第19話 俺、定期試験に苦戦
「うへぇー、しんどいよー」
「あちぃよーーーー」
「帰りたいよーーー」
「寝たいよーーーー」
「ご飯た……」
「うるさいわ!」
「あたっ!」
「いてー…!」
俺と龍牙が教室の机に突っ伏しながら、お互いに文句を言っていると、日向に頭を叩かれてしまった。
「痛いんですけれど…何するんだよー日向ー」
「暴力反対!」
「2人がうるさいからでしょ?お昼休みに何叫んでんのよ」
「だってーもうすぐ定期試験だぜー嫌じゃーん」
「そうそう、遊びたいんだよー俺たちはー」
「いや、定期試験終わったら、夏休みじゃん」
「そうだけれど…定期試験がいらないんだよー」
「やりたくねぇーよー」
「はぁ…めんどくさ」
日向にめっちゃ呆れられた。
近々、草薙学園の定期試験が始まる。今日は土曜日なのだが、俺と龍牙は定期試験の勉強のため学園に来ている。そのため、暑い中、勉強をするという地獄にあってます。
「はぁ…何で私まで…」
「日向っち頭賢いじゃん?俺に教えて欲しくてー」
日向は龍牙に頼まれて、学園に来ている。ちなみに日向は、成績が良い方で、中学の時は上位の成績を出していた。龍牙は中の下ぐらいだった。俺?俺は上位に入ってたよー。え?どこの上位かって?そりゃあもちろん中のだよ。
何で兄妹でしかも双子なのに妹の方が成績上なんだよー!!
「れい兄も早く勉強する!勉強しないから中の上くらいなんでしょー!ちゃんと勉強したら、学年の上位に入れるのに…」
「うっせー!勉強は好きじゃないんだよー!」
「今回の定期試験で赤点だと、夏休み補習らしいから、頑張りなよー」
「「うぇぇぇぇぇええええ!!!」」
次の日…
「ねえ!なんか死にかけてる人いるんですけれど…」
「ゾンビが2体いるー」
「本当だー!」
俺と龍牙の周りでごちゃごちゃいう奴らがいた。まあ、日向と魁斗、蓮斗の3人なのだが。
「……なんだよ」
「いや、ちゃんと勉強してるのかと思って来てみれば、お前達2人が机の上で突っ伏していたからな、呼んだら顔が死んでたし」
「そうそう!ゾンビみたいな顔してさー」
「昨日、勉強しすぎたからですかねー?」
「誰がゾンビじゃい!」
俺は3人にツッコミを入れながら、自分のノートを見せた。
「これでどうよ?結構やっただろ?」
「確かに…あ、ここの数式間違ってるぞ?」
「うええええ!!」
よく見てみると、確かに間違っていた。
「はぁ……合ってると思ってたのに…」
「てか、龍牙はいつまでそうしているんだ?」
まだずっと机に突っ伏している龍牙に魁斗が話しかけたが……
「…………」
「……え、無視?」
「ん?寝てるんじゃね?おい!龍牙!」
龍牙の肩を揺さぶると、顔が魁斗達の方を向いた。完全に寝ている顔だった。
その顔を見た瞬間、魁斗の体がわなわなと震え出した。そして…
「起きろーーーー!!!何寝てるんだよ!!」
スパーンッ…
「いってーーー!!!」
魁斗に頭を叩かれて、龍牙が飛び起きた。
「おはよう、龍牙さん」
にっこり笑っている日向が龍牙に声をかけた。
「あ、お、おはようございます……
ヒィッ!!」
龍牙が日向の意味深な笑顔に震え出した。
「あらら、日向が怒ってるわ」
「あちゃーこりゃ、今日は鬼指導だな、帰れるかな?龍牙」
「どうだろうねー」
俺と蓮斗が日向の姿を見てコソコソっと話した。
「龍牙、勉強しようか」
「龍牙さん!しっかりやりましょうか?」
「ヒェェェェェェェエエエエエ!!れいちゃん!蓮斗!助けてー」
「「こっち来んなーーーーー!!!」」
龍牙が俺たちに助けを求めて来たので、速攻で逃げることにした。
「ううーーーん…何とかなりそうだなー」
「結構、集中してたね?」
「まあ、あれぐらいはしてもらわないとな」
「わぁお、かいとは厳しいねー」
俺と日向、魁斗、蓮斗、そして、龍牙の5人で勉強会をした。俺も日向もそれなりに勉強が出来て、安心していた。因みに、龍牙はというと…
