プウェッラ
綴咎
プロローグ
このお話は、幸せなお姫様のお話。
何も知らないお姫様が幸せになる、ありふれた物語である。
いや、何も知らないと断言するのは、少しだけ違うかもしれない。
彼女は他者とは違う視点を持てる。
正しくは、盲目のお姫様のお話である。
フロース王国には有名なプリンセスがいる。
癒しの力を持つ、花が綻ぶように微笑む少女。
国王や女王、果てには国民たちまで彼女の虜であった。
だって彼女は清く正しい子。
優しく可憐で可愛い子。
人の痛みに敏感な子。
ちょっとだけやんちゃなところも、目が見えないなんてことすらも、彼女の前ではチャームポイントにしかならない。
誰もが彼女を愛している。今も、この瞬間も、彼女はみんなを笑顔にするお姫様であった。
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