ミサンガの友情ごっこ
@MOA_1205
ミサンガの友情ごっこ
「これで、ずっと友情だね!」
Aちゃんがそう言って、青いミサンガを足首に巻いた。
Bちゃんはオレンジ、私は緑。
3人で色違いのおそろいをつけて「友情の証」って大はしゃぎした。
でも私の心の中では、ちょっと違った。
——これは友情じゃなくて、友情ごっこ。
Aちゃんは明るくて楽しいけど、リアクションがいちいち大きすぎて正直つかれる。
Bちゃんは「こないだやったじゃん」ってだいぶ前のことを持ち出してくるから、気持ちが重たい。
2人のことを嫌いじゃないけど、私には合わない。
本当に気楽に笑えるのは、別のクラスにいる小学校からの友達4人。
その子たちとは気を使わなくてもよくて、自然体でいられる。
放課後は、いつのまにかそっちと帰るようになっていた。
足首に残る緑のミサンガは、ただの飾り。
外す勇気はなかったけど、つけている意味もなかった。
そんなある日、雨でびしょぬれになった帰り道。
家に帰って靴下を脱ごうとした瞬間、ぷつん、と音を立ててミサンガが切れた。
「あ、切れちゃった。」
床に落ちた緑の糸を見て、なぜか心の中でほっとしている自分がいた。
次の日、AちゃんとBちゃんに「ミサンガ切れたんだよね」って伝えると、
「えー!願い事叶うじゃん!」
「いいなあ!私も早く切れてほしい!」
2人は大げさに盛り上がっていた。
私はただ笑ってうなずいた。
けれどその笑顔の裏で、心の中ではもう決めていた。
——友情ごっこは、もう終わり。
足首にうっすら残った跡をなぞりながら、私は思い浮かべる。
気を使わなくても笑い合える、あの4人の顔を。
本物の友情は、きっとあっちにある。
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