第27話 *7* 7月27日土曜日、夕方

 日が暮れ始める頃、こう蒼衣あおいに連れられて星章邸にやってきていた。夕暮れの橙が大きな洋風の屋敷を照らしている。

「今日はとっても楽しかったわ。ありがとう」

 礼を告げると、蒼衣は自身の腕時計に目を向けた。

「こんな時間になってしまいましたし、夕食もいかがです? 帰りは車を出しますよ」

 屋敷に誘う蒼衣。何となく彼の笑顔の裏に別の感情が覗いているような気がする。

 ――逢魔おうまが時だから、そんなふうに見えるのかしら?

 何か嫌な予感がするも、紅は頷いた。

「じゃあ、お言葉に甘えて」

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