5:決戦! MΘNΘCERΘS 終盤戦その3
「ところで、一体何だぜ? こんなとこまで来てよ」
「そうね、管理者権限有れば、特区内のどこにでも出入りできるだろうけど」
ヒソヒソ話す
「今日はぁー、何のぉご用ぉー?」
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォッ!
テーブル席の一同が、外の広場を見た。
辺り一面が、プレイヤーで埋め尽くされていた。
開いた空間の
「本日、お
広場の賑わいを手のひらで示し、フフフンと鼻で笑って、紅潮する。一見優しげで、巻き毛モコモコ美人。内面が見え隠れするような、つり上がった目尻を、ギュッと更につり上げる。
手にしていた、瓶をそのまま
その
再び目に入る、外の巨大な映像空間の中、
現在85。『5375339 DAMEGE! 85HIT COMBO!』。
『MΘNΘCERΘS__/LV52』
『HP_1024661/6400000』
あと1球。あと1小さい棒。それだけで、640万ダメージオーバーを、初陣で達成することになる。すでに500万ダメージオーバーは果たされているので、何かしらの、記録は達成しているかもしれない。
さて、投球モーションに入った、
地面に激突し、自爆ダメージによる、撃破。少年は紙装甲な上、既に何度か攻撃を
あれ?
ザワつく、広場一面の観客たち。
もはや、SIGN†ORGEたちの勝利を信じて疑っていなかったのだ。
あれ? あれれ? その場の空気が、”?”で埋め尽くされる。何が起こっているのかと。
定格の映像空間の横。小さく開かれていた文字チャットウインドウ。
気づいた
『■
『SIGN†ORGE:悪い、死んだ、コウベ、後頼む』
ワルコフの野郎は、管理者NGなんだっけか?
たぶんそうなんじゃじゃないの?
ヒソヒソヒソ。
さっきまで何とか、シルシ少年の陰に隠れていたようだが、どうにも隠れようがない位置どりに陥ってしまったのだろう。ワルコフはLVUPよりも、
少年サイボーグは、消える寸前、手に持った長い棒をコウベに向かって放り投げた。
動きの止まった少年を仕留めようと、背中から飛び込んでくる一角獣。
近接攻撃は
本来、手練手管の高LVランカー相手でも、接近戦を挑むことなど、あり得ない。
攻略
『NEW RECORD! <MAXIMUM> 5375339 DAMEGE!』。
パパッパパパーン♪
コウベの頭の上に、
『MΘNΘCERΘS__/LV52』
『HP_1024661/6400000』
カタカタカタカタカタカタッ、ドカーン♪
無情にも
虎の子の”1ダメージ”は、もう無い。
それをもぎ取る、”
そして、どのみち、
「あああぁ、コウベちゃぁん!」
猫耳
爆破済みナックルガードが自動格納された手で、反射的に受け取った、
何の
コウベは、光る棒を見つめ、
「グゥルルルルルルリュ!」
尖る奥歯を、むき出す、四つ足の獣。
彼の敵は、標的をシフトした。
コウベの額のあたりに
一気に、落胆の空気が、広場を支配した。
決戦中は、ログアウトしたり、撃破退場したプレイヤーは、戦場へ
開きっぱなしだった、
「私、途中からしか、拝見出来ませんでしたけど、良くやったと思いますよ。まあ、ロスト中で、
健闘を労い、不屈の闘志を讃えているつもりなのだろう。残念会と洒落込みましょう、と縦に長めの”特選おやつ”を、テーブルの上に並べ出す
だが、
「ザザッ―――ピチュッチュチュイ♪」
まるで、『お前は、ここで諦めるのか?』とでも言う
しんとした、未来風の公園に響きわたる。
「ザッ―――ピュピュピピピピピューーーーイ♪」
さながら、『お前は、”特選おやつ:パーティー用”とか言う美味そうなモノを、こんな後ろ蹴り一発ごときで諦めるのか!?』と言っているようにしか聞こえない
未来風の公園では、甲高い鳥の鳴き声が反響していた。
なんだよこれー。うるさーい。とブーイングが漏れ出す。
座席横の、
おい、見ろよ!
観客の一人が、巨大な映像空間を指さした。
瑞々しい体のラインが丸わかりの、ピタピタなSFコスチュームに身を包んだ、美少女。分解に時間が掛かってるっぽい、光る棒を「要らねっ」とばかりに、放り投げた。
そして、装填してある最後のナックルガードを、水平に構える。
非常に様になっていた。ココまでは本当に格好良かったのだ。
直後、まるで、そうさせまいとするかのように、首もとのスロットから、飛び出てきた抹茶色。
小さな鳥が、美少女の頭上に止まった。
ズババババッババァーーーーン!
頭の上に、小鳥をのせている様子は、お世辞にも格好良いとは言いがたい。
”
違うな、正確には―――”コウベ小鳥”が、完成した。
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