「………………」
顔が死んでます。何にも話さなくなって、トボトボと俺たちの後ろをついて来てます。
(まあ、あれだけ日向や魁斗にしごかれたらなー、こうなるわ)
龍牙は勉強会が始まって早々、爆睡をかまし、日向にボコボコにされ、魁斗が横にピッタリくっついて、スパルタ勉強をしていた。もちろん休憩はほぼなし。見ていて、やばすぎ!って思った。だから、こっちに飛び火が来ないようにしたため、黙々と勉強することができた。
「よし!もうすぐ試験日だし!がんばろー」
「「「おおおおおおーーー!!!」」」
「……………」
そして、地獄の定期試験がやって来た。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン……
「終わったーーーーーー!!!!」
「しんどすぎーーーーー!!!!」
試験終了のチャイムがなって、俺と龍牙は同時に叫んだ。
長かった定期試験がやっと終わったのだ!
「これで、もう勉強しなくて済むなー」
「長かったぜー」
「2人とも気を緩めるの早すぎでしょ?」
日向が俺たちのところへ来た。
「手応えはどうだった?」
「まあ、いけてんじゃね?」
「赤点はないと信じてる」
「そ、まあ、お疲れ様ってことで」
「だな」
「おっしゃー!!れいちゃん!日向っち!駅前のカフェ行こうぜー!!」
「「お前(龍牙さん)の口からカフェ?!」」
「え……そんなに驚くこと?」
「いや、お前、カフェとか行くタイプだったんだーって思って」
「いや、行くだろ?美味しいお店だったらさ」
「今日は雨が降るのかな?傘持って来てないけれど」
「日向っち?!雨降らないし!そんなに珍しいかー?」
「珍しいな、地震起きてもおかしくない」
「そこまで?!」
「「うん、そこまで」」
「2人揃って言うなよーーーー」
ずーーーんってなった龍牙を俺たちは笑いながら帰りの支度をした。
点数発表当日……
「テストいけてるかなー?」
「さあな、まあ、あれだけやったしだいだろ?」
俺と龍牙はテストの順位表を見に行った。この草薙学園では、定期試験の結果は張り出されることになっている。点数と学年順位だ。
「お?人が集まってるぞ?あそこか?」
「ぽいね?いこー」
俺たちは順位を確認してる人たちに割って入っていった。
「えっとー俺の名前はー」
俺の名前を探すと…
「あ、あった、えっと…『156位 425点』おおー!!何とかいけてるな」
俺は順位が上の方だったため安心した。
「龍牙は……」
「れいちゃん!!お、俺……」
龍牙が何だか不穏な雰囲気だった。
「え、何点だったんだ?まさか……」
「『267位 386点』だった……」
「うええええええ!!すごいじゃん!」
学年で2万人ぐらいいるから、俺と龍牙の順位が高すぎることに驚いていた。てか、2万人もの生徒がこの定期試験を受けていると言うことだ。順位は2万まであるはず…
そう考えると俺と龍牙が3桁の順位なのがすごいことだった。点数は500点満点だから、俺や龍牙よりも上の人がほぼ450点以上は取っていると言うことになる。
「なんか、順位が低そうに見えるけれど、点数がまあまあ、高い方だから、素直に喜んでいいのか分かんないな、なんか、微妙な感じ」
「まあ、2万人いるしなーてか、2万人の生徒の順位張り出してんだろ?えぐ長いじゃん!」
「日向達はどうなんだろう?」
「お!見てみるか!」
俺たちは他のメンバーの点数を見ることに、すると……
「「え!」」
日向 『92位 468点』
魁斗 『63位 473点』
日向と魁斗はこの点数と順位だった。
「やっぱりすごいなーでも、あの点数であの順位なんだな、なんか、変な感じ…」
「確かに……で、蓮斗はー」
蓮斗 『34位 485点』
「「え!!」」
蓮斗の点数と順位を見て、俺たちはびっくりした。
「え…蓮斗ってそんなに頭賢かったん?マジ?!」
