第7話 長い一日

自分の身体に「大丈夫」と言い聞かせ続けてどれくらい経ったのだろう。

まだ仕事はしているが、自分を騙しながら生きるのもなかなか大変だ。

自分に言い聞かせていた「大丈夫」がいつの間にか口癖になり、人と接すると反射的に笑顔を作る。

笑顔を作るというより、笑顔に勝手になる感覚のほうが近いかもしれない。

長い一日がやっと終わり、今日も彼がお酒を飲んで寝落ちした隣を静かにすり抜け、寝室へ向かう。


ふぅ。

今日はこのまま朝まで静かに寝ていてくれたらいいけど、、、。


そんな淡い期待を抱きながら眠りについた。

だが、やはりそんな甘くはなかった。

夜中にまた彼の怒鳴り声で目が覚めた。

ただ、今日は言葉がハッキリしていた。

寝ている所を怒鳴り起こされ、髪の毛を引っ張られる。

恐怖も痛みも感じない。


、、、また始まる。


体勢を崩した私は、家具にあっちこっち身体をぶつけながらリビングに連れて行かれる。

「座れ!」と怒鳴られたのは分かったが、その後は何を言っているのか意味不明だった。

もちろん私がおかしいのでは無く、彼の言葉が支離滅裂なのだ。

「話をちゃんと聞け」「お前は嘘つきだ」「いい加減にしろ」「ちゃんとしろ」

取り敢えず、言われ続ける言葉に耐え続けた。


早く寝落ちすればいいのに。


どうせ酔っていたら、この出来事は彼の頭からすっぽり綺麗に抜け落ちているんだ。

適当に流して、明日には覚えてないんだから取り敢えず寝ようと提案をしたが、「逃げるな!」とまた怒鳴り声を聞かされる事になった。


いい加減にしてくれない?

もう、つかれたんですけど。


不意に漏れた言葉。

感情のこもっていない言葉が口からこぼれた。

「別れたいんか?!」と強い口調で責めてくる彼に、別れたいと思ってるよと淡々と答える。

すると、今までの態度が一変した。

「何で別れるとかいうの?」「俺にはお前しかいない」「そばにいて」と今度は甘えた言葉が部屋をこだまする。

私の膝に擦り寄り、手を握り、泣きながら懇願する。

強く言えない私は言われるがままになる。

何も言えなくなる。

この人を何とかしないといけないとさえ思うようになった。

頭を撫でて、まるで聖母のようだ。


大丈夫。

でも、あなたが変わってくれないと私も限界になるの。

今のままが駄目なんだと分かっているのなら、一緒に何とかしようよ。


泣きながら抱き着いてくる彼の背中をトントンとあやしていると、彼はそのまま寝落ちしていった。

やっと、長い一日が本当に終わった。

時計を見るともう明け方の4:18だった。

今日も休めないなとため息をつき、一時間だけでも身体を休めようと横たわった。

何とかしようよとは言ったものの、何をすればいいのだろう。

そもそも何とかなるものなのか?

疑問しか浮かばなかった。





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