たった一杯の「ご褒美」を巡る切ない物語でした。
仕事に追われ、心がすり減っていく毎日。美味しいはずのランチでさえ、なぜか美味しく感じられない……。物語は、そんな主人公・ましろの乾いた心象風景から始まります。この冒頭に、同じように日々を戦う多くの人が胸を締め付けられるのではないでしょうか。
そんな彼女が、自分自身を取り戻すためにわざわざ手に入れたとっておきの「いくら丼」。
今日という一日を乗り越えるための、希望の光。このご褒美を心の支えに、彼女は雑踏の中を歩き出します。
しかし、このささやかな幸せを巡り、彼女の心は大きく揺さぶられることになります。果たして彼女は、その大切な一杯を心から味わうことができるのか。
疲れ果てた彼女が最後にたどり着いた場所とは。
うぅ、切ない。切ないです。
頑張りすぎてしまう全ての人の心にそっと寄り添ってくれる、優しさと苦さに満ちた作品。おすすめ!