短編集
@MizushiroTsukasa
幸せなモブ化
彼女がRPGの村人CPUになった。
あんなに気まぐれで感情豊かで700万画素だった彼女。今では256×224ドットの荒い画面で、たった1つの割り当てられたセリフしか言わない。
村人「私の黒猫はとっても可愛いのよ。」
後のゲームの伏線にもならなさそうな圧倒的なモブセリフ。なんとか彼女を元に戻そうとゲーム内の魔王を倒しては、裏四天王、隠れボスを撃破。幻獣を捕らえては、妖精の怒りも収めた。それでも彼女は一向に元にもどらない。
どれくらいの年月をこのゲームに費やしただろうか。思い返せば飯よりも回復薬を飲んだ回数の方が多いかもしれない。そして孤独の病室で老いて皺くちゃなおれは全クリの瞬間を迎える。そこでまさかのSSSSR報酬イベントが起こる。こんなの初めてだ。
王様「勇者よ、今までよく戦ってくれた。ただお前はこの架空世界に時間を割きすぎた。あまりに可哀想だ。そろそろ寿命を迎えるお前に次の転生先だけは決めさせてやろう。のぞみはなんだ。何になりたい。」
なんだ、どうせだったら願い事くらい叶えてくれればいいのに。ケチな王様だ。彼女を助けられなかったおれに来世の希望なんてあるはずない。
あ。
「それってゲーム内の黒猫でもOKですか?」
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