第40話 クラム討伐戦1 ブルーアムとクラム

「ねえねえ、龍さんや」

「どうしたのかね?れいさんや」

「俺たち学園対抗戦をしていたんだよね?」

「そうだね」

「じゃあ、どうしてこんなことが起きてるのかね?」

「………さぁ?」

「ふ・た・り・と・も?」

俺と龍牙でふざけ合っていると、後ろから殺気を感じた。恐る恐る振り返ると日向が仁王立ちで俺たちを睨んでいた。

「ひ、日向?」

「ど、どうしたんだよー?日向っちーそんなに眉間に皺を寄せてると、お婆ちゃんに……ごはっ!!」

「龍牙!!」

「だ〜〜れ〜〜が〜〜お婆ちゃんですって??!!」

日向が龍牙のお腹を殴った。あまりの痛さにうずくまってしまった龍牙。

「ふざけてる場合じゃないでしょうが!!あれ、どうすんのよ!!」

試合中の会場で巨大なクラムが登場し、一時的にみんなが避難していた。

ブルーアムが黒い球を副会長に埋め込んだため、クラムが生まれた。他の人には見えないほどの速さだったから、まだみんな気づいてはいないようだった。

先生方が一応クラム対応をしているが、多分先生たちでは勝てないと俺は予想している。何せあの大きさのクラムはレベルが4以上、先生数人でも勝てるか怪しいぐらいの強さだ。生徒会も動いているようだが、草薙学園の生徒会は動かなかった。だって、草薙学園の副会長がクラムになってしまったから。

さっきも言ったように、ブルーアムの行動はみんなには見えていない。

つまり、草薙学園の生徒会はクラムになる可能性があった副会長を残していたと言うことになる。

まあ、動けるはずがない。事情聴取をされるだろう。

「どうする?みんなと一緒に避難しちまったけれどさ」

「そうだな……」

「俺たちにできることはほとんどないよ」

「あのモニターで一応状況は見れるけれど…」

日向がモニターに目を向けていた。

モニターには数人の先生方とクラムになった副会長、あと、生徒会長達がいた。

「何でこうなったんだろうな」

「…………」

俺はモニターに映るブルーアムを見ていた。被害者ヅラをしたその顔が醜く見えて仕方がなかった。

「れいちゃん、怖い顔になってるぜ」

「……龍牙」

「起きちまったことは仕方がない……取り戻すことはできないから」

「……ああ、そうだな」

俺は先生方の様子をモニターから見ることにした。


グガァァァァァァァァァアアアアア!!!

クラムの雄叫びが響いてきた。

クラムが自分の腕を振り回していた。建物の壁をガリガリガリと音を立てて削っていた。生徒達がその様子をモニターで見ていた。

「大丈夫なのかよ……」

「あのクラム、草薙学園の副会長なんだろ?やばくねぇか?」

「それな……」

生徒達が口々にこの状況について話していた。

「空気も最悪だな」

「大会どころではなくなったというわけだねー」

俺は、モニターを見た後、静かに歩き出した。

「れいちゃん!」

「れい兄さん!」

「ブルーアムに用がある……行ってくるわ」

「待て待て……」

龍牙が俺の腕を掴んだ。

「1人で行くな、俺と日向も行くから」

「……好きにしろ」

「好きにしまーす」

俺たちは会場に向かった。


「とんでもないことですね……まさか、生徒がクラムになるなんて……」

「なっ……ま、まだ決まったわけではありませんわ!!」

ヴァイオラ先輩が先生と言い合いをしていた。信じたくないのだろう、副会長がクラムになったことなど……

すると…

「ふん!副会長がクラムだったことを隠していたんだろう!!この我、ブルーアム・リバイアが倒してやる!」

武器を構えて、クラムを見たブルーアム。

その時だった……

グガァァァァァァァァアアアアアアア!!!

さっきまで雄叫びを上げていただけだったクラムが動き出したのだ。

ブルーアム目掛けて攻撃を開始した。

「ふん!そんな動きでは勝てないわ!!」

ブルーアムは武器を上から下へ振り下ろした。

ザンッ!!

クラムが一気に真っ二つに切られた。

グゴァァァァァァァァアアアアアア!!!

苦しそうに叫ぶクラム、だが……

「なっ……!!」

真っ二つになったクラムの体が元に戻ったのだ。

流石のブルーアムもこれには驚いているようだった。

だが……

(素晴らしい!クックックッ……いいデータが取れそうだ)

そう心の中で考えていた。


「どうする?れいちゃん」

「………」

「ちょ……れいちゃん?!」

俺は走って先生方の元に向かった。

「先生!」

「!!君は、草薙学園の!ここに来てはいけない!!下がりなさい!」

「嫌です!俺も戦います!」

俺は先生の静止を振り切って、ブルーアムのところに向かった。

「ブルーアム先輩」

「ん?おや、君は……草薙学園の」

「如月 零です。覚えておいてください」

「……はっはっはっ!我に覚えておけと言うとは……面白い男だな」

「……俺も戦います」

「ふん!そうか…足は引っ張るなよ」

「ええ……ただ、この戦いが終わったら聞きたいことがあります」

「ほう?いいだろう、後で聞いてやる」

「ええ、聞いてください……セレスティアル・アルカナについて」

「!!!」

ブルーアム先輩が驚いた表情で俺を見てくる。

「来ますよ!!」

「!!……あ、ああ!」

動揺していたのは一瞬のことだったが、その一瞬を俺は見逃さなかった。

(間違いなくこいつは『黒』だ!)

俺は陽炎を手に持ち構えた。すると……

「おいおい!れいちゃんだけ楽しむんじゃねーよ?」

「全く、先走るんだから」

「龍牙、日向……」

2人が俺たちと並んだ。

「行こうぜ!楽にしてやらねぇと!」

「だな…」

俺たちはクラムに突撃して行った。


キンキン…!!ガッ…!ドドドド…!!!

クラムの光線が次々と放たれて、かわすのに精一杯だった。

「こりゃあ、やべーな」

「レベル5…いや、レベル6だ」

「こんな強いクラム相手に俺たちだけってやばくね?」

「やるしかない!」

「はぁぁぁぁぁあああああああ!!!」

ガッ!!

「硬!!」

ガッガッガッ……!!ギギギギギ……

どんなに攻撃してもダメージが入ってるようには見えなかった。

「ちっ……クソ!」

退けて、クラムを見た。クラムはずっとブルーアムを見ていた。

(あいつ、ブルーアム先輩だけを狙ってる、やっぱり、意思が……いや、意識があるのか)

ブルーアム先輩が行ったことを俺は許せなかった。だから…

「やるか……あれを」

俺は覚悟を決めた。


「日向!」

「何?れい兄」

「みんなを頼む」

「!!!」

俺は日向の目を見た。日向も俺の目を見て、そして、俺がすることに気づいたようだった。

「正気?」

「あのクラムにまだ、いると思う、副会長が……それに、聞かなきゃいけないことが副会長にもある」

「……元に戻すってことね」

「ああ!」

「……分かった、こっちは任せて、れい兄、頼んだよ?」

「ああ、龍牙!」

「ん?」

「副会長を救う!力を貸せ!」

「!!!了解…」

俺たちは前に出た。

「どこら辺にいるか、探してくれ」

「了解」


『サーチ・ペルセプション』

龍牙が副会長の気配を探した。

「クラムの左……胸部らへん……奥の方だな…何かに捕まった状態で、眠ってるみたいだ」

「了解、あとは……」

俺は陽炎を消して、構えた。

「日向!頼む!」

「了解!」


『クイック』

俺の体が浮かび上がり、クラム目掛けて飛ばされた。

手を伸ばし、クラムの左胸部に手をつけた。

だが、その瞬間……

グガァァァァァァァァアアアアア!!!

クラムが暴れ出した。

(クソッ!!俺がやろうとしていることに気づいたのか?……けど、今しかない!!)

俺は無理矢理にでもクラムに引っ付いた。

そして……


『マインド・ダイブ』


グガァァァァァァァァアアアアアア!!!

