第11話 一歩目
放課後、生徒会室。
机の前に並ぶAster《アスター》の8人。
「お願いします!アイドル部を作らせてください!」
「私に言われても……」
「生徒会書記やん?なんとかしてよ!」
「そういう問題じゃないの」
担当の先生が静かに申請書をめくり、険しい顔で告げた。
「部活動としての認可はできんねー。前例がないもんねー」
「却下ぁ!?」
机に身を乗り出す光。
「なんでですか!青春してますよ!若さ!情熱!輝き!」
「それは勝手にやってもらって」
生徒会室に戻ったAster。
「……残念ね」
一同重苦しい空気の中、クスクスと
「じゃあ……勝手にやろっか」
「先生も『勝手にやって』って言ってたし」
「賛成!根性で続ければいいんや!」
「バリやば、最高の発想やんw」
「ちょっと!勝手に動いたら問題になるわよ!」結衣が制止するが、
「えー、結衣ちゃんだって楽しそうに見えるよ」
「わ、私は……!」結衣が赤面して口ごもる。
「宇宙も、最初は無秩序から始まったんだよ」
「宇宙は関係ない!」結衣のツッコミが飛んだ。
結局――Asterは「フリーアイドルグループ」として活動を始めることになった。
⸻
生徒会室。
結衣が書類を整理していると、クラス担任の先生が顔を出した。
「そういえばなんやけどな、学園祭のステージ、まだひと枠空いとるんよね。お前たちアイドルやっとるんやろ?やる気があるなら……お前たち、出てみんや?」
「えっ……わ、私たちが!?」結衣が思わず声を上げる。
どこからともなく顔を出した光と花が同時に叫んだ。
「やります!!」
「ちょ、ちょっと待ちなさい!まだ何も……」
結衣の抗議を無視し、光は興奮して走り回る。
「やったー!初ステージだ!」
「わぁ……ほんとに……!」花も顔を赤らめる。
結衣の制止を振り切り光と花が報告に行く。
「バリやば!ステージデビューやん!」莉愛が机を叩き、
「根性ー!」煉佳が拳を振り上げる。
「……。」
「やっと決まりましたわね」瑠璃が渋い顔をする。
「も、もう!勝手に決めてから!」2人を追いかけた結衣が叫ぶ。
そんなドタバタの中、日菜がぽそっと呟いた。
「ステージは宇宙だから……」
「日菜は静かに!」結衣が即遮る。
「でも、問題があるわ」結衣が深刻な顔に戻る。
「ステージに出るなら……まず衣装が必要でしょ?」
全員が一斉に固まる。
そして――。
「「「「作るしかない!!!」」」」
こうして急遽、衣装作りが始まるのであった。
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