第2話 新しい特殊アイテム
キィィィン!
うああああ!頭が!頭が割れるよーに痛い!
こ、この目の前にあるお宝、ただのお宝じゃない!
特殊アイテムだ!遺跡体質のオレには分かる!
今自分が身につけているこの人間化アイテムと共鳴している!
しかしここまで強烈なのも久しぶりだぜ…。
これは以前人間化アイテムを見つけたあの時以来の感覚だ…。
ちなみに人間化アイテムは今オレの右の腕輪になっている。
これ、一度身につけたら外せなくて結局換金出来なかったんだよな…。
ま、そのお陰でこうして人間化出来たから後悔はしてないけど。
特殊アイテムの扱いは遺跡体質者にとって難しいんだ。
下手に触るとアイテムに適合者と認定されて大抵は触った本人しか使えないブツになっちまう。
特殊アイテムもかなり需要があるから出来れば使わないまま手に入れたいところ…。
直接触る必要のない…そう、何か箱とかに入っているといいんだけど…。
何故遺跡体質者にしか使えない特殊アイテムにそんな需要があるかって?
特殊アイテムって言うのは大抵その造形が見事なんだよ。
つまり美術品としても価値があるって訳。
オレが頭の痛みを抑えながらお宝に近づくとそれは…今にも壊れてしまいそうな箱に入っていた。
一応箱に入ってはいるけど…かなり慎重に扱わないと…。
ゆっくりと…慎重に…細心の注意を払って…。
ハシッ!
まずは箱の両側を掴んだ…よし!このまま…このまま…。
ボロボロボロボロ…
うあああああ!持ち上げようとしただけで崩れたあああ!
崩れた中に入っていたのは鈴のようなお宝だった…。
ど、どうやってこれを持ち運んだらいいんだ…。
このまま放置して帰るのも…勿体無くて出来ないし…。
仮に触ったって特殊アイテムの全てが触った者の専用アイテムになる訳じゃないし…。
それに…承認されてしまったらそれはそれで何かすごい効果を与えてくれるかも知れない…。
…ゴクリ…。
オレはしばらく考えて…やっぱりその鈴に触れる事にした。
その後にどんな出来事が待っているか深く考えもせずに…。
にゃああーん!
こ、これは…すごく…気持ちいいっ!
快感が身体を貫いて何かが変わる…生まれ変わるよう…。
新しい世界が目覚めていく…にゃはぁぁぁーん!
はっ!
これはお恥ずかしい…。つい我を忘れてしまったぜ…。
この感覚は、前に人間化アイテムに触れた時と同じ…
この鈴もそんな使用者を選ぶ特殊アイテムだったか…。
これでもうこの鈴は売る事は出来なくなった…その代わり何かいい能力が身についたならいいかな。
これが特殊アイテムの怖いところなんだけど身に付けるまで何の能力に目覚めるか分からないんだ…。
どんな特殊アイテムも必ずいい効果が現れるとは限らない…中にはバッドアイテムだってあるんだ。
例えばこの人間化アイテムだって人間が身につけたってまるで意味がない。
あ~あ、特殊アイテムの説明書とかあったら楽なんだけどなぁ。
噂では古代語のデータベースみたいなのがどこかにあって特殊アイテムのデータもそこに全部載っているって言うけど、今までそう言うのが見つかったって話を聞いた事がない…やっぱりそれは都市伝説なんだろうか?
さぁて、このアイテムの効果は何だ?鬼が出るか蛇が出るか…。
オレは精神を研ぎ澄ませ体の異変が何かないか探ってみた。
特殊アイテムって言うのはこうやって感覚で探るのが能力を発見するのに一番手っ取り早い。
何かに目覚めても普通はすぐに何が目覚めたのか感知するのは難しい。
自分の才能にすぐに気付くのが難しいように特殊アイテムで身につけた能力も気付かなければ使えない。
さて、精神統一…精神集中…っと。
…おおい!また先を越されたのかよっ!
…あの泥棒猫、遺跡体質だなんてズルいよな!
…発掘隊って何か特別に探しているアイテムがあるって言うぜ…
これは…誰かの心の声が…?
他人の心の声が流れ込んでくる…?
そうか、この鈴の能力がこれか。
しかし考えようによれば厄介な能力だなこれ。
人の心は疑いと裏切りと欲望に満ちている…。
ま、最初から分かっていれば人間不信にもならないか。
嘘が見抜けるようになったって言うのはそれなりにメリットだし。
結局今日の収穫はこの鈴以外は特にめぼしいものにはありつけなかった。
今日みたいに一日分食い繋ぐ程度のお宝で満足しなきゃいけない日もある。
日によっては全然収穫がない日だってあるくらいだ…。それに比べたら今日なんてまだマシな方さ。
ふぁ~あ…
今日は疲れた…新しいアイテムを身につけると体が慣れるまではすごい体力を消耗する。
悪人退治とか今度体調が完全復活してからでいいか。
それに最近はそんな吐き気を催すような悪にも出会ってないしな…。
そんな訳でもう眠いんで寝るわ…おやすみ…。
明日は金になるお宝が見つかるといいな…。
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