「知らなかったなぁー俺も」
俺たちは、他の3人の順位が高すぎて、俺たちがまだまだなのだと思った。
「テスト返されたけれど、赤点がなかったぞーー!!」
龍牙が俺にテスト用紙を見せながらそう言って来た。
「おおおーおめでとさん、これで夏休みに入れるな」
「おう!」
俺と龍牙は拳を合わせた。
「2人ともー大丈夫だったー?」
そこへ、日向がやって来た。
「おう!赤点、2人ともなかったぜー」
「これで遊べるよな?!」
「うん!遊べるねー夏休みだーーーー!!」
日向も楽しそうだった。
「よし、夏休みの計画練るぞ!」
「了解!」
「オッケー!」
俺たちは教室でわいわい騒いだ。
◾️???? 視点
「ふむ、随分遅かったですね?」
「遅れてしまい、申し訳ありません」
学園長、理事長、他の幹部や先生方がみんな揃っていた。
「まあまあ、これで揃いましたし、議論を始めましょう」
円形の机に10人が並んで椅子に座っていた。
円形の机にの真ん中にはモニターがあり、そこをみんなで見ながら、話し合うらしい。
「今回、集まってもらったのは、以前から話していた内容について、決定していきたいと思っている。」
学園長の春風先生が切り出した。
「あの部活のことですか?」
「ああ、近頃、クラムが出現することが増えて来た。我が学園でも優秀な生徒はたまに討伐に参加している。だが、向こうのクラム討伐部隊の連中はよく思っちゃいない。討伐の邪魔をする奴だっているそうだ。」
「クラムの討伐の手柄を横取りされたくないんでしょうねー」
理事長の神羅先生がそう言った。
「まあ、討伐を目的としたチームを作っておらず、単独で討伐に行ってもらっているからな、色々言われるのは分かっていたことだろう?」
「そうですね」
「まあ、仕方ないことだな」
先生方も頷いていた。
「そこでだ、以前にも話したが、クラムを討伐するチーム、まあ、部活を設立しようと思う。」
「部活という形でクラム討伐に参加してもらう。ということですね?」
「そうだ、そのために今ここにいるみんなの意見が聞きたい。部活を作るか作らないか」
先生方は考え出した。私としては部活があった方が世の中のためにはなると思う。しかし、危険があるのは確か。優秀な生徒でも、死んでしまうことはある。
(まあ、早々に死なないように訓練するけれど)
「作ってもいいと思います。ただし、無茶をさせない程度に」
先生の1人がそう言った。
「私は反対だ!こんな危険なことにカルムの生徒達を巻き込めないぞ」
幹部の1人が反対した。
「いや、いずれはクラムに立ち向かってもらうし、この学園はそのための学園でしょ?先生が立ち合いの元でクラム討伐に参加させればいいのでは?」
私が意見を出した。
「ふむ……確かにそうだな…」
みんな考えはまとまったらしい。
「では、設立の方向でよろしいか?」
「ああ」「ええ」
先生方や幹部の皆さんの許可が降りた。
「ふむ!では、クラム討伐の部活を設立する」
学園長の言葉で決定した。
部屋を出た後、部屋の中で、春風さんと神羅さんが話していた。
「この部活には、あいつらを入れようか」
「入れて大丈夫なのですか?」
「分からんが、優秀なのは確かだ、隠しているがな」
「…………」
「それに、あいつらにはまた、働いてもらわないと困る、何せ……」
「世界最強だからな」
春風さんの手元には5人の学歴書があった。
そこには、
『 如月 零 』
『 如月 日向 』
『 北條 龍牙 』
『 海代 魁斗 』
『 西園寺 蓮斗 』
※あとがき
いやー、定期試験疲れだぜー
どうもー、零でーす。
なんか、不穏な空気になってなかったか?
俺、次は何に巻き込まれるのー?
勘弁してくれー
次回、クラム討伐部
お楽しみにー
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