シャーク・ウォー
とりま とりね
前編
ザッパーン!!
ある日のこと。
サーク州ロレンチーニ郡にある地元では有名なビーチ、フーカヒーレビーチに泳ぎに行っていたある男性が行方不明になった。
そして、3日後。
男性のものと思われる血がついた服だけが見つかった。
ロレンチーニ郡警察は事件・事故の両方の面から捜査していたが、
そのときはまだサメによるものだと疑う者はいなかった…。
???「ワシはこの頃からサメのせいだと思っていたけどな!」
――――――――――――――――――――
【ある夏の日】
今日もフーカヒーレビーチは若者たちで賑わっている。
ロレンチーニ郡警察の巡査、マイクはこの平和な一日が毎日続くように、そして愛する娘が幸せであるようにと祈っていた。
そんな中、警察署に一通の無線が届く。
――フーカヒーレビーチにてサメが出没。
既に重傷者、死者が出ている模様。
警察署ではマイク含め6人が2台のパトカー
でビーチに急行したのだった。
ビーチでは阿鼻叫喚。
血まみれの死体に大きなサメ。
逃げ惑う人々。
この惨状を前に、警察官のジムも「まじか…」と呟いていた。
トムおじさんは「ムム、このサメはかなり強いぞ!用心するといい」と言い残し去って行った。
マイクら警察官はこのサメに銃を向けた。
すると、サメはガトリング砲を背中からニョキッと生やし、ビーチの人々に撃ち始めた。
なんか強そうだったハンターも重火器には弱く、跡形も無く殺された。
警察官6人のうち2人がこのガトリング砲で殉職した。
マイク巡査は、「これは俺たちじゃ太刀打ち出来ない!早く逃げるぞ!!」
と叫び、パトカーで退散した。
応援要請により駆けつけた警察の部隊が15分後に到着すると、
綺麗だったビーチは赤く染まっていて、既にサメは海に戻っていた。
【サークニュース24】
「サークニュース24の時間です。」
「ロレンチーニ郡で悲劇が発生しました。」
「ロレンチーニ郡にあるビーチ、フーカヒーレビーチにサメが襲来し、死者120名、行方不明者30以上を出す大災害が発生しました。」
「当局はこの災害のことを、『フーカヒーレサメ災害』と名付けました。情報は以上となっています。」
――――――――――――――――――――
次の日、ロレンチーニ郡警察は会見を行った。
――なぜ死傷者が出ていたのに6人しか出動させなかったのですか?
――事前に予期することは可能ではなかったのですか?
――以前発生した男性の死亡事故と関連は?
マスコミからは質問と非難の嵐。
人間たちが争っている間にも、サメたちは準備を整えていた。
――――――――――――――――――――
そして『フーカヒーレサメ災害』から5日後、ロレンチーニ郡の人々に絶望が襲いかかる。
サメの大群・襲来。
かの悲劇のビーチ、フーカヒーレビーチに上陸したサメたちの数はおよそ200。
トムおじさんも「やばいよやばいよ」と言い、急いでクラシックカーに乗りハイウェイを駆けていった。
チュドーン!!
建物がロケランシャークにより破壊されていく。
ロレンチーニ郡南部、ホージロでは建物がサメにより破壊され人々が逃げ惑っている。
さらにサイバーシャークにより外部への通信も出来なくなっていて、孤立した町はパニックに陥った。
しかし、サメたちが人々を捕食し、町を破壊していくためにその声を小さくなっていった……。
サメたちは人々を襲い、ロレンチーニ郡とその近くの郡の8つの町が壊滅状態と化した。
そしてサメたちはロレンチーニ郡北部、郡役所もあるジンベーの間近まで迫っていた。
ジンベーでは人々が逃げ、ところどころパニックによる自爆や殺人などが発生している。
州知事が緊急事態宣言を発令したものの効果は薄く、警察も対応に追われていた。
マイク、ジム、ボブ、ケイトの“サメ災害”を生き残った4人組はジンベー南部の治安維持、サメへの警戒に勤めていた。
するとついにサメがやってくる。
ボブは「ついに…来たか…」と呟き、
銃を構えた。
サメはチェーンソーシャークやレーザーシャークなど、10頭以上。
死を覚悟したそのとき、軍の特殊部隊、「サメ絶対コロスンジャー」が登場。
サメ絶対コロスンジャーとサメ軍団の戦闘は激しく、三日三晩戦った後なんやかんやあってサメたちは宇宙に飛んでいき、ジムとケイトが結婚し、トムおじさんが「めでたし、めでたしじゃな」とスクリーンの端っこからひょっこり出てきて言った。
シャーク・ウォー
監督:サメノコト・ムーチー
配給:シャークバトル社
マイク:
ジム:
ボブ:
ケイト:
トム:
~~~~~~~~~
スクリーンから出た後。
私はカフェにいた。
私の座席の向かいでは、
「なんだよこのクソサメ映画!つまんねえ!」
「しかもなんだ『フーカヒーレ』に『ロレンチーニ郡』て!サメのことバカにしてんのか!?」
「あとトムおじさんテメーは誰だよ!!」
スクリーンでは隣の席で映画「シャーク・ウォー」を見ていた友人…サメオ――名前の通り彼はサメだ。 が声を大きくあげて荒げている。
私は、
「まあまあサメオ君や、この映画にもそこそこ面白いシーンはあったんじゃない?」
と聞いてみると彼は、
「いいや、ないね。」
「だいたいこの作品の監督はサメへの造詣が無さすぎる。」
「そもそもサメはこんなに攻撃的なサメもいないしロケットランチャーやらサブマシンやらで攻撃もしない。」
「こんなの3歳児でももっとマシな映画を作れるね。」
と言う。
そこで私は、
「ならさ、サメオ君。」
「君が怖いと思うサメ映画は一体どんな感じかい?」
と聞いてみた。
そして彼は、彼の思うサメ映画の内容をポツリポツリと語り出した……。
シャーク・ウォー とりま とりね @toriaezu_tori
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