第35話 俺、学園対抗戦出場!!

冬が近づいてきているというのに、めっちゃ日差しが照り付けていた。

今日は学園対抗戦という大型の大会がある。草薙学園以外の学園も参加しており、全5校が参加する。

対抗戦とは、カルムである俺たちが能力で戦うチーム戦で、1年生から3年生が参加する。チームはごちゃ混ぜになっており、誰と組まれるか分からない。決まっているのは在籍している学園の生徒同士で組まれるということだけ。

あとは、どんな能力を使ってもいいが、殺傷能力があるほどの威力は使ってはならない。そういうルールはある。

そんな大会に俺たちは参加させられる。まあ、学園に在籍していたら強制で参加するのだが…

不安なことが1つ……それは…


この大会にクラム殲滅部隊が偵察に来るということだ。


何でも学園祭よりも先にこの大会で強そうなカルムを探すためらしい。

俺たちのことが奴らの目に止まればめんどくさいことになること間違いなしだ。

だから……

「絶対に目立つなよ!!」

「いや、零が1番目立ちそうだが?」

「そんなことねーもん!」

「どうだか…」

魁斗と話しながら学園に登校した俺は、必死に訴えた。

「まあ、魁斗さんが言ってることは間違ってないからねー」

「ひどくない?!」

「「ひどくないひどくない」」

魁斗と日向の2人に言われてしまい、ズーンっと気分が落ち込んだ。

「ううう……兄ちゃん泣くぞ?」

「はいはい……それで、チームはどうなるの?」

「教室に貼り出されるらしいが…っと俺はこっちだからまたな」

「あ、はい!ありがとう!魁斗さん!」

「……じゃーなー」

俺と日向は魁斗と別れて、自分たちの教室に向かった。


「……マジか」

「あははは……狙ってる?これ」

「やったぜー!!」

教室に貼り出されたチームを見たとき、俺と日向は苦笑いするしかなかった。

何せ書かれていたチームは


『1-2 如月 零  1-2 如月 日向

1-2 北條 龍牙 ………』


「まさか同じチームだとは……」

「狙ってるとしか思えないんだけれど、叔父様絶対、勝とうとしてるでしょ?これ」

「まあまあ……俺たち3人が揃えば最強じゃん?」

「勝ちたいわけじゃないんだよー」

「バレないようにしないとねー」

「うーん、バレそうな気がするけれどなー」

龍牙が呑気にそんなことを言った。

「手加減できる気がしない……日向と龍牙が同じチームなら…」

「いやいや、手加減はしてよ!じゃないと殺傷能力有りって見なされて失格だよ?」

「ちっ…」

「ちっ…じゃねーよ?!」

龍牙と日向に手加減するように言われてしまった。

「それじゃあ、行きますか!」

「「うぇーい」」

教室を出て、会場に向かった。


草薙学園から会場に入るゲートがあるらしく、多くの生徒がそのゲート付近に集まっていた。

「結構人いるなー」

「確かに、まあ、全校生徒だからなー」

「学年で対抗戦になるんだっけ?」

「いや、1年生から3年生までがごちゃ混ぜになってる」

「なるほどね」

「ん?ってことは、1年生、不利じゃね?」

「まあ、そうだな」

「だから、3年生がカバーするって感じだと思うけれど……」

何か気になることがあるのか周りを見渡す日向。

「なんかあったか?」

「ん?いや、草薙学園の生徒だけだなーって思ってさ、他の学校の人たちどこにいるの?って思って」

「あー、確か各学校にゲートがあるって話だったぞ?多分、ゲートの先の会場にいるんじゃないか?」

「なるほどね…」

「そうなると、会場はめっちゃ人多そうだな!!」

龍牙が1人めっちゃはしゃいでいた。

「こらこら、説明を聞かずに突っ走るな!」

「ぐぇぇええ…」

龍牙の首を掴んで引きずった。

すると…アナウンスが流れた。

「これよりゲートを開放いたします。準備ができた人からゲートを通ってください。」

そのアナウンスと共にゲートが開いた。次々と生徒が通っていく。躊躇なく通っていった人たちは多分、2、3年生だと思う。

「俺たちも行くか」

「だね!」

「よし!やるぞー!!」

俺たちもゲートを通った。


ゲートの先は広い空間が広がっていた。ただ、周りは暗く、人の顔がギリギリ見えるぐらいだった。

「暗いなー」

「思ってた感じと違うね?」

「なんか、お化けとか出てきそう……」

「何ビビってんだ龍牙」

「だ、だってよ!お化けがクラムよりも1番怖い存在なんだぞ?!俺たちの攻撃が喰らわないんだから!」

「はいはい…2人ともーお化けの話をしてないで、チームの人のところに行くよー?」

「「……はい」」

大人しく日向の言うことを聞くことにした。


チームは5人で1チームらしく、俺たち以外にあと2人いる。その2人が意外と近くにいたので、合流した。

すると…

「皆さん揃いましたかね?では、これより学園対抗戦を開催します!」

「うおおおおおおお!!!」

司会者の方が開催を宣言すると、会場中が盛り上がった。

「まず初めに、各学園の学園長からお言葉をいただきます。」

5人の学園長が現れた。当然、その中に叔父さんもいた。

(ちゃんと喋れるのかよー?あの人は…)

