第6話 二度目の真実

第6話 二度目の真実


 国境を越えた草原を、ひとり歩きながら空を見上げる。

 見慣れない星座。広すぎる世界。

 胸に広がるのは、不安と……ほんの少しの高揚感だった。


(さて、これからどうするか……だよね)


 手元の小袋を振ると、じゃらりと硬貨の音がする。

 これが尽きれば、すぐに路頭に迷う。生きるためには次の手を考えないといけない。


(定番は冒険者ギルド、かな?)

 武器を持って魔物退治。強くなれば食いっぱぐれないし、物語でよくあるパターンだ。


 でも――私は首をかしげる。

(実際やったら、死ぬ確率高いよね……)


 他にも選択肢はある。

 商人の下で荷運びや雑用をする。宿屋で働く。あるいは農村に紛れて、ひっそり暮らす。


 想像をめぐらせると、どれもこれも一長一短だ。

 力も人脈もない今の自分には、どの道も簡単じゃない。


「……ま、考えてもキリないか」


 苦笑しながら、夜風に吹かれて歩を進める。

 本当なら、こんな状況で冷静に職業相談してる余裕なんてあるはずがない。

 でも私は、不思議なほど落ち着いていた。


 それは――。


(……まあ、理由はわかってるんだけどね)


 私は草原に腰を下ろし、星を見上げて小さく息を吐いた。


(だって――異世界召喚、二度目だし)

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