第10話 助ける方法は無いのか
インタフェイサーの探査機能により佐伯と水島の位置を特定。いざ到着してみると現場は辺り一面瓦礫の山となっており、激しい戦闘が行われた事が伺えた。幸い2人は軽傷で済んでおりサポート部隊も合流。
「ごめんなさい。完全に油断したわ」
「まさか教さんのお子さんが来るとは思わなかったからな……」
やはり2人とも上司である
「非常にまずい状況ね……
「ったく、
佐伯が悲痛な表情で考え込む。水島とサポート部隊に間にも重苦しい空気が流れた。ナミヲは
「ねえナミヲ、スウェン。3人の身体を傷付けずにトライン達を追い出す方法は無いのかしら?」
「そうそう、なんかねえのかよ」
「それは難しいな……彼らは私の様に君達に協力している身ではない。完全にこの世界を滅ぼそうとする思想に染まってしまっている。説得を試みたが、聞く耳など持たなかった」
『脳に何かしらの衝撃を与えれば可能性はある。だが現実的に考えて人体を傷付けずに得体の知れない存在だけを追い出す方法など無い。電流を流せば脳が傷つき物理的に衝撃を与えれば当然傷付く』
――そんな!? よく創作物でもあるじゃないか、魔だけを祓う武器みたいな、何か方法は無いのかよ? マコピー達を助けられないのか!?――
『掴。そんな都合のいい方法は無い。所詮は創作物における都合のいい設定だ』
「でも今回だけはそんな都合のいい設定があればと思ってしまうわね……」
打つ手が無い。
その事実がこの絶望的状況に追い打ちをかける。
創作物。例えるなら妖怪物で人間が悪しき妖怪もしくは悪霊に憑りつかれ暴れている。悪しき魔を倒そうとするも下手をすれば憑りついた人間も攻撃してしまう。
卑劣な妖魔の所業に祓い師達は人質を犠牲にしてでも魔を滅すしかないと思われたが、そんな状況に光明を指すのが"人をすり抜け魔のみを祓う聖なる武器"。古今東西昔から使われる話ではある。
だが、この現実世界でそのような説明のつかない代物が都合よく存在するわけは無かった。ましてや相手は仮想世界から現実世界へと現れた電子生物である。人間の脳に入り込み意識を司る電気信号を乗っ取り人格を支配する。
――くそ! 八方ふさがりかよ……どうすればマコピー達を助けられるんだ……――
「本来ならこのような事態にならなかった筈なのに」
「それはどういうことだ?」
「ああそう、まだ話してなかったわね。掴くんも聞いてちょうだい」
――はい――
「本来なら
――ええ!? マコピー達にも?――
「
掴は内心驚きを隠せなかった。選ばれたのは身内で自分と望と考えていたからだ。10機作られたと聞いてはいたが、てっきり他に信用できる位持ちアバターのプレーヤーが選抜されるものと思っていた。
「祝賀会の日、適格者全員にインタフェイサーが密かに渡されたの。そして掴くんに渡そうとした矢先に襲撃に遭ったから、私が直接持って行ってあんな乱暴なことになったわけ。望くんは御守さんから渡されたみたいだけどね。その肝心の御守さんも連絡が取れないし……」
――ああ、そういうことか……――
「待て、それが本当ならトライン達はインタフェイサーを所持していなかった。もし
『その件についてだが、実は三兄妹に譲渡されている筈の7号機・8号機・9号機の所在地が祝賀会当日から特定できない。先程3人の身体からインタフェイサーからのシグナルが発せられていなかったことも考慮して結論すると3機は破壊された』
スウェンの突きつけた残酷な事実に誰もが息を飲み表情が青ざめる。
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