8:小鳥ファイル解凍その2
キュッキュッキュッと音を立てて、階段を上がってきた”ルフト”は、開きっぱなしの扉から
フローリングの6畳部屋の一角に、畳が一枚だけ敷かれ、その上に、寝袋が出しっぱなしになっている。
壁の一面が収納になっている他は、無骨な作業机が2台並んでいるだけと言う
寝袋の上に体育座りの女性陣に対し、男性陣は、オフィスチェアに陣取っている。
オフィスチェアの足にはコロコロしたタイヤでは無く、軸が斜めになった複雑な形状の、小さく平たいキャタピラが5個くっ付いている。新しい特許を使用した製品には、特区指定の割引制度が利用できるため、安く購入することが出来る。
かくして新入生の部屋は、珍妙なモノであふれることになる。
「ざざぁぶぶぅととぉんー、だだぁししぃままぁすすぅかかぁー?」
「コレで良いわよ。キレイみたいだし」
と寝袋を撫でた。
文庫本は、本置き台により、床から20センチ浮いた状態で、保持されている。
その本置き台は、
ちょこまかと動く様が、とてもかわいらしく、
補足だが、この”電子ペーパー”を数百枚束ねた、『
例外的に無料で”画素表示”出来るが、その演算能力は、電子ブックとしての機能を実現するために必要な最低限に押さえられている。それでも、8量子ビットマシン同等の能力を持つので、ふつうの、旧世代パソコンとして、事務仕事や趣味に使う人も多い。もちろん通常の使用とは言えないので、それなりの手順や、リスクを伴うが、それ自体を
「
「そこ、強めに押すと、作り付けのテーブル、飛び出るぞ」
一枚敷かれた畳の大きさからすると、6畳部屋だが、耐震機構付の
鏡の表面には、沸騰するお湯の様な、浮かんでは消える泡構造が見て取れ、その激しい
「
ルフトは、拾った
「え? うそぉ!? 」
よく見れば、
ああっぶぶねねぇー、と
よく見れば、
ぶわぶわぶわっ、ごぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ。
「わ、涼しい!」
「こら、
釘を指す
「そうだ、俺と代われ」
尻尾をクネクネさせ、タイを
「それ、コウベを、圧縮して
同級生を無視し、話を続ける
「そうぅ。『削除反対!
ってしきりにコウベちゃんがぁ、
「仕方ないですよ。もう、腹一杯で食えないのに、『
「そうよね~。あの
受け取ったオレンジ色の
姿を現した1/6のルフトさんをガシリと掴んで抱き上げるVR専門家。
小さいルフトさんは
「小さいルフトさんが出してくれた、防暑グッズ、結構効いてるわよ。ありがとう」
AR対応メガネの指向性スピーカーから、出ているらしい声と会話して眼を細めている。
「カワイイモノに執着するの、程々にしないと、その内、大ポカするわよ」
その手をよく見ると、毛皮ではなく、放熱効果の有るナノファイバー製長手袋であり、手袋の長いところを折り返しているのは、寒いといって、調節したためだ。
ウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥュュン!
熱を発していた、鏡が音を発して、元のコンソール画面へと戻っていく。
部分的に鏡の部分が円形に残っているので、CGみたいに見える。
「二人とも、今よ!」
「はい! よろこんでぇーっ!」
毛布の中から、ミシミシと何かが収縮するような音が聞こえてくる。
演算と表示の両方を、切り替えなしに、平行して出来る、そこそこ性能の良いもので、VRヘッドセットの代わりに使えるようにと、
通常の完全ホログラフィー技術による物体表面表示と、モニタへの表示とで、何が違うのかと言えば、個人使用の際に、料金がかかるかかからないかという一点だけだ。”各種座標指定に関する
今、彼らは、
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