トロイヤーフント、リリト
御堂はなび
プロローグ 船出
飛行機の中で私は携帯電話に保存している写真を見ながら顔を緩めていた。
こう言うと自慢になるのだが、男なら誰でも振り返るくらい私は魅力的……らしい。
私にはあまりわかんない。
ただ数点、今の私が普通じゃない所があるので述べようと思う。
訓練から終わってすぐに飛行機に乗ったかのような少し泥で汚れた軍服に身を包んでいるところ。実際そんな感じだったのだ……(苦笑)
そして一番は左右で目の色が違う。
琥珀の瞳に色素の薄い碧眼。
隣に座った上品な年配の女性はその軍服を着た私に興味を持って話しかけた。
「ご旅行かしら?」
「うん、
「あら、東京?それとも大阪かしら?」
私は笑顔で首を横に振ると、懐かしむように言った。
「ううん、旧友に会いに、北海道に行くのさ」
「そう、それは素敵ね」
私は年配の女性に満面の笑顔を向けた。
これは忠犬の話、日本の忠犬はサムライのように黙って想い人を待っていた。
だが、リリトは違った。
愛する家族の為に命を差し出したのだ。私はあのリリトのようには一生なれないだろう。
だから語ろうと思う。
誰でも、一人でも多く彼女の事を覚えていてほしいから、頼まれたわけじゃない。
私がしたいからそうするのだ。
これは他でもないリリト、貴女の一生を綴った物語だから。
つまらなくて欠伸が出るかもしれない。
もし良ければ付き合ってくれないかな?
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