1:ワルコフ爆誕! その6
「あ
「むぎゅるぅーーーっ!」
それでも、かなり大きめのバッグなので、姿勢的には、あまりよくない。
折れ曲がる体をひねり、目を回し上に乗ったままの、
バッグと
「これ……さっきのくす玉……みてえな―――!?」
美少女の
「大丈夫かよ。笹ちゃん先生も、
長い足の一歩で駆け寄る、
「―――ケタケタケタケタッ! 何コレ、ボールやのうて、
「どないしは……りましたんかいな? ……プークスクスッ!……こんな
したたたっ。
だが、そこへ駆け寄る、
「ご主人! 何なりと、ご命令するコフ」
うやうやしく、
「はぁ? な、なんやの? この ちっこいのは?
猫耳は、そちらを
「コレ! ……
「―――ケタケタケタッ、……ケェータケタケタ……ケタケタッーーー!」
妖怪のような奇声を発した後、体を曲げて、そのまましゃがみ込む、
泣き崩れたようにも見えたが、ヒーヒーと声が、漏れている。
ダンス芸に禁止令を出した、
ミミコフにつかみかかる
ヒーヒーヒー……ヒーヒーッ! か、堪忍ど……すえー……!
とうとう、床に倒れ込み、体を
「
ちょっとー、”片思い”って、四字熟語無いじゃないのっ!
迷った
意味は『うまくいかず不運なこと』である。
未成年トリオは熟語辞典アプリを起動し、口々に好き勝手な四字熟語でソレを表現した。
チッ♪
『08:30:02UST+9』
「マジ、時間無ぇー! もう、出るぞ!」
「ワルコフ、さっきからこんな感じで、すぐ、コレに化けちゃうんですよ」
にゃにゃっ!?
ジタバタともがく様を見て、スタイル抜群のお出かけ美人が、デレデレと締まりの無い顔で、
「おやつの食べ過ぎで、手羽先2個しか残ってねえし」
「マジか。
パーカーのポケットに両手を突っ込み、膝を曲げて、
ビクリと肩を震わせ、ウエスト周りを手で隠す、
決して、
「試験キャンセル料ってのが……」
少年は本日、何度目かの、赤地に白の注釈文字を表示させた。
ざっと、目を走らせ即座に応答する、美少女。
「―――よごさんす。……その試験キャン……セル料は、あてえ……が持ちまひょ」
おおお。と湧く全員。
「でも、そうすると、……試験受けられのうて、……
彼女にしてみれば、これがVR設計師としての、第一歩。うまく行くなら行くに、越したことは無い。
「”特選おやつ”は、コツコツ貯めるか、広域にわたって、かき集めないと……
「姉さんなら作れるし、複製も出来るけど、作成量は制限されてるって言ってたわよ」
「余剰リソースに……類するもの、……ての、どなたさんか、……用意してくれへん……もんかいなあ」
愚痴でも無い、単なる願望を口にした
「―――了解コフ。ちょっと待つコフ」
有った。ミミコフが、
なんだどした? どうちたのかちらぁ?
寄る生徒組&再び
「うぉぉおぉるぅにゃぁ!」
パシャコン ピポォォォォォン♪
ミミコフは、小さな、小さな『◯』を
フォォォォォン!
何かが天井から落ちてくる。
それは、
それは、真っ赤な
「「「うおおっ!?」」」
飛び退く、未成年トリオ。
特に
ドズズズズゥンン!
海老が着地する。凄まじい振動でヨロケる一同。コレには
だが、
この大きく感じた振動は、部屋内蔵の立体音響システムによって生成され、視覚情報にシンクロされ、最大の効果を発揮した
そして、
「何か、出しはりましたんかいな?」
室内をキョロキョロと見渡している。ミミコフが取りだした物、の大きさすら把握出来ていないようだ。
部屋の中央を空けるように、散る面々。
「それ、◯✕
「ロブスター?」
「赤いから、
「海老、……エビチリ、お寿司、海老餃子、チャーハン……良いわねぇー、海老」
「だから、ハサミ有るから、ロブスターじゃないの!?」
「
「伊勢エビ料理は、この間食ったばっかだしな。当分要らねえかもだぜ」
なんや、豪勢な話してますなぁー、と言いながら
「
美少女は、差し出した手を、半透明の海老に突っ込ませる。
「
「それ、コミューターを、
背の高い少年が、AR眼鏡を上へ持ち上げ、
「そうどす、……駅前のあたり……を通ったときに、……この子が、
「そりゃどうも」
すると、元々部屋にいた、子ルフトと、何やら眼で
元々部屋にいた方が、
白いコートにデニムの
ソレは開発者用で高性能のVRHMDだ。VRーSTATI◎Nの奥で、
その頭が入るための、空洞になっている部分から、
少しの間、
美少女は、愛用の開発者用VR
「ビューリンク・システム、スタート。使用者認証チェックOK。
大人っぽい声の、
ピ・ポ・ポ・ポ・ポ・ポ・ポ・ポ・ポッ♪
ヴワン♪ ―――わっひゃぁ!
HMDのシステム起動音に重なるように、
今まさに、廊下に這い出て、子ルフトを追跡中の、
「これは、……一体、何やのん? ……えっらい、……美味しそうじゃ……ないの」
今、
「どうすんのコレ? 見えるだけとはいえ、邪魔なんだけど」
海老をよけて壁際に避難してた、
「さしあたって、……コレにでも……入れとき……まひょか」
コートから取りだしたのは、四角いガラスの入れ物に薄い機械のフタが付いたものだ。”
「おう、ミミコフ? っつったか? おまえ、ワルコフなんかよ?」
飛び退いた
ふにゃうっ!?
ミミコフは、しゃがみ込んで尚、大岩のような筋肉を見上げ、驚き、警戒するが、おどおどと、前へ踏み出した。
「と、当方には、『ワルワラ=ミミコフ』という、立派な固有名詞が有るコフフ!」
「ほ、捕虜としての待遇を要求するもので有るコフフ!」
ビシッ!
しっぽは内巻き、毛先の長い耳は、
「お、今度は漢字読めたじゃねーか。えらいえらい」
指先で、頭を撫でるようにつついてやる。
「何してんだ? ホント時間ねえぞ。諦めるか?」
「どーも、
中肉中背の、面白長袖は、静かに問いただした。
「―――お前は、ミミコフか?」
「そうコフ」
「じゃ、コレは何だ?」
真っ黒
物理的な解像度で、実体の影を床に落としている
同じく実体のある映像の猫耳は、よくできた人形が動き回っているようにしか見えない。
「知らないコフ」
「じゃ、コレは?」
次に半透明で、ノイズ混じりに部屋を埋め尽くしている、赤い海老を指さした。
「教えないコフ」
「お? ”知らない”じゃなくて、”教えない”って言ったぜ今」
「……さっき、
一斉に視線が集まる先、
ゴツい腕時計型デバイスから
「
「え? この海老どすか? ―――ミミコフはん、……これ、何でっしゃろな?」
「これは、ミミコフの、
ビシッ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます