第3話 謎

昼休みも終わりに近付き、教室へと戻るあかりはな

廊下で生徒会の腕章をつけた女子と、その隣で欠伸をしている女子とすれ違った。

宮本結衣みやもとゆい宮本日菜みやもとひなだ。


「ふわぁ……」

隣の子は眠たそうに目をこすっている。


「あれ、結衣ちゃん?」


光が声をかけると、黒髪をきちんと整え、書類を抱えた方が口を開いた。

「私が結衣よ。それで?何の用?」


「ねぇ結衣ちゃん!私たち、アイドルやるんだ!一緒にやろうよ!」

「……は?」


結衣の眉がぴくりと動いた。

「アイドル?そんな非常識な……。流星台が自由だからって、なんでも許されるわけじゃないのよ」

「でも、みんなを元気にできるんだよ?挑戦って、そういうことでしょ!」

光が熱弁すると、花も小さく頷いた。


結衣はため息をつき、腕を組む。

「まったく……入学したばかりなのに。あなたたち、浮かれてるだけじゃない?」


その横で、眠たそうな子が小さく手を挙げる。

「いいんじゃない?面白そうだし」

「はぁ!?日菜まで!?」結衣が振り返る。

「だってさぁ、机に座ってるだけより楽しいでしょ?」

「……意味が分からない」


「ほら見て!日菜ちゃんもやりたいって!」光がにっこり。

「わたしは……まぁ、面白そうだからやる」

「……あなたは双子のくせにどうしてこうも違うの」結衣は頭を抱える。


結局、結衣はきっぱりと断り、日菜だけが参加表明した。


結衣と日菜はそのまま生徒会室に入っていった。日菜はソファに座り書類を眺める結衣に向かってぽそっと言った。

「結衣はさ、机の上の紙も、宇宙と繋がってると思わない?」

「……は?」

「書類ってさぁ、宇宙の星図みたいなんだよ」


「全くわからない」

結衣がピシャリと遮るも日菜は気にする様子もなく、再び「ふわぁ」と欠伸をした。


そんな日菜達のことを知る由もない光と花。


「やったね、光!」花が小声で叫ぶ。

「うんうん!また仲間が増えたよ!」光の目が輝いている。


花は笑みを浮かべて頷いた。

「日菜ちゃん、ちょっと不思議やけど……なんだか可愛い」

「そうそう!あのふわふわ感、絶対アイドルに向いとうよ!」


光がニヤリと笑って、親指を立てる。

「結衣ちゃんも、絶対仲間にする!」


「ふふ、光ならそう言うと思った」花は呆れながらも楽しそうに返す。


2人の間に流れる空気は、入学したばかりとは思えないほど熱くて、明るかった。

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