4.「楽しいお風呂」【背中流し・囁きカウントダウン】

//SE:引き戸の開閉音

「失礼します、お風呂の用意ができました」


「ご案内しますね」


//場面暗転


「こちらが脱衣所になります」


「手ぬぐいはカゴに用意してありますので、ご自由にお使いください」


「さっそく、脱ぎましょうか、んしょ…」


//驚きヒロインを止める主人公


(当たり前のことのように)

「あら?当然私も一緒に入りますよ?」


「でなければおもてなしができないじゃないですか」


「では私から脱がせていただきます」


//衣擦れの音


(悪戯っぽく)

「ふふっ…湯浴み着をまとっているので、大丈夫ですよ」


「ですので、こちらを向いても問題ありません」


「ご期待に沿えず申し訳ございません」


(嬉しそうに)

「本当に可愛いらしい方」


(優しく促すように)

「ほら、私は後ろを向いていますから、今のうちに脱いでしまってください、手ぬぐいで体を隠しても構いませんから」


//SE:衣擦れの音


「準備ができたようですね、では行きましょう」


「転ぶといけませんから、手を繋ぎましょう」


//SE:扉が開く音

「どうですか?けっこう大きいお風呂でしょう」


「昔はこの神社で修行をする人が多かったようで、そのために広めにお風呂を作ったそうですよ」


「ですので二人でも、ゆったりと入れます」


「早速おもてなしを始めます、そこの椅子に座ってください」


「お背中、流しますね」


「垢すりに石鹸を染み込ませて」


「失礼します」


//SE:泡で体を洗う音


「んしょ…力加減は大丈夫ですか?」


「はい、続けますね」


//嬉しそうに背中を洗う息遣い 数十秒程


「こうして人の手で洗ってもらうは、どことなく気持ちよくありませんか?」


「特に背中みたいな、自分では洗いにくいはなおさら…」


「鏡でも見えにくい部分ですし…」


「特に肩甲骨のこの辺りとか…」


//ヒロインが肩甲骨を優しく撫でる


(楽しそうに)

「ふふっ…くすぐったそう」


「ですがこういうところこそ、きちんと洗いませんと」


「我慢ですよ、我慢」


(思わず笑ってしまうように)

「フフフ…失礼しました」


「あなたのくすぐったそうな反応が、妹に似ていて、少し懐かしい気分になってしまいました」


「少し前まで、妹と洗いあっていたものですから」


(苦笑しながら)

「あの子は今、巫女の修行で家を出ていますけどね」


(誇らしげに)

「そうですよ、私…お姉ちゃんなんです」


(悪戯っぽく)

「よかったら、あなたがあの子の代わりに私のこと洗ってみますか?」


「クスッ…残念」


(考え込むように)

「しかし…どことなくあなたとあの子は気が合いそうですね」


(残念そうに)

「できれば紹介したかったです」


(独り言のように嬉しそうに)

「家族仲はいいに越したことはないもの」


(誤魔化すように)

「なんでもありませんよ」


「さあ集中、集中」


(集中するように)

「仕上げに、耳の裏も丁寧に…」


「汚れが溜まりやすいところですからね」


「こそばゆいかもしれませんが、我慢ですよ」


//SE:耳の近くを洗う音


「はい、お終いです」


//背中を流す息遣い


「うん、あとは流すだけですね」


「その前に少しだけ、背中に…」


//主人公に背中に泡で文字が書かれる


「ツツツーっと」


「さて、なんと書いたでしょう?」


「正解したら、私のとっておきのお菓子を差し上げますよ」


「さあ…答えてみてください」


//小さく楽しそうに笑う


「時間切れです、答えは…」


(不意打ち気味に甘い囁き声)

「だーいすき…」


(悪戯っぽく)

「…でした、次は正解できるように頑張りましょうね」


「それでは泡を流します」


//SE:お湯が流れる音


「さっぱりとしましたね」


(待ちかねたように)

「さてと、次は前のほうを…」


//必死に拒否する主人公


「そんなにご自分でやりたいのですか?」


(甘えるように)

「うーん胸板だけを流すのも…駄目?」


(甘い声で切なそうに囁きながら)

