第4話「闘争する日:影猫サイド・パート3」

準決勝進出が決定した後、街の食堂のテラス席。

テーブルにはリヨン名物「クネル(魚のすり身の団子)」「ソーシソン」「タブリエ・ド・サプール(牛胃袋の揚げ物)」、そしてコーラが置かれている。

影猫(椅子にだらりと腰かけ、クネルをつつきながら)

「……はぁ……まったくよ。10%で片づけちまう俺も俺だが、倒される連中も……脆ぇもんだな」


影兎(眼鏡を指で押し上げ、淡々とワインを口にしながら記録帳に走らせる)

「脆さ、というより差異。あなたと彼らの間に横たわるのは『存在の位相』そのものです。

数字にすれば明快でしょう──10対1000。あなたは常に桁外れです」


影兎(ペンを止め、静かに影猫を見つめる)

「……それでも、彼らはあなたに挑む。脆さを承知で、敗北を織り込み済みで。

私はそこに“人間の記録すべき価値”を見ています。あなたが“無慈悲”に見えるのも、その残酷な真実を映すからでしょう」


影猫(ソーシソンをかじり、苦笑しながら)

「無慈悲ねぇ……俺はただの怠け者だぜ?

10%で戦ってるのは、俺が“本気出したら全部終わっちまう”からだ。……でもよ、残る奴らはきっと、その“怠け”すら乗り越えてくる。じゃなきゃこの舞台に立っちゃいけねぇ」


影兎(記録帳を閉じ、静かに吐息をこぼす)

「……やはり、あなたは記録に収まらない存在だ。数字で測り、言葉で縫いつけても、隙間から零れ落ちる。

──それが“万神”の姿か」


影猫(コーラを飲み干し、空を仰ぎ)

「……ただの猫だよ。ちょっと喋れて、ちょっと強ぇだけのな」


影猫はトレーを持って、立ち上がる

「次に対戦相手の能力は知らないが我々の存在を知らすために動く、かつて二代目影神として」

影兎もトレーを持ち、立ち上がり

「止めはしません、ですが敵になるなら容赦はしません」と言う

二人は別々の入り口から会場入りする、影猫は関係者入り口から、影兎は一般入り口から・・・


・・・


ナイジェル・クロウリーの能力名


《虚影魔導(シャドウ・アークメイジ)》

能力詳細


影の召喚術


周囲の影を魔法陣化し、武器や獣を呼び出す。


特に「鴉の群れ」「長剣」「魔方陣の檻」を好んで使う。

幻惑の書(イリュージョン・コーデックス)


古びた魔導書を携え、ページを開くことで相手に幻影を見せ、五感を揺さぶる。


幻影は触感や痛覚すら伴うため、現実と錯覚させる。


呪詛の鎖


魔導書から放たれる鎖で相手の動きを封じ、体力や魔力を徐々に削ぎ落す。


鎖は「敵の影」に絡みつくため、影を持つ者ほど逃れにくい。


影喰らい


倒した相手の影を自らの魔力に吸収し、一定時間強化される。


これにより「勝つほどに強くなる」タイプ。


虚無の詠唱


最奥の術。自身と相手を「影の虚空」に引き込み、一騎打ちを強制する。


外界の干渉を遮断するため、逃げ道はない。

・・・


影猫は控室を出てフィールド入りをする


投影モードが起動され草原の大地が投影された


アナウンサーが興奮気味に「影猫対ナイジェル・クロウリーの対決、所属不明対聖書騎士団の対決だー!フィールドは中世フランスの草原だー!」


動物はホログラフィック、フィールドの天井は青々とした空が浮かび上がる。まさしく中世のフランスだろう。


ナイジェル・クロウリー、本を開きながら「どんな神であれ、存在しているのなら感覚がある、私に魔術からは逃げられまい」

しかし影猫は何とも思ってないか模様に「昔もっと痛かった経験をしたから余裕だな」


試合のゴングが鳴った


3分間草を踏む音しかしなかった、両者けん制していた


ナイジェル・クロウリー「あなた、面白いですね、ここまで何もしないとは」

影猫「その本が武器だろ?あんたは英傑、すぐに倒れられたらむなしいんでね」


ここでナイジェル・クロウリーが攻撃を仕掛ける

ナイジェル・クロウリー「五感に憔悴せよ、幻惑の書(イリュージョン・コーデックス)!」


しかし何も起こらなかった、虚無の影が猫のように背伸びする、しかし、影猫は全く動かない。

ナイジェル・クロウリーは何かを察した、「あなたの本体はそちらでしたか、なら奥義を見せましょう」

と言うと体が引きずり込まれる影猫、しかしその直後


”バサッ!”


空中に浮いていた本がなくなっていた、しかしよく見ると、地面に黒い線に貫かれていた本が見えた


ナイジェル・クロウリーは驚いた、それはまさしく神の遊び心から一撃に変わっていた

虚無の猫影は毛だたせ、怒っていた


審判団は影猫側の旗を揚げ、アナウンサーが「か、影猫の勝利、ナイジェル・クロウリーは戦意喪失ぅー!」


ナイジェル・クロウリーは地面に膝をつき「敗北しました、あなたはかつての神そのものです」と敗北宣言と尊敬の辞を述べた

影猫は「奥義、虚無の詠唱、相手の影を引きずり込んで一騎打ちするもの、そんな技繰り出したところで勝てないとわかってただろ?」と訊く

ナイジェル・クロウリーは「わかっていましたよ、ですがここは神格王を決める場所、ここで引けば問われるだけの戦士と化してしまします、聖書騎士団団員兼ローゼンガウス教会司書としての意地がありますからね、ここで引きたくはなかったんですよ」


・・・


5分間の沈黙が続いた


・・・


影猫が語り掛ける「あんたは素晴らしいやつだよ、これからも精進していけ。名乗るのを忘れていたな、二代目影神「影猫」だ」

ナイジェル・クロウリーも名乗る「ロンドン聖書騎士団兼ローゼンガウス教会司書ナイジェル・クロウリーでございます」


この試合後の一連の会話に賞賛と驚愕の嵐に満ち溢れていた


影兎は冷徹に称賛も驚きもせず記録していた

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Log-kageneko-1-3


これは影族と人間の闘争、されどその実力は無慈悲だった

しかし今回は慈悲を与えたに過ぎない


勝者:影猫

勝敗を分けたもの:闇槍


相手:戦意喪失


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影兎はため息をつきながら、「あの猫は・・・まぁ今回は許そう」とめんどくさそうにしていた


影猫は控室に戻り、次の対戦相手を見る。対戦相手はアンドリュー・スコットだ、

影猫は「まだ負けられないな、余裕で勝たないと」と独り言のようにつぶやいた。

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