2:サーキットガール3
「彼の地に万有が―――」
―――降り立たなかった。
まるで聖剣を掲げる女騎士のように、大げさに携帯ゲーム機を取り出した、
「なんだありゃ?」
すり鉢状の、VR教室最後尾の高台。その壁に設けられたドアを凝視する、
手にした、
「ちょっと、落っことすわよ!?
手から落ちそうになってる、
イケメンの視線を、
背後のドアの上には、明かり取りの窓が付いていて、その向こうには、『第
その結構な高さの、窓の向こうに、伸ばされた白い手。脚立でも使ったのか、女子生徒が、下から跳び上がってきた。
二人とも、その顔には見覚えが有った。
「おい、ワルコフ。お前、何やってんだぜ!?」
ノイズ混じりに、”瓶”の直上に姿を現す小さな
「あら? 宇宙服。今日はソコにいたの?」
「
使い慣れた、
「おい、お前、
「
宇宙軍正式敬礼を解き、
「
ドアに付いた小窓から、男子生徒の顔が見える。
「
宇宙服は腰に付いた黒箱を、得意げに見せた。
今日はヘラヘラした、
「んー? あれ? 鍵付いたままだぜ」
箱に書かれたロゴが、施錠されたままと言うことは、基本的に、
「どういう事―――」
そう言いかけて
「どうしたんだぜ?」
「なーんか、急に、
首を傾げ、
「俺に聞いてどうするよ。ま、行ってみようぜ」
弾みをつけて、座席から飛び上がる長身な男子生徒。
”
セットしてあった、自分の
厳つい逆算角形のフォルムの、青い片角だけが、HUBから突き出る。
「これで、俺たちが、また来るって分かんだろ」
振り向くと、
「たまには待ってろってんだぜっ!」
長い足をフルに回転させる
◇◇◇
「何で、追っかけてくるんだよっ! VR教室で待っててくれよ!」
中肉中背、ボサ髪でだらしのない印象からは、想像できないほどの、フットワークでジグザグ走行を見せる
ドタ、ドタタ、ドタダタダタタタ。
スターン、スッタンターン。
「いけずやなあ……にげるから……どすえ」
実際、校内警戒中のカメラ映像には、
「ちょ、やめ、触んなってば」
「知らん仲や無いのやし、……ちびっとくらい……構ってくれても、……ええやないの」
悪ノリしだした
一拍の静止、何を思ったか、そのまま加速する
「……音声入力」「……
軽くジャンプしたまま、空中でひざを曲げ、もう一度ジャンプ。
壁を、音もなく蹴り上がり、振り上げる
落下しそうになるが、足の裏で掴むように、タタラを踏んで持ちこたえる。
突き当たりの角を
一方、
2階の多目的スペースを走り抜けながら、背後を振り返る、
その
ちなみに彼女の髪や、セーラー襟や、プリーツスカートは、パワーブーツ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます