真っ黒…
辛島ノアール
第1話 プロローグ
「D子さん、今年の絵画展いつも通り出品申し込んだ?」
「勿論、今回も出すよ」
「あ、そうそう!」
「朱美さん、合評会の後の懇親会出る?」
「んー?」
「……あぁ、いつもの呑み会?」
「出るよ」
「あれ?」
「もしかしてD子さんも参加するの??」
「うん!」
「いつも、付き合い悪いから、今回は出ようと思って……」
「へぇ~、珍しいね?」
「それはそうと、D子さん、お酒苦手じゃなかった?」
「アルコールフリー呑むから大丈夫!」
「あぁ、その手があったか…」
私、宮野・朱美(みやの・あけみ)(32)は今、絵画展の友達のD子さんと今度開催される絵画展にご一緒させてもらおうとお誘いの電話を掛けている。 電話の話によるとD子さん、今回は珍しくいつもなら参加しない合評会の後の呑み会に参加するらしい。 酒の弱いD子さんはただ単に酒が苦手だからというだけでなく、所謂『酔っ払い』を警戒していつもならこのような集いには参加はしない。 ただ、どういう風の吹き回しか今回は珍しく、楽しそうな酒の席に入ってみたいと電話中に話を持ちかけてきた。 酒は苦手でも今どきの時代は居酒屋でも、アルコールフリー飲料が充実している。 だからその上で呑み会に参加するか否かは、たとえ酒が飲めなくても、本人がアルコールフリーを希望すれば自由に選択出来るのだ。
従ってD子さんは呑み会への参加を希望した。 私は帰り道を途中までご一緒させてもらうことを条件に、合評会と呑み会のある当日の昼過ぎに展覧会会場にて彼女と落ち合う約束をした。
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