第29話 緊急会議

暗い部屋に閉じ込められていた。椅子に座らされ、手を拘束されている。

「めんどくせぇー」

「完全に拉致だな、これ」

「だねー」

俺と日向、龍牙の3人が真っ暗な部屋にいる。クラムを倒した後、先生方が俺たちを捕まえて、連行していった。そして、この暗い部屋に入れられ、聞きたいことがたくさんあるから、待っていろと言われた。

「何を聞いてくると思うー?れいちゃん」

「さあな、多分あのクラムについてだろ」

「……人だったもんね、あのクラム」

「ああ、確実に生きてた人だ。それがクラムに変えられたんだ。」

「学校の人か?ここに来るのって」

「分からないが、国ではないと思う」

すると…

ギギギギッ……

静かにドアが開いて、眩しい光が差し込んできた。

「神城 零、神城 日向、北條 龍牙、3名はついて来い」

「やっとお呼ばれかー」

俺たちは立ち上がって、部屋を出ていった。


長い廊下を歩いていき、大きな扉を開けて中に入ると……

「うわぁ……だるいパターンだー」

「………最悪」

「マジか……」

学園長と理事長のダブルパンチが待っていた。

「おう!お前達、中に入って来い」

「うぇ……はぁー」

俺たちは嫌々2人の前に立った。

「さて、ここに呼ばれた理由は分かるな」

「………この前のクラムの件だろ?」

「ああ、そうだ…お前達が倒したクラムについて教えてほしくてな」

叔父さんは頭をかきながらそう言ってきた。

「この学園で生徒が3名行方不明になっています。それについて、知っていることも教えて欲しいのです。」

理事長さんが鋭い目で俺たちを見てきた。

「………今回、俺たちが戦ったクラムはレベル2のクラムです」

「レベル2…ですか、確かにそこまで強くはないように思えましたが……」

「そのクラムは俺たちの対戦相手の3人組です。行方不明になっている生徒もきっとその3人でしょう」

「!!!」

「なっ……!!」

理事長と叔父さんが驚いた表情をしていた。

「過去のことを知っているお二人ならもう、分かるでしょう…」

「まさか、奴が動き出したのか?」

「そこまではまだ、分かりません。けれど、彼が関わっていることは間違いないかと……3人の生徒はクラムになった後、自我を保てず、暴走したため、我々で倒しました。」

「………そうか、ご苦労だった。」

「いえ……」

俺たちは淡々とその時の状況を伝えた。

理事長と叔父さんは俺たちのことを知っている。だから、普通に伝えた。他の人ならば、濁したり、誤魔化したりするが……

「もしだ…奴が動き出したとしたら、何が起こると思う…?」

「多分ですが、クラムの百鬼夜行を計画しているかと……」

「!!!あの、百鬼夜行か」

「はい、あの時の百鬼夜行でも、多くの人がクラムにさせられていました。もう一度起こるとなると……この街…いや、この国が大変なことになると思われます」

「まずいな……」

2人ともどうしたものかと悩んでいるようだった。


「報告ご苦労…今回の件は、我々だけの話としよう…先生方や生徒に知られないようにな」

「「「はい」」」

「では、もう戻って良い」

「了解です」

俺たちは学園長達から離れていった。


「れいちゃん……やっぱり、響也が関わってるのかな?」

「さぁ?分からないが、高確率で関わっていると思う。人工クラムについて研究していたのはあいつだからな」

「そうだったら、俺らあいつと戦うことになるのか……なんか複雑…」

「仕方ないよ、俺たちは響也を救えなかったから……もう、誰もあいつみたいになってほしくねぇ」

「………そうだな」

パンッ!

日向が手を叩いた。

「ま、響也さんの話はここまでにして……そろそろ、体育祭と文化祭があることお忘れですかー?」

「「あ」」

この学園の体育祭は全学年合同らしい。そして、種目は1つ、カルム同士のチーム戦らしい。

「先輩達と戦うってことだよな………あの先輩達いるのかな?多分いるよな……」

「………嫌なんですけれど」

「暑苦しい感じになりそうだよねー」

「あと、文化祭はクラム殲滅部隊が来るって噂が流れてたぜ」

「それって………どゆこと?」

「……クラムが来る可能性があるって判断したんだろう」

「「マジか……」」

日向と龍牙が絶望したような顔をしていた。

「クラム殲滅部隊は、俺たちが1番関わっていた部隊だ、絶対にバレないようにしないとまずいことになる」

「だな……行かないでおこうかな…文化祭」

「クラスの出し物あるでしょ…多分その手伝いで駆り出されるよ私たち」

「あ、終わった……」

さらに、絶望したような顔をする龍牙。

「諦めろ……とにかく、考えないようにしないとな……」

「だね」

「…………最悪だ」

俺たちは教室に戻っていった。


キーンコーンカーンコーン…キーンコーンカーンコーン

「よっしゃー!!終わったー!」

終業のチャイムが鳴った瞬間、龍牙が叫んだ。

「帰るかー、昨日のこともあって、体が痛いし」

「だねー」

すると……

「おーい、3人ともー」

「「「ん?」」」

声がした方を見ると、悠真達がいた。

「おー!悠真!どうしたー?」

「いや、帰るなら、俺らも一緒でいいかー?って思ってさー!」

「オッケー!帰ろー」

俺たちは校門に向かった。


歩いていた俺たちの足が止まった。

「どうした?れいちゃん、日向っち」

龍牙や悠真が俺たちを見た。

「これは……」

「あははは……最悪」

俺と日向は窓からある方向を見た。その瞬間…


ガッシャーン!!!


窓ガラスが割れた。

それと同時に、黒くて大きな球が飛んできたのだ。

俺と日向は間一髪で避けた。

「なっ……!」

「………めんどくさいね」

「ああ……」

俺たちはお互いに見合うと…

「悠真!龍牙!走れ!」

「「お、おう!」」

悠真と龍牙が走り始めた。


校庭に出ると…

黒い服を着た男が立っていた。まだ、生徒もいるこの状況で、襲ってきたのだ。

窓ガラスが割れた影響で、学校の警報が鳴りまくっていた。

「なぁ、俺ら巻き込まれすぎじゃね?」

「マジで、だるいな」

「だ、誰だ?あの人」

悠真が困惑していた。

「あいつは……」

すると…男が話し始めた。

「はっはっはっ!!また、会いましたね」

「………会いたくなかったがな…ヴォイド」

前の校外学習であった男だった。

「ふっふっふっ……覚えていてくださって嬉しい限りです…お仲間が他にもいらっしゃいましたか……まあ、いいでしょう…私と遊んでください」

「断る、そんな気分じゃねーんだよ、俺たち」

「そうそう、回れ右して帰ってくれない?」

「そういうわけにはいかないんですよ…そうですねー遊んでくださらないならば……こうしましょう」

男が大きく振りかぶって、振り下ろした。

バキバキバキバキッ……

「キャア!!!」

「うわぁぁぁぁああああ!!!」

次の瞬間、地面がバキバキに割れて、帰っている生徒に襲いかかっていた。

「おいおい…はぁー、めんどくさいなー!!」

「やるしかないのね…」

「お前らこいつと戦ったのか?」

「まあ、前にな……やるぞ!他の人に危害を加えないように!」

「おう!」

「了解!」

「お、俺も!」

悠真も一緒に戦うらしい。

「無理すんなよ!」

「ああ!」

俺たちはヴォイドと戦うことを決めた。


「くっくっくつ……楽しませてくださいね?」


※あとがき

どうも、悠真です!

なんか、怪しい男と戦うことになりそうなんだけれど……誰なんだ?こいつは……


次回、怪しい男 再来

お楽しみにー!

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