さいら。

冴空-sara-

第1章

第1話 【新たな命】

人と精霊が共存共栄するこの国に新たな命が芽生えようとしていた。

王様とお妃様の間にはすでに第一王子がいた。

お妃様のお腹の中で新たな命は芽を生やし、蕾となりやがて花を咲かせた。

その花はお妃様によく似た女の子である。

その花をさいらと名付けた。

――――――――――


ユグドラシル国の第一王女として、さいらは大切に大切に育てられ、すくすくと成長していった。


「ここ、ユグドラシル国はね、精霊王ユグドラシルを中心に四方を司る四大精霊が自然の理を守ってくださっているのよ」


お妃様は7つのさいらに夜な夜な言い聞かせていた。


「東が風を司るシルフ。西が水を司るウンディーネ。南が火を司るサラマンダー。北が地を司るノーム。そして、すべての精霊のバランスを取っているのが精霊王ユグドラシルよ」


おかあさんは精霊を見たことは1度もないのだけれどねと、お妃様は付け足し、ふかふかのベッドに横になっているさいらの頭を撫でて笑った。

さいらも笑い、やがて眠りについた。

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