タックスへイブン安土城

「『真田丸』が無血開城したらしい」


 島左近は熊本の避難所のミーティングでふと漏らした。


「一体、どうやって?」


 石田三成は驚いていた。


「織田信長が説得したというか、スカウトされたらしい」


「真田ならば当然かもしれないが、秀吉さまだけでなく、信長公も復活するとは……。これは尋常ならざる事態ですね」


 三成は考え込んだ。 


「確かに、かつての記憶を持ったまま、武将たちが復活するというのは尋常ならざる事態だ。やはり、<常世岐姫命>さまが関係してるのだろうか?」


 <常世岐姫命>は秘密結社<天鴉>を創ったという常世、時の女神である。


「それは分からない。ただ、何かが起こる前兆には違いない」


 三成は自分たちの未来に巨大な影を予感していた。


「神沢少佐の話では鬼ノ城はもぬけの空で、信長公の<タックスへイブン安土城>の全ての資産も消えてしまったという」


「事実上、全ては闇の世界に潜ってしまった。元の木阿弥か」


「さて、それはどうかな」


 三成は織田信長という男を良くは知らない。

 だが、何かをやってくれそうな予感がした。

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