世界のマグロ図鑑

悪食

世界のマグロ図鑑①


1. シロガネマグロ


学名:Thunnus argentatus


サイズ:1.5〜2.2m


生息地:北太平洋、ルクス深海溝(200〜500m)


特徴:体表が銀色に輝き、月光に群れると海面に「銀の橋」が浮かぶように見える。


別称:シロマグロ、ホワイトツナ



食べ方・味

身は淡白で脂が少なく、刺身よりも炙りや西洋料理のポワレに向く。塩を振ると表面が銀色に光るのが特徴。


豆知識コラム

古代の水夫たちは、銀の群れを「月の遣い」と呼び、船旅の吉兆とした。



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2. ツチホシマグロ


学名:Thunnus terranigris


サイズ:80〜120cm


生息地:インド洋、ハーシャ海域の砂地


特徴:砂に潜る習性。斑点は星空のように並ぶ。


別称:スナマグロ、ドットツナ



食べ方・味

やや土の香りがあるが、煮込みにすると旨味が出る。カレーや香辛料との相性が良い。


豆知識コラム

地元の漁師は、星模様を数えると「明日の天気がわかる」と信じている。



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3. アカボラマグロ


学名:Thunnus rubrocauda


サイズ:2〜3m


生息地:南太平洋、カルナの外洋


特徴:赤い尾びれ。群れると海が燃えるように見える。


別称:アカオマグロ、スカーレットツナ



食べ方・味

身は濃い赤身で鉄分が多く、味が力強い。塩漬けや燻製にして保存食にされる。


豆知識コラム

赤い群れが現れると「嵐が来る」とされ、船乗りの避難目印になった。



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4. キンムラサキマグロ


学名:Thunnus auraviolet


サイズ:1.2〜1.6m


生息地:東シナ海、ソラス諸島海域


特徴:背は紫、腹は金色。産卵期はさらに発光する。


別称:ハレマグロ、オーロラツナ



食べ方・味

身は上品な甘みがあり、刺身にすると黄金色の脂が浮く。祝いの席で供されることが多い。


豆知識コラム

かつてソラス諸島では、婚礼の宴で必ず一匹を奉納する風習があった。



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5. オオノドマグロ


学名:Thunnus grandigula


サイズ:3〜4.5m


生息地:大西洋、グロウム深淵帯


特徴:低い音を響かせる。航海者にとっては「海の守り神」。


別称:ゴウオンマグロ、サウンドツナ



食べ方・味

肉質はやや硬いが、長時間煮込むと独特の旨味が出る。スープや出汁に使われる。


豆知識コラム

夜の海で響く低音を聞いた船乗りは「この声が聞こえた航海は必ず無事に終わる」と言った。



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6. ヒカリウオマグロ


学名:Thunnus lucens


サイズ:60〜90cm


生息地:日本近海、星降り湾


特徴:腹部に発光器を持ち、青白く光る。


別称:ホタルマグロ、ナイトツナ



食べ方・味

小型で柔らかい白身。天ぷらや干物にすると淡い光を残すことがあるといわれる。


豆知識コラム

江戸時代の記録に「夜釣りの灯を要せず、魚が自ら灯す」と記された。



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7. クロガネマグロ


学名:Thunnus ferreus


サイズ:2.5〜3.2m


生息地:北大西洋、アイゼン寒流域


特徴:鉄のように硬い鱗を持つ。


別称:テツマグロ、アイアンツナ



食べ方・味

赤身は鉄分が非常に多く、やや金属的な風味。ステーキや鉄板焼きに好まれる。


豆知識コラム

沈没船から見つかった短剣の刃は、この魚の鱗を鍛えたものと伝わる。



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8. ユメミマグロ


学名:Thunnus somnium


サイズ:1〜1.5m


生息地:インド洋、サナトリス暖流


特徴:夜に漂う姿を見た者は奇妙な夢を見ると言われる。


別称:マボロシマグロ、ドリームツナ



食べ方・味

白身で繊細な味わい。煮物や酒蒸しにすると柔らかく、眠気を誘うと信じられてきた。


豆知識コラム

古代航海誌には「夢を食む魚」と記録され、占い師が身を干してお守りにした。



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9. ハクホウマグロ


学名:Thunnus niveus


サイズ:2〜2.7m


生息地:南極、ヴァルナ氷海


特徴:真っ白な体色で氷山に紛れる。


別称:シロフブキマグロ、スノーツナ



食べ方・味

肉は淡雪のように柔らかい。火を通すとすぐに崩れるため、冷凍保存が難しい“幻の味”。


豆知識コラム

極地探検隊の記録に「この魚を口にした日は寒さを忘れた」と記されている。



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10. カナタマグロ


学名:Thunnus mirabilis


サイズ:不明(目撃例では5m超)


生息地:伝承の海、アウロラ大渦の彼方


特徴:実物は捕獲されていない。水平線に消える巨魚として語られる。


別称:オオゾラマグロ、ミラージュツナ



食べ方・味

味は伝承のみ。「食べると大海の夢を見る」と伝わり、誰も実際には口にしていない。


豆知識コラム

航海譚には「見た者は必ず帰路を見失う」と記され、憧れと畏怖の対象となっている。

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