第6話 ハンバーガーを喉に詰めてタイムリープ!ザッツ、バーガーリーパー!

【これまでのあらすじ】


 資本主義を食い尽くせ!

 ドーナツ・トランペットの望みはただひとつ、“王様”になること。

 近所の人気バーガー店『パクドナルド』にやってきたトランペット少年は、宙を舞うコーラを見て、ある重大な事実に気がついた!

 バーガーとタイムリープが、ドーナツに王の階段を登らせていく!


。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。


 俺はトレーに乗ったビッグパック1個を、神に捧げるパンのようにうやうやしく運び、そっとテーブルに置いた。


 親父が鼻を鳴らした。


「折角来たのに、1個だけか」


「間違いない。俺は過去に戻ってる」


 ママ・マカロンがぎょっとしたように俺を見た。


「ドーナツ、変なクスリでもやってるんじゃないでしょうね」


「クスリなんかじゃない。カギは、このビッグパックだ」


 ビッグパックの包み紙をそっと破った。黄金色のバンズが顔をのぞかせる。


「俺は、リブのヤツをぶちのめしてやりたいって考えながら、ビッグパックを喉に詰まらせた。そしたら、あの音楽室に戻ったんだ」


 兄貴がちゃかすように笑った。


「じゃあ、ここにいるドーナツは未来から来たってことか?」


「そうだ……いや、違う」


 俺は、自分が着ているシャツが真っ白なことに気付いた。


「コーラの染みがどこにもない。つまり、俺の意識だけが過去にぶっとんだんだ」


「ぶっとぶ?」


「そう、リープ(ぶっとぶ)だ。名付けるなら、タイムリープ! 俺は、ビッグパックを喉に詰まらせることでタイムリープできる、バーガーリーパーだ!」

 これで、リブのヤツをぶちのめしてやれる――。

 

 俺は興奮で胸を高鳴らせ、一息にビッグパックを呑み込んだ。


「よせ、ドーナツ!」


 兄貴が叫んだ時には遅かった。ビッグパックは俺の気道を一ミリのすき間もなくぴっちりとふさぐ。息が出来ない。冷や汗が背をつたい、痛みで頭が割れそうになる。


 リブだ。あのクソ生意気なヤツを叩きのめすんだ。絶対に。


「窒息してる! 救急車だ! 早く!」


 兄貴の声が聞こえる。


 そして、またも世界が暗転した。


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