クラムが突然暴れ出した。頭を抱え苦しそうにもがいていた。

俺は副会長と話をするため、クラムの中に潜り込んだ。

「声を聞かせろ!!」


クラムの中は真っ暗で何も見えなかった。立っている感覚もない状態だった。

「どこにいる?副会長!!」

すると、上の方に何かに囚われている副会長の姿が見えた。ぼんやりとだが、そこにいるのが分かった。

「副会長!!」

俺は副会長の元へ足を動かして向かった。

目をつぶっていて、意識がないように見えた。

「副会長!!起きろ!」

体を揺さぶると少し反応した。

何度も揺さぶると……

「き……みは……」

口を動かしたのだ。

「しっかりしろ!副会長!!あんた、ブルーアムに何された?!答えろ!!」

すると……

「ダれだ?オレサマのホン……タイにコエヲカケてるヤツハ……」

「お前は……」

副会長の体に巻き付いてるものに目が現れた。ぎょろっとしていて、俺の姿を見つけると、鋭い目つきになった。

「キサマか??」

「そうだ、副会長から離れろ!!クラム!!」

「……ガハハハハハ!!コノワレにハナれろとイウトハ……コノカラダはワレノモノダ、キサマニナンカワタスモノカ!!」

さらに副会長に巻きつこうとしやがった。

「この!!」

俺は陽炎を呼び出し、巻き付いてるものを切った。

ゴォォォォォォォォオオオ!!!

炎が燃え上がり、クラムを燃やし始めた。

「グッ………キサマ!!」

クラムは今度はこの俺を取り込もうと巻き付いてきた。

「くっつくな!!はぁぁぁぁああああ!!」

ブワッと剣を振った音がなり、襲ってくるものを切り倒して行った。

「副会長!!囚われたんじゃねー!!!ブルーアムを倒すんじゃねーのかよ!!クラムで倒したら意味ないだろうが!!」

必死に副会長に訴えた。

「それに……あんた、このまま乗っ取られるつもりか?お前のせいでヴァイオラが傷つくんだぞ?!それでもいいのかよ!!」

クラムの攻撃を避けながら、訴えた。届くと信じて………

すると……

「ヴァ……イオラ様……私……僕は……」

まだ意識があったおかげか俺の声を聞いて反応した。

「そうだ!!ヴァイオラに迷惑がかかるぞ!!お前のせいでな!!クラムに囚われたお前のせいでな!!」

「めい……わく…かける、訳には……いか…な…い」

「コイツ、ダメだ!キサマはワレノモノダ!!ヴァイオラなど、キエテシマエ!!」

「なっ……!!コイツ!!」

クラムが自ら動き、外で何かをしようとしていた。

「くっ……副会長!!クラムから離れろ!!自力で出ろ!!」

「僕は……迷惑を……かけない……」

目を開き、手を動かして、クラムの拘束から抜け出そうとしていた。

「はぁぁぁぁぁああああああ!!!」

俺は副会長に向かって陽炎を振るった。

ボォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!

一気に陽炎の炎がクラムを焼き始めた。

「ガァァァァァアアアアアアアアアア!!!ヤ、ヤメロ!!ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ!」

「はぁぁぁぁあああああああ!!!」

ブチブチブチ……!!

副会長が無理矢理拘束から逃れた。

「ははっ!!動けんじゃんか…」

「……感謝する」

副会長がゆっくりと武器を召喚した。

「キサマ!!」

「ヴァイオラ様に迷惑はかけられない!お前は、この僕が倒す!!」

「おいおい、俺を置いていかないで?」

陽炎を握り直し、クラムと対峙した。


「よっしゃあ!!行くか!!」

「ああ!!」


「シマツしてヤル!!!キサマらはワレノモノダ!!」



ギュィィィィィィィンンンンンン!!!!

「な、何?!」

「これは……」

外の世界では、クラムの動きが止まり、体が光り始めた。そして……

「はい、ドーーーーン!!」

とんでもない爆発と共に俺が現れた。

「れい兄!!」

「れいちゃん!!」

2人が俺の姿を見て安心しているようだった。

「さてさて……倒しますかー!副会長!!」

「ああ!」

「なっ……!!」

俺の後ろから副会長が現れた。

「うまく行ったんだな」

「まあ、なんとかな」

俺は龍牙と日向と横に並び、武器を構えた。副会長がいなくなったクラムは抜け殻のように止まっていた。

「動かないんじゃね?」

「いや……こいつは」

すると……

「ギェェェェェェエエエエエエエエエエ!!殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す!」

体を変形させ、手に大量の鎌を生み出した。

「コロシテヤル!!!」

「「クラムが喋った?!!」」

とんでもないスピードでクラムが襲いかかってきた。

「油断するなよ!!みんなでやろうぜ!!」

「おう!!」

俺たちはラウンド2に入った。


※あとがき

うーっす!零でーす!

次回予告するんだが……なんか、クラムに囚われてたみたいだ副会長が……意識があって良かったよ、なかったら殺すところだったわ……


次回、クラム討伐戦2 共闘

お楽しみに!!

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