「本当に駄目ですか?本当に…駄目?」


//なんとか拒否する主人公


(不服そうに)※頬を膨れさせるイメージで

「むー…覚えていてくださいね」


(微笑みかけるように)

「では、私は先に湯舟でお待ちしていますね」


//浴室内を歩く音


//場面暗転


//SE:湯舟に入る音

「お待ちしていましたよ、さあ隣にどうぞ」


//主人公が湯舟に座る


(リラックスするように)

「ふぅ~…お湯に入ると、落ち着きませんか?」


「一日の疲れが溶け出していくような、そんな…」


//顔を逸らす主人公


(静かに嬉しそうに)

「クスッ…私が近くにいると落ち着きませんか?」


「どうやら、私のことが気になってしまうようですね」


「隠しても無駄ですよ、視線で全部…筒抜けですから」


(うっとりと愛おしそうに)

「誤魔化す姿も可愛い…」


(優しく囁き)

「なら目を閉じて、そのまま動かないでください」


//主人公が背後から抱きしめられる


【ここから吐息たっぷりに囁き】

「そーっと…抱きしめてしまいましょう」


「大丈夫です、先ほども申しましたが、湯浴み着を着ていますから…」


「直接体は触れていません、何の問題もありませんよ」


「それにこうすれば、私の体は見えませんから」


「このまま私にもたれかかってください、楽な姿勢でお風呂を楽しみましょう」


(誘惑するように)

「力を抜いて…身を預けて…一度経験済みですよね?」


//ヒロインにもたれかかる主人子


(嬉しそうに)

「そうです、よくできました」


「次は、深呼吸をしましょう」


「私をお手本にしてくださいね」」


//耳をくすぐるように深呼吸


「できますか?」


「こうですよ…すぅ…ふぅ~…って」


//くすぐったさに悶える主人公


(優しく小さい子どもに話しかけるように)

「あーもう…くすぐったくても逃げようとしちゃ…めっ…ですよ」


「悪い子はお姉ちゃんが…」


「もーっと…ぎゅ~ってして、お風呂に入れてあげます」


「数を数え終わるまで、湯舟から出してあげません」


「ほら…30だけでいいですよ」


「お姉ちゃんにぎゅってされたまま、数えましょうね」


「始めますよ」


(ゆっくりと耳をくすぐるように)

「いーち…にぃー…さーん…しー…ごぉー…」


//たまらず体を動かす主人公


「あっ…もう暴れちゃ駄目って言ったのに…」


「ちゃんと大人しくしていないと終わりませんよ」


「さあ、続けます」


(ゆっくりと耳をくすぐるように)

「ろーく…しーち…はーち…」


「クスッ…きゅーう…きゅーう…」


「じゅう…じゅう…じゅー…じゅー…」


「どうしたの?何か変かな?」


//声の聞こえる方向が反対に

「今度はこっちから」


(ゆっくりと耳をくすぐるように)

「じゅーいち…じゅーに…じゅーさん…じゅーし…じゅーご…じゅーろく…じゅーしち…じゅーはち…じゅーく…にじゅー…」


「もう20だよ、あと少し頑張れ~」


(ゆっくりと耳をくすぐるように)

「にじゅーいち…にじゅーに…にじゅーさーん…にじゅーし…にじゅーご」


//深呼吸するような息遣い


(わざとらしく)

「ごめんね、あなたと入るお風呂が気持ちよくて、ついのんびりしちゃった」


「続けるよ、えっと今は…」


「にじゅーに…だっけ?それともにじゅーいち…?じゅーろく…からだったかな~」


「あ~思い出した…」


(ゆっくりと耳をくすぐるように)

「にじゅーろく…にじゅーしち…にじゅーはち…」


「あとちょっと…」


「にじゅーく…にじゅーく…クスッ…にじゅーはち…にじゅーはち…」


「にじゅーしーち…にじゅーはーち…にじゅーく…」


「さぁーんじゅ…」

【囁き声ここまで】


(丁寧な口調に戻る)

「お終いです、ちゃんと数えられましたね」


「意地悪してしまいましたが、ちゃんと汗を流せたでしょう?」


「ご褒美に冷たい飲み物を用意しますね」


「さあ、あがりましょうか」

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