俺は少し心配しながら話すのを待った。

「諸君、毎年恒例のこの大会…自分の実力を試すことができる。先輩から後輩までみんなが強くなれることを願っている。頑張りたまえ!」

「わぁぁぁああああああ!!!」

パチパチパチパチ…

叔父さんの話が終わった。

「意外とまともなこと言ってたな」

「だねー…いつもはふざけているのに…」

「まあ、ああいう大人が1番カッコよかったりするんじゃねーの?」

「「カッコいいか?あれ…」」

俺たちは呆れながらそう言った。

そして、他の学園長も話し始めた。

「思う存分、力を発揮してもらいたい。」

「全力で戦え!」

「勝つことに意味があるのです!」

それぞれの言いたいことを言った学園長達。最後の1人が何をいうのか気にしていると……


「くだらないな」


「え?」

突然、その学園長が静かに言った。

「勝てとか、全力で戦えとか…古すぎるな…そんな考えだから、いつもあなた方の学園は弱いのでしょう?」

「あ?」

学園長同士が睨み合い始めた。

「我々の生徒に負けまくっているあなた方の考えがとても甘いことがよく分かりましたよー」

「喧嘩売ってんのか?あ?」

空気がピリつき始めた。

「あれ、大丈夫か?なんか、いやーな予感するんだが……」

「あははは…学園長同士でも仲が悪いみたいだね……」

すると…係員の人がすぐに学園長達を退場させた。

「えー…あははは……まあ、学園長達も熱くなっているということで、続きまして、各学園の生徒会長から挨拶です。」

(司会者が苦笑いしてるよ…)

(これ、毎年のことなのかな?)

俺と日向は心の中でそんなことを思った。


「皆さん!」

草薙学園生徒会長、ヴァイオラ先輩が登場した。

「今回の大会は草薙学園だけでなく他の学園の生徒も集まって行われる大会ですわ。全力で叩き潰しなさい!」

「!!!!」

会場中がざわついた。

「ほう!それは、我々への宣誓布告と捉えてもよろしいですかな?」

他の学園の生徒会長達が立ち上がってそう言った。

「ええ!構いませんわ!今年の我が校には強すぎる生徒がいますから!」

(あっれー?いやーな予感がさらにするんだけれど…)

「へぇーそんな生徒がいるんだー…なら、楽しみだな!そいつをコテンパンにするのが!」

めっちゃやる気を出してる生徒会長もいた。

「はぁ…だる…早く終わらそー」

めんどくさそうにしている生徒会長もいた。ただ、その人からは…

(悪的な能力を感じるな…あの人注意かも…)


「自分の言ったことが分かっていないようだな」

ピリっとさらに空気がキツくなった。

その人物はとてつもない気配がしていた。

「何だあいつ…」

「なんか…やばそうだね」

「あいつに勝たないといけないのか?俺ら」

冷や汗をかき始めた。

「あらーヴァイオラちゃんの言ってることは正しいと思うわよーん?ただ…私達が勝つから、ヴァイオラちゃん達、草薙学園の勝ち目はないと思うけれどなー」

「何ですってーー!!」

「わぁー!ヴァイオラちゃんが怒ったー」

生徒会長同士で熱くなっているようだった。

「日向…今、お前が思ってること言ってやろうか?」

「あらら、奇遇ですねーれい兄、私もれい兄が思ってること当てれますよ?」

2人揃って言ってしまった。


「「早く大会始めろやー!!!」」


「生徒会長達のお話もここまでにして、それでは、皆さん思う存分、戦っちゃってくださーい!『エキシビション・インポース!』」

すると、突然光が目を覆った。

「うわっ!」

「眩しい!!」

「皆さん!頑張ってくださいねー!くれぐれも……」






「死なないように」





※あとがき

零でーす!

始まったー!!何かの大会が!!!もう、内容がカルムの戦闘大会なんだけれどー!!

はぁ……どうにかバレないように勝たないとなー


次回、学園対抗戦2 戦闘

お楽しみにー!

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