第6話 友達増える

学校の教室の自分の席についた俺は、入れて来た、教科書や筆箱を机の中に入れた。

(まさか、この歳になって小学生から始めるとは…前の時は高校生だったし、授業とかは、大丈夫だと思うけれど…それ、以上に心配なのが……)

俺は、友達を作ることを目標にしていた。

前の時は友達が出来なかったからだ。せっかく小学生になったんだ、この時期から人と仲良くなって、友達を作ることをしようと思った。

(友達が出来ないとまた、前と同じになってしまう…絶対作りたい!)


朝の会が終わり最初の授業が始まった。国語らしく、簡単な漢字をノートに書いたり、国語の教科書に載っている文章や物語を音読したりして、1時間目を過ごした。そして、15分の休憩時間……

(小学生の授業が懐かしすぎる……簡単な問題ばっかりで楽すぎるなーってそんなこと思ってないで、友達作らないと!!)

俺は周りを見回した。すると……

「れいくん、お話ししよ?」

「え?」

声がした方を見ると、レインが俺のそばにいた。

「僕と話してくれるの?」

「はい!おはなししたいよ。だって、お友達でしょ?」

「本当?!やったー!」

俺は心から喜んだ。


「れいくんはさっきの国語の漢字分かった?」

「ああ、うん、分かったよー、[赤(あか)][青(あお)][白(しろ)][黒(くろ)]でしょ?簡単だよー」

「ふふ!流石だね。国語をおべんきょうするのむずかしいから、がんばるんだー」

「そうなんだ!レインは海外から日本に来たの?」

「うん!オーストラリアから来たんだーパパが日本が好きだからって」

「そうなんだ!ようこそ!日本へー」

「ふふふ…ありがとう、れいくん!」

レイン楽しそうに話していた。


2限目は算数の授業だったが、小学生の算数はとても簡単だから、出された問題を次々と解いていった。

3限目は図画工作だった。俺は絶望的に絵が下手で、犬を描いたのに馬?って言われたことがある。だから、3限目は凄く憂鬱だった。

4限目は道徳だった。人と人の関わり方や、自分自身の気持ちを伝えることが、大事だと言っていた。俺は、この体の感情を時々感じる。怒り、憎しみ、つらさ、苦しさなど負の感情がたくさんあるのを。

(この体の持ち主である神城くんの感情だな、そりゃあ、怒りも憎しみもあるよなー、それに内気な性格だったからか自分の意見を感情を伝えることが出来なかったんだよなー、なんか、俺に似てるな…)

俺は彼が感じれなかった幸せというものを感じることができるのか不安になった。

(でも、俺に友達が出来た。絶対、彼の分まで幸せになってみせる!!)

俺は改めてそう決意した。


4限目が終わった後、楽しい楽しい給食があり、お腹いっぱいになった。

(何でかな?昔は普通に食べてて何も思わなかったのに、前の時、ご飯を自分で作って、自分で食べてたから…誰かに作ってもらって、美味しいご飯を食べることがこんなにも幸せだとは思わなかったなー)

俺は幸せに感じながら、帰宅した。


家に帰ると、母さんが待っていた。

「おかえり…今日は早かったわね」

「ただいま、うん、練習あるからね」

「そう…まあ、やる気があるならそれでいいわ、では、始めましょう」

「はい!」

俺は楽器の練習をするために、自分の部屋に入った。


「今回はあなたは、ギターで参加してもらうわ。しっかり練習しなさい!」

「はい!!」

俺はギター取り出して、弾く姿勢になった。

「では、始めます。」


ジャーン、ジャンジャカジャンジャカ、ジャッジャジャジャ…

母さんの教えの通りに弾いていく。聞いたことのない曲だったが、心が温かくなるようなリズムだった。

(楽器を弾いたことがないけれど、意外といけるもんだな、昨日も弾いたけれど、やっぱり体が覚えているんだな、これぐらいになるまで、練習したんだろうか……)

俺はこんなに努力をしたことがなかったから、神城くん…前の彼がどれほど努力したのか、その辛さはどれほどのものなのか、俺には理解できないが、体がそれを伝えてくれていた。


「今日はここまでにします。…前よりは演奏ができるようになっています。まあ、まだまだできていないところはありますが…」

「本当ですか?!やったー!!…あ」

無邪気な子供のように喜んでしまったため、恥ずかしくなった。

「これからも練習を怠らないように!では、以上!!」

母さんはそれだけ言うと部屋を出ていった。


夜19時、父さんと母さん、姉さん、兄さん、瑠奈、そしておれの6人がリビングに集まって、食卓を囲んでいた。すると…

「玲、今日の練習はどうだった?」

突然、父さんが声を掛けてきた。

「は、はい!!母さんから、前のよりはできるようになって来ていると言われました。」  

「そうなのか?どうなんだ?」

「ええ、できていました。また、観客の前に立てるほどの実力はまだ、ありませんが…」

「そうか、分かった。まだまだできていないことが多そうだ、怠らずに練習を続けろ!いいな!!」

「…はい」

本当にこの人は褒めるってことを知らないらしい。

「ごちそうさまでした、練習をしてくるので、失礼します。」

俺はこの居心地の悪い空間から出たくて、食事を終えた。


夜22時、練習を終えて、風呂に入り、もう寝る準備をしていた。すると、

コンコンコン…

「はい!どちらさまで?」

「お兄ちゃん、瑠奈です。入ってもいいですか?」

「ああ、いいよー」

ドアが開き、瑠奈が立っていた。枕と人形を持って。

「どうしたの?瑠奈、こんな遅くに…」

幼稚園児の瑠奈にとって、22時は遅い方だ。

「えっと、その……いっしょにねても…いいですか?」

「眠れなかったの?」

「…はい」

「分かった、おいで」

ちょこちょこと歩きながら、俺のところまで来て、ベットに腰掛けた。

俺の横に枕を置いて人形を抱き抱えると横になった。

俺もベットに横になって、瑠奈と向かい合わせにした。

「お兄ちゃん、あたたかい…」

「おやすみ、瑠奈」

「おやすみ…なさ…い…むにゃむにゃ…すー」

瑠奈はすぐに眠ってしまった。

(俺も…ふぁぁぁあ…寝ないとなー)

俺もすぐに眠った。


夢を見ていた。真っ白な空間に俺は1人立っていた。

(ここは、どこだ?)

すると、前方に誰かが立っていた。

「おーい、誰かいます?」

俺は声を出して呼んでみた。

すると、その人物がこっちへやって来た。

近づいて来たその人は全身が真っ黒でまるで影みたいな姿をしていて、原型がなかった。

(何だ、この人…って言うか人なのか?)

すると…

「ど…どうし…て、僕は上手く…でき…ないの?こんな…にも練習………してた…のに…」

(上手くできない?練習したのに?何だろう、この子見たことがあるような…)

「お…まえは…どう…して、笑顔で…あの人たちと……はな…しが…できるんだ?わから…ない、僕に…はでき…なかった。」

(あの人たち?もしかして、父さん、母さんのことか?)

「そうだ、僕…にはでき…なかった、あの人……たちの暴力も暴言…も耐える…ことが…どうして…」

(まさか、君は…!!)

驚いていると、誰かに引っ張られている感じがした。そして、急激に眠気が来た。

(あ!ダメ……ダメだ眠ったら……まだ、君に…言ってない…ことあるのに…ああああ!)

俺の瞼が閉じられていく。

「…た、…あえ……この……で」

完全に意識を手放す直前、彼に何かを言われた気がしたが、もう、聞くことはできなかった。


※あとがき

なんか、学校生活楽しそうですねー

私なんて、小学生の時に遊びまくって、いつも泥だらけで帰って来てましたからねー


さて、今回夢の世界で誰かに会いましたねー勘が鋭い方は気づいたのでは?


次回、彼に与えられた能力が解放されます!!

お楽しみに


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