魔王と勇者の1分問答 果たして勇者は何を手にするのか

QU0Nたむ

自明之理

 息を切らせ攻撃をする勇者!

 闇のベールを纏う魔王には届いていないようだ!

 玉座から立ち上がることすらしていない!


「なぁ、勇者。人間がペットを飼うのと、魔族が人間を飼うのって何が違う?」


 魔王らしい言葉に勇者は激高する。


「ふざけるな!人間には魂が、心があるんだ!それは誰にも支配されるものではない!」


「ペットにも家族がいたり、喜怒哀楽はあるだろうに、人間都合で売り買いしてるだろ?魂や心なんてものは、支配されない理由にはなり得ないと

 我思う」


「ぐっ!」


 言葉に詰まる勇者!がんばれ!


 勇者の攻撃!ひかりのつるぎ!

 ……魔王の闇のベールには効果がいまひとつのようだ!


「タイプ相性どうなってんだよ!?」


 キレる勇者に、魔王は高そうな海外のラベルのミネラルウォーターを飲みながら口撃を再開する。


能力スペック的に優れる魔族の支配を何故、受け入れられぬのか?より優れた存在が上に立つだけだろう」


「命に優劣が付けられるものか!」


「優劣を付けているから家畜も愛玩動物ペットも許しているのだろう、他ならぬ君ら人間が。

 一段上に別の存在が割り込むだけで、君らがやっていることと何が違う」


「やめろ!レスバつよすぎるだろ!」


 ピシリッ勇者のつるぎにヒビが入る。


 呪文を唱え、魔法で攻撃を行う!


「いかずち召喚!最大化マキシマイズ!」


 短縮詠唱で落ちる威力を、強化詠唱で底上げした!

 轟音とともに落雷が魔王を打ち据える!


「目が痛い。チカチカする」


 魔王の視力にダメージ!

 ……それだけのようだ。


「ここらで終わらせよう、尺が無いからな」


 魔王は諭すように告げる。


「2つ別の物が有れば、どうしても優劣は存在する」


 勇者は答える!


「それぞれの良さがある!必ずしも上下で決まるとは限らないだろう!」


「いいや、ふと差し出された時。自然と分かるのだ。

 どちらが上であるかなど」


 魔王は玉座を動かすと、一部が開く。

 なんと!玉座は冷蔵庫を内蔵していた!


 さらに、魔王の連続行動!

 玉座からテーブルを展開した!多機能!


 魔王は2個、取り出したアイスをテーブルに並べた。


「人間と魔族。同じようで、違う存在を例えるなら」


「我ならこう例える、スー◯°ーカップとハーゲ◯ダッツ」


「さぁ勇者よ、どっちか食べていいよ」


「え?ありがとう」


 スッと勇者が手に取ったのはハーゲ◯ダッツだった。


「な?自然と上は決まっているだろう」


「ハッ!しまった!」


 勇者は言いくるめられた!


 パキッ!

 勇者のつるぎは愛想を尽かし折れてしまった!


 この物語はここでおしまいだ!




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