第4話 両親が大急ぎでやって来た

両者の話し合いはぶつかって堂々巡りで物別れに終わる。この日から夫婦らしい会話もなくなり、食事の時も賑やかな話し声もなくなり挙げ句にジャックとソフィアは別々に食事をとるようになった。ただし子供には仲が悪化している事を悟られないように、子供の前では仮面夫婦を演じ続けた。


顔を合わせてもすれ違いざま互いを睨んで敵意をむき出しにした。メイドたちは何とも言えない表情で見守る事しかできなかった。でも一週間後には、おしゃべり好きのメイドのせいでが立っていた。


おしどり夫婦とも呼ばれていた二人が、顔を見ればいがみ合うという話が同僚や友人知人たちに知られて、ジャックとソフィアの事を心配するような手紙が送られてくるようになった。


「――お前たちは何をやっているのだ!」


二人が喧嘩をしているという話はついに互いの両親にも伝わり、話し合いが行なわれることになる。ジャックの父の公爵家の先代当主が怒鳴り声を上げた。積極的に国政へ関わることもなく、事実上の隠居生活を送っていたところ、あの仲良しの二人が夫婦喧嘩してるのか? という思いであった。


ソフィアの父も当主を引退して、伯爵家の当主は兄のダニエルに任せて悠々自適の生活をしている。互いの両親は毎日のんびり暮らしていたら、ジャックとソフィアが夫婦喧嘩の真最中と噂で聞いて仲裁するために飛んできたのだ。


今回の一件の根本的な喧嘩の原因は何なのか? とにかく一刻も早く両親は知りたかった。仲の良いあなた達に何があったというの? という様子でジャックとソフィアの母も美しく気品高い顔立ちが、憂わしげな表情に変わって不安そうな瞳の色をしている。


「実は次男のリアムが、僕の本当の子供ではないのではと疑っています」

「な、なんだと!?」


ジャックはゆっくりと重い口を開いた。続いてまたしてもジャックの父が怒号を発した。室内にいる他の人も思わず驚きの声を立てそうになりますが、どうにか焦る心をおさえて声は出しませんでした。けれどみんなが動揺を顔に漂わせている。


「ソフィア……あなたまさか……」

「お母様、冗談でもそんな事を思わないでください。あり得ませんから!」


部屋の空気は一変していたところ、ソフィアの母が気まずい沈黙を破った。自分の娘に疑心に満ちた顔をして、過去に不適切な関係になった男がいるのか? と頭の中で想像しながら言った。すかさずソフィアは強く否定する。お戯れが過ぎますと冷たい口調でピシリと言い返した。


「そうよね、あなたがそんな事をするはずないものね。私はソフィアを信じていますよ」

「そんなに声を荒げるなよ。本当ならですから否定するのは当たり前です」


母は我が子からそう言われて緊張が緩み少し安心して笑顔になる。そしたらジャックが言い始めた。ソフィアの様子を見逃さないように目を光らせて見ていたジャックは、そんなに強い口調で否定するのは逆に怪しいと意見した。

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