英雄の死の後に何が起こるのか?
@MayonakaTsuki
第1話
ヒーローは死んだのか?
第1章 – ヒーローの死
長き冒険の末、ヒーローの一行はついに「全ての闇の生き物の王」の城に辿り着いた。
その場所は生きた悪夢だった。魔法で覆われた城壁、呪いに満ちた廊下、影に潜む悪魔の領主たち。状況に追い込まれ、一行は分断され、最後に残ったのはヒーローとその右腕だけだった。
ルシオス――大将であり剣士、風の如く速い刀を持つ戦士。
最後の仲間。
二人が主殿に足を踏み入れると、そこには魔王自身と最強の配下が待ち構えていた。
「俺が相手を務める」ルシオスは刀を敵に向けて言った。
「お前は本懐を果たせ。魔王を倒せ。」
ヒーローはただ頷く。手が堅く聖剣を握り、金属の音を立てて抜刀した。
「ここにいるべきではない、ヒーロー」――魔王の声が雷鳴のように響く。
「お前の仲間たちには死しかもたらさなかった。」
「間違いだ…死ぬのはお前だ」ヒーローは白く神々しく、青く輝くルミナスソードを掲げた。
戦いが始まる。
ルミナスソードとネクロソードの衝突は城そのものを裂くかのようで、互いの一撃はまるで世界の反発そのものだった。
「なぜそこまで執着する?」魔王が吼える。
「たとえ俺が死んでも、別の者が俺の後を継ぐのだ!」
「悪が存在する限り、この世界には必ずヒーローがいる!」ヒーローは確信を込めて返す。
精密な斬撃で、ヒーローは魔王の左腕を切り落とした。
「この野郎…!」魔王は古代語で禁呪を唱え、城全体が震え始める。
突然、空間が歪み、主殿は異世界へ吸い込まれた。
視界が戻ると、二人は王都に立っていた。
「ここで俺は死ねる…だが、できる限り多くの命を奪っていく!」魔王は絶望の笑いを浮かべ、巨大な火球を召喚した。
ヒーローは防ごうと前進するが、突如の蹴りで壁に叩きつけられる。破壊の魔法が爆発し、城と王都の一部を飲み込んだ。
負傷しながらも、ヒーローは燃える家々と恐怖に慄く人々を見つめ、躊躇する暇はなかった。
剣がぶつかり、呪文が空を裂く。魔王は容赦なく破壊を振るい、ヒーローはそれを切り続けた。
その時、廃墟の中に一人の子どもが現れる。
「くそっ…!」ヒーローは駆け出した。
魔王は致命の一撃を狙うが、ヒーローは身を挺して守った。次の瞬間、遅すぎたことに気づく。
「シャッ!」
ネクロソードが右脇腹を貫く。
「終わりだ、ヒーロー」魔王の不気味な笑みが目の前に光る。
だがヒーローは敵の腕をしっかり握り、言い放つ。
「いいや…お前も終わりだ。」
ルミナスソードが魔王の胸を貫き、神聖な光に包む。
「魔法が…なぜ使えぬ…!」魔王が吼える。
「私の神の加護だ」ヒーローは息を切らしながら告げる。
「私に触れる者は、呪文を失う。」
その一撃で決着がつく。魔王の力は煙のように消え去り、消える直前に最後の言葉を残した。
「今日…世界は一人の魔王と、一人のヒーローを失った…」
静寂が訪れる。
ヒーローは倒れた。仲間たちは必死に近づき、魔法で癒そうとするが効果はなかった。
「ルシオスは…?」弱々しい声で問いかける。
「…死んだ」涙を流しながら答えが返る。
「だが、君たちのおかげで世界は平和を得られる。」
ヒーローは目を閉じ、疲れ切った声で言う。
「なら…最後の願いを叶えてくれ…故郷に埋めてほしい。」
数分後、仲間と想いに囲まれ、ヒーローは静かに息を引き取った。
その夜、世界はただ恐ろしい敵を失っただけでなく、最大の守護者も失ったのだった。
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