第24話 悪用される『役目』

 その日から、不良グループは頻繁にソフィアの元を訪れるようになった。昼休みや放課後、彼らは図書館や空き教室にソフィアを呼び出し、様々な「相談」を持ちかけた。

「おい、これ。どうやったらもっと威力が上がる?」

「次の授業で、魔法を成功させるにはどうすればいい?」

 彼らの質問は、もはや純粋な学びへの欲求ではなかった。ソフィアの助言は、彼らにとって楽に成績を上げるための手段であり、魔法の制御を完璧にこなして『悪』をつけられないようにするための道具だった。ソフィアは、彼らの悪意に気づいていないかのように、ただひたすら淡々と彼らの問いに答えた。

「……魔力は、あなたの意志と共にある。もっと明確に、どうしたいかイメージしてみて」

 ソフィアのアドバイスは、彼らの魔法を驚くほど上達させた。彼らは、ソフィアを利用して次々と課題をクリアし、教師たちの評価も上がっていく。彼らは、自分たちのやり方が成功したことに満足し、ソフィアをより強く支配しようとした。

「おい、監督生。明日の授業、俺たちが困らないように、今日中にアドバイス全部まとめておけよ」

「……わかった」

 ソフィアは、何も言わずに頷いた。彼女の心には、何の感情も湧き上がらなかった。ただ、彼らの要求を「役目」として受け止め、ひたすらこなし続ける。

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