扉
魔力の流れから何処かへと繋がる扉を感じ取った僕はそのまま手でその扉を開ける。
「ちゃんと見た目扉しているな」
「待て待て!?急に何を開けた!?」
「いや、なんか魔力の流れを感じましたので。行けるかな?と思ったら、行けました」
これ以上の説明はない。
魔力の流れから別のところへと通じる扉のような気配を感じたので、こじ開けてみた。それだけだ。
「ま、待て!それ以上は進んでならない!」
そんな僕の行動に対し、ヤクザの組長は焦ったような声をあげる。
「ふっ、どうやら当たりを引いたみたいですね」
「そうみたいだな」
ヤクザの組長が焦っているということは間違いない当たりだ。
「ずいぶんと良い感じの場所に流れ着きましたね」
扉を開けた先に広がっていたのはずいぶんと幻想的な空間だった。
ほのかに光る植物に覆われたその小さな空間の中央には一つのテーブルが置かれている。
「……あかないな」
そのテーブルには引き出しがあったのだが、鍵がかかっていて開かなかった。
「力づくで壊すか?」
「いえ、辞めた方がいいでしょう。魔法が込められています……それも、かなり強力です。まずは辺りの散策からしてみましょう」
「おー、そうか。一旦従っといてやるよ。とはいえ、このせっまい空間で何か見つかるかね?」
「……これは」
天井、壁、床を埋め尽くすほのかに光る樹木。
それに触れる僕はその、魔力の流れに何処か既視感を覚えて眉を顰める……どこだったか。何処かで確か、僕はこの魔力の感じに触れた気がするんだけど。
「おっと」
なんてことを思いながら樹木に触れていると、いきなり樹木が動いて僕の腕を飲みこみ始める。
「防衛装置を反応させちゃったか」
それを強引に引き抜いた瞬間、この部屋全体が蠢きだし、足も掴んで引きずり込んでこようとする。
それだけじゃなく、樹木から石の手が伸びてくる。
「うお!?なんだこれっ!?」
「ゴーレムかな?」
「オォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!」
伸ばされた石の手を僕がはじき返している間にも樹木の中から腕のその先までゆっくりと伸びてくる。
僕たちがここに入った段階で、侵入者を迎撃する魔法が発動していたみたいだね。
樹木の中から出てくるのは石のゴーレムの肩であり、頭だった。
ゆっくりと胴体も伸びてくると共に、この空間そのものも広がっている。
「開けなくとも同じだったか」
端から迎撃の為の魔法が発動していたのなら、無理にでもテーブルの引き出しを開けた方が良かったな。
今更になって僕は視線を再びテーブルの方に向かわせる。
「……無理か」
今からでも開けられないかと思っていたのだが、そのテーブルは既に床として広がっていた樹木の中へと沈んでいっている。
あそこから取りに向こうのはそう現実的じゃないな。
結構強めの魔法がかけられていたし。
「仕方ない、引くか」
僕は一度開けた扉を通って、元のビルの中へと戻る。
「オォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオ!」
そんな僕を追いかけるように石のゴーレムもこちらの世界の方へと出てくる。
「あ~!?潰されている潰されている!ずっと潰されているぞっ!」
「あ~!?ビルが!?ビルが壊されているぅーっ!?」
真紀さんをその腕で捕まえ、握りつぶし続けている石のゴーレムの体躯はかなり大きく、そんな奴がいきなり大して大きくもないビルに出てきたらどうなるか。
そんなのは考えるまでもなくその結果を見ることが出来た。
「人目に、一目についちゃうじゃないかぁぁぁあああああああああああ!?」
最悪だ。
女装しなきゃいけないじゃないかっ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます