3:蘇生ランゾウ その3
「戦闘フィールドは、上下5階層まで有るので、床が抜けたら
亀裂が到達し、マッチョ王子様の、お足下が崩落なされた。
―――つっっおおうりゃあぁぁぁぁぁぁっ!
跳ぶ
「あまりの臨場感に、つい逃げといて、助かったわっねっ!」
宙に投げ出されながらも、飛び散る小さな
はぁぁ!
―――落ちていく
踏まれた勢いで、完全に失速したイケメンは、抱えていた最愛の特別講師を、思い切り投げた。
「重っもっ!」
「なぁんですっ―――」
重くないですと怒る特別講師は、空中で振り向こうとして、姿勢を崩す。どったんばたり。
受け取ろうとして、一緒に倒れ込む小柄な少女達を、見届けたあと、彼は、マグマの照り返す亀裂へ飲み込まれていった。
当然、親指を立てたままだ―――
(キャーッ、カッケー!)
ここには居ない、気の抜けた少年声が、聞こえてきたのかもしれない。
放たれたばかりのボウガンの矢のように、すっ飛んでいたNPC
その背後、ふわっふわに広がるスカートを押さえる
灼熱地獄へ堕ちた、少年は、足下を見て、それから燃えさかる炎を、ガシャガシャと蹴散らしていた。
「熱くは無えぜ、面白れー」
炎を踏んで、登ってきた
「なんてスベスベした、―――子供みたいな小さな手なんだ」
「握りながら、指先で撫で回すんじゃないわよ! 気色悪い!」
「てめえの手かよっ!
フンッと手を振り払う
彼の背後には
たし、たし、たしっ。
「まったく、死ぬかと思ったコフにゃ」
穴から這い上がってきた
「あ、ミミコフ! あとで、ちゃんと俺のゲーム返せってんだぜっ!」
「何のことかにゃコフ」
フンと鼻であしらわれ、「てめえ」と眉間にしわを寄せた彼の、
即座に頭を引っ込めた
紙一重で、通過していく”
青い残像を残し、幾重にも軌跡を描く
遠間で見ていたよりも、かなりの高速で、接近し遠ざかっていく、水平の双角。
その背後、あまり熱心ではない足取りで、すたたたたと、蒼い軌跡をショートカットして追っていく、
しっぽには再び、”オウガ▲▲ニャン”が
「ニャォッ―――!?」
ぬふふふふぅー、油断ちまちたねぇー?
耳をペタリと倒し、「ご主人ーご主人ー」と力なく、
ゴガガガガッ!
ポポポッ♪
第二標的の胸に追加で咲いた、赤い4つひらの大輪。
第五標的までを、
「もう、スタバの
「やーだー、もー! そんな訳無いじゃないですかー! ケラケラケラッ!」
「今ここに居る、
なにバカ言ってるんですか? と
「AR完全対応の”実像定位(ホロマトリクス・ローカライゼーション)”ってこれ、非公開情報だった。 ……なんて言えば……えーっと、フルスペックのリアルタイム
「え? なんなのさー!? ”見えねー?”って何がー? ―――はぁ? ”止まれー”?、”逃げろー”?、もう、シルシうっさいよー!?」
遠間から、おそらくは
「
「なんとか、
「えっと、ココに来る
まだ崩れていない遠くの方の戦闘フィールドへ、かっ飛んでいった、コウベを心配している。心配するあまり、
AR物体を表現する手法として、”気圧操作による、局所的な気温コントロール”がある。謎の技術を総動員し、ミミコフの
かわいいかわいいぐりぐりぐりぐり。
「ご主じ……ガクリ」抱えられた猫耳メイドは、うなだれたまま、気絶した。
「姉さん、落ち着いて。
ぐりぐりぐりぐりぐり―――うなだれ大明神改め、”気絶猫”が
ここで、
「え? 公開用の映像が、来てない?」
作戦テーブル上の駒を、投げ捨てて、「音声入力」「
やはり、その口調はどこか、というか全体的に、投げやりだった。
◇
「あ、来た」「ほんとやな、……助かりま……したわ」
剥き出しの、電子基盤を幾重にも接続した末端、カードスロットへ、カード型バッテリーを、今まさに差し込もうとしていた、
見れば、
隣へしゃがみ込んでいた
「なにか、映ったわ?」
「え、なにこれ? なんか始まんの?」
ガヤガヤガヤヤ。
普段は、人通りの全くないはずの、地下2階。
基本的に管理者サイドの、催し物は、おおむね大盛況で、特区と都市運営上に重要なファクターとして認知されているのだ。
◇
「接触したぜ!」
ゴッ―――!
ギュルルルルラ!
ドドドン!
”
コウベは
ゴッ、ゴゴッ、ドッゴン!
水平に繰り出される3連撃、右・左・右の巨大なアームガード!
左右にかわした直後、タイミングを計られ、最後のストレートが激突する。
ビッチュイーッ♪
ウルサく鳴く小鳥の、
ガチン! チッ、ピピッ♪ シュドドドドドドドドドドッ!
ナックルガードを
回転するまま、右
巨漢が接地しているただ一点。逆算角形の下向きの頂点を、ピンポイントで
”バトルレンダ”による、加速を加味した、下段足払いが、炸裂する。
回転していた、
ボボッボッ―――プスン!
それは、最終コーナーを曲がった所で力尽きたワークスマシンのごとき。
美少女を包み込んでいたキラキラした
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