第5話 男の娘サキュバス本領発揮
僕を引っ張っていく男の匂いに、強烈な男性ホルモンを感じた。
もともと、サキュバスの能力で彼の性欲が満タンなのはわかるけど、犬の嗅覚を得た今はその匂いでも彼の中の欲望が目に見えるようだ。
「あん、どこに連れて行くんですか?」
甘い悲鳴を上げてやると、その男は僕の顔を見下ろして、にやりと笑った。
鋭い目つきの中に、
そして連れてこられたのは、狭い倉庫だった。
折りたたみ椅子やテーブルなどが積み上げられている。埃の匂いが鼻についた。
そしてその一角に古びたベッドが置かれていた。
「服を脱げ」
言いながら彼が僕のローブの裾を持ち上げた。幸い、部屋の中には僕ら二人きりだ。
最初は捕まった人の集団に紛れ込んで、凛々子の行方を誰かに聞こうと思っていたけど、ここは成り行きに任せるか。
僕はいつものように男に背中を向けるとローブをめくって、お尻をさらけ出す。
男は低いうめき声を一つはなって、僕のお尻にキスしてきた。
すぐに彼のはち切れそうな亀頭が僕のアナルを押し広げる。
彼が腰を入れると、その先端が僕の中にズルリと侵入してきた。
いいところに当たる。ううん、気持ちいい。
でも、今はのんびり快感を味わっている場合ではないのだった。
僕はお尻の穴をキュンと絞って、中の男の肉棒を適度に刺激してやる。
そして速やかに射精に導く。
五回目の射精を終えさせるのに、十分ほどしかかからなかった。
僕から離れて眠り込んだ男を横目に、僕はお尻の力を抜いて手のひらに彼の精液を垂らす。
そしてそれをひと舐めした。
男の娘サキュバスの能力の一つ、精液を口で飲むと、その男の知識を得ることができるのだ。
お尻で得た能力と、口で飲んだ知識で、この軍人の戦闘スキルが身についた。
彼の持っていた機関銃を取り上げて、弾倉を確認する。
そんな僕の手の動きには迷いもなく、長年扱い慣れた滑らかな動きだった。
これまで銃なんて扱ったことない僕だけど、今の僕は軍隊レベルで武器の扱いができるようになったのだ。
そして、凛々子の所在を確かめるために、彼の最近の記憶に焦点を当てる。
支援部隊として乗り込んできた彼らの目的が浮かび上がった。
この近くにあるデータセンターのAI関連基盤やデータを奪うことが目的のようだった。
この町の県職員にデータセンターの係の者が居るようだ。
多分その人間を探しているのだろうけど、詳しいことはこの男は知らないようだ。
下っ端なのだろう。
そして最も重要な凛々子の情報は、残念ながら彼の記憶の中にはなかった。
この男は僕らのいた町の偵察と、住民をこの場所に移送する役割をしていたようだけど、彼の記憶の中に凛々子の顔はなかったのだ。
さて、どうするか。凛々子がここに居ないのなら僕もさっさと脱出するだけだけど、この男が知らないだけということもある。
一瞬、この男の服を脱がせて、それを僕が着て軍人に変装する、なんてアイデアも浮かんだが、それは浮かんだ途端に却下だ。
どう見ても服のサイズが合わないし、美少女顔を見られれば一発でバレてしまう。
よく見るスパイドラマのようにはいかないな。
ではと考えて、やはり最初の方法で行くことにした。
眠り込んだ男を優しく揺り起こす。
「ねえ、起きてくださいよ」
軽く男の背中をさすると、一度ぶるっと体を震わせた男は首を振りながら目を開けた。
「あんまり気持ちよくて、寝込んじゃったですね」
僕がそういうと、男はハッとした顔をして立ち上がる。
一瞬気恥ずかしそうな顔をした彼は、僕の顔を覗き込んで、可愛いやつだ、と中国語で呟いた。
彼の精を口にしたことで、中国語のつぶやきも今の僕には理解できる。
「僕も気持ち良かったですよ。またしましょうね」と中国語で小さく言ってやると、男はニヤけた顔で、では来いと僕の腕を引っ張った。
狭い倉庫から出て、部屋を移動する。
男に腕を引っ張られ、僕は薄暗い通路をさらに進んだ。
やがて、男は重い鉄の扉の前で立ち止まった。
鍵を開け扉を開く。そこに僕を押し込むと、扉は閉められ、鍵のかかる音が聞こえた。
そこは窓もない倉庫の一室だった。
薄暗い蛍光灯が天井でチラつき、埃っぽい空気が鼻をつく。
部屋の奥には、八人の女性たちが壁際にうずくまるように座っていた。
一人は髪をかきむしったまま虚ろな目で天井を見つめ、一人は破れたスカートの裾を必死に繕おうと指先を動かしている。
若い娘がすすり泣けば、隣の年長の女が静かに背をさすった。
一見して、ここには若い女が集められているのだとわかった。
テーブルの上には、粗末なパンと天然水のペットボトルが無造作に置かれていた。
女性たちの視線が一瞬僕に集まるが、すぐに興味を失ったように目を伏せる。
ここに凛々子の姿はない。
部屋の中の空気をゆっくり吸い込む。凛々子の残り香はどこにもなかった。
この部屋に凛々子が居た形跡はないようだ。
「あ、あの。中学生くらいの女の子、見かけませんでしたか?」
近くの若い女に聞いてみた。
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