第7話 朝の時間

ーガラガラガラー

結局、クラスメイトが教室に入ってきたことで会話は終わり、西条さんは何もなかったかのようにまた本を読み出した。


やっと西条さんと話せた。

それだけで胸の奥が少しだけ暖かくなった。

でも、あんなに普通の女の子があの噂の〔悪魔〕だなんて、とても信じられなかった。


結局、その日は西条さんと再び話すことはできず、

また西条さんと話したくて次の日は、今日よりも早く学校に行った。


ー次の日ー

昨日よりも20分ばかり早く家をでた。

学校にはまだ部活の朝練に来た生徒と先生しかいなかった。


そして、やっぱり教室の電気はついており、

恐る恐る教室のドアを開けると、そこには西条さんが昨日と変わらず本を読んでいた



「西条さん、おはよう、今日も早いんだね」

西条さんは、少し目線を上げると、いつもと変わらない無表情だったけど、戸惑いを感じているのがわかった。そして、少し警戒するように

「、、、、きみ、昨日も思ったけど、もしかしてバカなの?」

想像もしていなかった返事に俺は戸惑いを隠せず、何も言えずにいると、

西条さんは、はぁとため息をついて

「君、私が何て言われてるか知らないの?

それとも、何かの罰ゲーム?」

西条さんの言いたいことが全くわからなかった。

昨日は、まだ薄かった警戒の色がなぜか、今日はより強くなっている気がした。


「どういう、こと?」

やっとのことで言葉を押し出すと、西条さんは呆れたように

「、、、私が悪魔って言われてるの知ってるよね?

変に私に関わると不幸になるかもよ」

西条さんは、表情を1ミリも変えることなくそう言った。

「、、噂なら知ってる。関わるなとも言われたよ。」

俺がそういうと西条さんは、閉じていた本の表紙を優しくそっと触れると

「なら、もう私に話しかけない方がいいよ。朝一だからってどこで誰がみているかわからないしね」

そう、当たり前のことかのように自分を下げて話す西条さんに俺は何故か少しの苛立ちを覚えた

だから、思わず

「噂って西条さんが小学6年生のことに怒ったクラス崩壊を起こした犯人で、悪魔って言われてることだよね?

でも、それが本当であろうとそうでないにしても、俺は西条さんのこと知らないから、信じない。だから、バカでもいいから、これからも話したい。」

一度言葉を発したら止まらなかった。

西条さんは、昨日よりも驚いた顔をして、黙ってしまった。

ーしまったー

今度こそ引かれてしまったかもしれない。

でも、どうしてもあのまま終わらせたくなかった。

何も言わなかったら、もう西条さんとは話すことも出来なくなりそうだったから。


結局西条さんは、その後何も言わなくなってしまい、俺も何て言えばいいのかわからず、暫く気まずい空気が流れた。

そして、

昨日と同じように、朝練を終えた友達が教室に入ってきて、その日はもう西条さんと話すことが出来なかった。


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