第8話
昨日のこともあったし、西条さんはきっと俺に話しかけられることを嫌がるだろう。
いつもの俺だったら、きっと西条さんと距離を置いていただろう、
でも、その時の俺は、何故か西条さんと仲良くなりたかったし、
西条さんのことを知りたかった。
だから、俺は次の日も朝早く学校に行った。
ーー
昨日よりも体に力が入るのがわかる。
もし、西条さんに本気で拒否されたその時は、しっかり諦めよう、
そう覚悟を決めて、教室のドアを開ける。
そこには、昨日までと変わらない西条さんがいた。
でも、昨日までとは違い、西条さんが本を読んでいなかった
そして、教室に入ってきた俺を見ると、初めて西条さんの方から話しかけてきた。
「ねえ、昨日の事だけど、、あれ、本気なの?」
西条さんはいつもと変わらない無表情で声のトーンも一定だったが、
何故か、少し怯えているような感覚を覚えた。
「昨日のことって、西条さんのことをもっと知りたいって言ったことだよね?」
西条さんは頷くこともなく、ずっと黙っていた。
「…そう、だよ。
俺は、西条さんの噂なんて信じてないし、西条さんが嫌じゃないなら、仲良くなりたいって思ってるよ」
「…変わってる性格してるんだね、私と仲良くなりたいなんて」
そういった西条さんの顔は心なしか、いつもよりも少し明るいように見えた。
それから、西条さんと
・他の人がいる前では話しかけないこと。
・話のは朝の時間だけ。
・個人的なことは決して聞かないこと。
・妹の遥さんには関わらないこと。
・家族を含む、他の人たちにはこのことを秘密にすること。
などいくつかのお願いをされ、少し納得いかない部分や気になる部分もあったが、
何より朝の時間に話せるなら俺は満足だった。
そうして俺と西条さんは、朝の約30分の短い時間だけ話すという、
不思議な関係が始まった。
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