6:コウベ 対 MΘNΘCERΘS その7
―――ぐいっ。
開いてる右眼側、残った視界の真ん中辺り。
そこから、投げかけられる
「ザッ―――コウベー? 受けとれー」
少年は、箸で摘まんだ小さな物を、放って
直後、映像空間から
>”戦闘用回路生成プリセット3” WAS THROWN.
>POSSIBLE TO USE A ”戦闘用回路生成プリセット3”.
半歩近寄り卵を片手でトス。ナックルガードに当たった卵が、
ソレは、『BPP3』と書かれた、
オレンジ色の本体から、突き出た銀色の端子が、きらきらと光を放つ。反対側には、波打つような、出っ張りが付いている。そのポピュラーな
自動的にオンオフを繰り返し、少女の瞳に、赤い色が
ドン、ザッ、ドン、ザッ、ドン、ズザザッ。
背後から、飛び跳ねるように接近してきた鹿を振り返る。
『
『HP_1/50』
その頭上には、攻撃の
鹿が、少女の頭上に浮かぶ表示を、フムフムと
『MΘNΘCERΘS__/LV52』
『HP_909461/6400000』
次に鹿は、自分の頭の上を見た。フムフムフムと
血塗れの少女の顔をジッと見据え―――
ンギャオオオオッ!
―――
青い鹿は、自分の攻撃が確かに
荒い呼吸を、深く静かに整えていく。
青い鹿、いや、
一歩踏みだし、再びすべての足で、しっかりと地面を踏みしめた。
”もうこれ以上、
瞳に宿る青白い炎。地面をガリガリと削る前足。体表面には放電も復活している。
「ザザッ―――モノケロスの、HPの数字減ってね?」
観客の一人の声に、広場がざわつく。
『MΘNΘCERΘS__/LV52』
『HP_908402/6400000』
ビロロロロ。
残り体力の100の位が約1秒ずつ減っている。それ以下の位は眼にも留まらない。
「ザッ―――逆に”MP”が増えてやがるぜ!?」
『MP:■■____』
グググッ。
「ザザッ―――あら、本当。HPを消費してMPをチャージする、モノケロス固有のボススキルを発動させたみたいですね」
”
恐らく、第珊VR教室のドアの方を見て、
さっき、内緒話し中に
引き出しに鍵を掛け、鍵を制服のポケットに入れた。
小鳥が乗った、”
「ザッ―――これでもう、嬢ちゃんに勝ち目は、無くなったなあ」
「ザッ―――いや、このまま、何分か持ちこたえれば、モノケロス自滅すんじゃね?」
ガヤガヤガヤ。
観客一同は、
MPはゲージ表示しかされてないため、正確な数値は分からないが、HPの減り具合と比べ、結構な高レートで
「ザザザッ―――今のところは、毛皮を硬質化するシールド魔法と、ソレを利用した機動力UPしか使ってないですわね」
テーブル周辺を映し出す、左前方に浮かぶ映像空間の中へ写り込んできた、
「ザッ―――あまり、時間掛けてると、MP貯まって、また
テーブルに向き直り、新しい”特選おやつ”を手に取る、
「ザザッ―――
ぐぐぐぐっ!
空中で数秒、引っ張り合った後で、
ふーんだ。先生はぁーお姉ちゃんですからぁー、
と言って、目ざとく、より大きなおやつを掴んで、
「ザザッ―――俺も、”特選おやつ”食いてーなー」
と、グチる
「えーっ!? おやつー!?」
接続中の各種映像空間は、透明度や位置や解像度などが調整され、ゲームプレイの邪魔にならないようになっている。
逆に言えば、戦闘中に、実像化した映像空間は、有るだけで対戦への真剣味を疑われる。
つい先ほど、ボスクラスモンスターとしての
ブシュルルルルッフーーーッ!
ブシュルルルルッフーーーッ!
ドドッドカドカドカッ!
四つ足で”その場スキップ”という、奇妙な動き。跳ねる子鹿や、子猫みたいな。
帯電していく、”ツノ”の表面。
「ザッ―――まだ、なんか、
―――ドドッドカドカドカッ!
一角獣は、跳ね続ける。まるで、
ヴァリッヴァリ!
すぐに大きな放電が発生する。
増していく雷光が、ツノの先から流れ、伸びていく。
空中を漂い、その場に残されていく、青白い放電。
|ザザザッ―――瞬間移動とかぁ、使ってこられたらぁ、凌ぐ方法が無いわねぇー」
一角獣は、頭を上下に揺らす。
そして、前足だけを動かし、首を左右に振り回す。
続くこと、10回。
見れば、背後へ反り返るツノから
―――立体的に描かれた渦巻きは、顔を上げた対角線、背後のツノを包み込んでいる。
ジジジッジジジッ!
左前足が一歩下がる。左前足に流れ込む
左後ろ足が一歩下がる。左後ろ足に流れ込む環状放電。
右前足が一歩下がる。右前足に流れ込む環状放電。
右後ろ足が一歩下がる。右後ろ足に流れ込む環状放電。
「ザッ―――さっき投げた卵、どうなったの先生?」
「ザザッ―――わーかーらーなーいーわーぁー」
などという声が届いているはずの接続先、少女型NPC”
ガシガシン!
その、荒れ狂う高波の向こう、小さな灯台の明かりにも似た―――
―――
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