことの無いあたしは口ごもる。
「あたしのスパーリングを、褒めてくれて・・。いつも1人でトレーニングしているから、褒めてくれる人、いなくて。」
無表情だった軍人警官はあたしの顔を見ると、ふっ、と軽く笑う。
「お世辞抜きで良かったぞ。今後も精進するように。」
「はい!」
勢いでなぜか敬礼しそうになったが、そのままお辞儀をしてドアを閉める。
軍人警官はあたしを見て軽く片手を上げるとクルマを発進させて去って行った。
最初は怖そうな人と思ったが意外にいい人だ。
「もうちょっと。話をしたかったな。」
そう呟くと、あたしは家に向かって歩き出した。
最終章
魔法少女のテストが行われた3日後の、火曜日の夕方に文部科学省の役人が家にやって来て母に諸々を説明してくれた。
母は「なぜ、この子が特待生に選ばれたのか」を気にしていたが、役人は「おそらく、平均的な日本の女子と海外の子女を交流させたいとの学園の意向でしょう。」と自分の推論を述べていた。母は首を傾げながらも納得した。
それから母は、あたしが学園の生徒たちからいじめや嫌がらせを受けないかを気にしてくれた。
しかし、麻布国際女子学園には何年何組といったクラスの概念がなく、授業も生徒たちが自分が好きなものを自由に選択できる。
文化祭や体育祭もなく、生徒たちが集団で行動することがあまり無いので日本の学校のようないじめは無いと思う、と役人は説明してくれた。
また、奨学金20万円も来月から母の口座に振り込まれることになったが、母は何か裏があるのでは、と困惑しながら役人に色々と質問をしており、役人は「こちらの都合で転校していただくので・・」と繰り返すばかりだった。
実際、月額20万円はあたしが魔法少女として働く代償ではあるが、正直に言っても信じてもらえるはずもなく、あたしは母と役人の不毛な問答を黙って聞いていた。
結局、あたしが「せっかく選ばれたのだから、この学校に行きたい」と強く要望し、最終的に母も、あたしの意志であればと認めてくれた。
そして、土曜日の午前中に麻布国際女子学園の人があたしを迎えに来ることになった。もちろん、その人は公安局の警官で魔法少女としての自分のインストラクターになる人だ。
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