8:小鳥ファイル解凍その5
「じゃあぁ、”
画面からはみ出ているアイコンの一つを、入部届にも使った
アイコンがさらに空中に、はみ出して、太い紐のような物を伸ばし始める。
「これが終わればぁ、開発者コマンドォ、使えるわよぅ」
「あ、履歴
待ってる間の暇つぶしか、普段、この端末で、何をしているのかを、知りたがる。
「いいですよ」
という少年の返答を待って、アイコンの一つを何回か押す、VR専門家。
ズラーッと
『かぁのぉちぃにぃばぁんーゆーうがぁおーーー♪』
あらぁ、なぁにぃコレ? と首を傾げている。
「それっ……暗号化してあるのになんで!?」
焦る様子の
「んっふっふーぅ! ダテに、
「流石にー、ファイル名しかぁ読めませんけどねぇー」
とペロッと舌を出す。
侮れない。専門家は侮れないぞ、とブツブツと口の中で言いながら、
背後で、じっとしていた
いでででで、てへぇーはひゃへぇー!
何言ってるかわかんないわよ!
などと、聞こえてくるが気にしない様子で
「それ、……この間出たばっかの、……
面と向かっていればウソだと顔に書いてあるので、ばれただろうが、今、専門家は専門的な作業に取りかかっていて、モニタに張り付っきぱなしだ。
え? 小説? なんか、ゲームの
コレはダメです。えっと……まだ読んでないんです! 読んじゃった奴なら、どれでも、お貸ししますから。
と、少年は収納壁へ走って、一角を引き出し、中に積み重なってた
テーブル周りのゴミはすべて、ルフトとルフト1/6が片づけ済みだ。
そんなやり取りがあってから数分後。
「開発者コンソールの負荷にも耐えられることを、確認しましたぁ」
作業台の上にジャララと置かれた、
「姉さん、これ、読み辛くない?」
「さすが、
”量子フォント”は個人所有の物を使うんだけど、
「なんですかそれ?」
「来週の授業から勉強するのでぇ、まだ知らなくても良いでぇーす。今日の所は、先生が持ってる、”余ってる奴”をー、
「え!? 何だよ、
「いだだだだだっ!」
「こらあぁ! ケンカしないのぉ!
え? ほんと? やりぃー!
アンタ、ゲームプレイばっかで、開発者コンソールなんて、必要ないでしょうが!
けほけほっ! 痛ってー! などとじゃれ合い青春を謳歌する、若者達には目もくれず作業を進める笹木講師。
しばらく、
歯車の付いた凝った作りのソレを、空いている
「音声入力」「認証コード発行」と全手続きを手早くすませる。
「さぁ、コウベちゃん達を、
両手を組んで、天井へ向けて伸ばし、体をほぐしている。
「おう、
「しっ、ソレ、後で話そうぜ」
集中している笹木講師には聞こえていない。
「なによ? 悪巧み?」
背後に忍び寄ってきてた
「そういうんじゃねえよ、そういや、おまえ、決着付けなきゃな」
「そうね! でも、姉さん、集中してるから、こっち、一通り終わってからね」
「そうだな」と
左側に座る笹木講師の前の
「あれ? 笹ちゃん先生、こっちも専門家仕様にするんだよね? ……
背後霊と化した、
「あああっ! 先生! コレ! ”開発者コンソール”って、ゲームのレギュレーション通る?」
「
「こっちの、まだ、いろいろインストールしてない方は、レギュレーション通りますか!?」
いつになく真剣な
「たぶん大丈夫ですがぁ、ちょっとした
笹木講師を見やり、作業台の引き出しを悩んだ顔で睨む。
ジ。
そのゲーム機は、一目でソレとわかるほど、古いタイプの物で、洗練されておらず、とても巨大だった。
ジジジ。
「これぇ、
ジジジジィーーーーッ!
あちこちに、継ぎ目や、色違いかと思う程のヤケが見て取れる。
不格好に膨らんだ、スケルトンパーツの
ボッシュッ!
「なによさっきから、うるっさいわね」
薄暗い画面の奥の方から、羽ばたくような音が聞こえてくる。
音自体は、
近づいてくる羽根の音。
緑色の点は、急激に大きくなり、全貌を表す。
改造にも耐えた、
バリィィィィーーーーン!
飛び出たその姿は、まさに抹茶色。首から腹にかけて、朱色から黄緑のグラデーション。
黒目の周りを縁取っている白は、”
「ピチュチュ! ピチュチュ! ピチュチュ!」
自由を満喫するように大きく旋回している。
……つもりらしいが、モニタの前面15センチしか活動範囲がないので、ほぼその場で、ゆっくりと回転しているだけだ。
VR専門家は
「あっぶなぁい!
専門家は、
『たこ焼き大介作成:小鳥Ver:1.0.4_qr2』
端末とのリンクを確立した小鳥の
動じた大人は、その更にちょっと上の辺りも、
少し太めの眉毛と、風に揺れる長いまつげ。切れ長の瞳に、切り揃った前髪。両耳の後ろで束ねられた栗色の髪は、小鳥の尾羽根より長く
セーラー襟と同じ色合いのチェックのプリーツスカートから伸びた足は、小鳥のフサフサした胴体を
『たこ焼き大介作成:
と
「……自己解凍型のぉ、圧縮プロトコルだったみたぁい……」
手に、オレンジ色の台形を持つ、推定25歳は、少しの間をあけて―――
”てへぺろ”をした。
”てへぺろ”とは、猫手で頭を小突き、片目を
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