ミサンガの友情 私の想像
左足首に巻いた緑のミサンガ。
Aちゃんは青、Bちゃんはオレンジ。
「三人おそろいだね、友情の証だね」――そう言って笑い合った。
でも、あのときの笑顔の裏側なんて、きっと誰も本気じゃなかった。
Aちゃんは少し自分勝手で、何かあるたびに大げさなリアクションをする。それがみんなを盛り上げるようでいて、どこか鼻につく。私はそんな彼女の明るさをまぶしいと感じるよりも、正直うるさいと思っていた。
Bちゃんはもっと違う。何かを頼んでも「この前やってあげたじゃん」と、過去の貸し借りを持ち出す。ちょっとした優しさも、計算に染まって見える。私はその押しつけがましさが苦手だった。
でも――彼女たちも、私のことを本当の意味で“友達”だと思ってなんかいない。
AちゃんはBちゃんといれば十分だし、BちゃんもA ちゃんといれば満足そうにしている。私はただ、その輪を埋めるために置かれた三角形の頂点のひとつにすぎない。
おそろいのミサンガだって、友情の証なんかじゃない。
ただ「仲良しっぽく見えるアイテム」が欲しかっただけ。足首に巻かれたそれを見下ろすたびに、胸の奥で冷たい笑いが漏れる。――これは“偽りの友情”の印。
だから私は心の中で、こっそりこう呼んでいる。
「友情ミサンガ」じゃなくて―
** 「友情ごっこのミサンガ」 **だ、と。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます