されど母は強し

おれの親父はチビだ。

身長で人を判断するのは良くないが、正直おれは親父をナメている。一方おれはいわゆる高身長の部類に入るくらいにはでかい。母方の家系に似たのだろう。


そんなある日、お気に入りの厚底ブーツを履こうとしたら親父を踏みつぶしてしまった。どうやらおれの靴を勝手に履こうとしたら、中に落ちてしまったようだ。こればっかりは悲しい。焦ってお袋を呼びに行こうとしたがおれは途中ですっ転び、お袋のスリッパの中にダイブしてしまった。もちろん出れそうにない。親父と自分の背中がはじめて重なる。いずれその時も訪れるだろう。


まぁ家庭内バランスは母親に傾いていた方がうまくいくらしいし、尻に敷かれるよりかはマシか。

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