グリーンステラ

「安堂さん、どうも犯人はこの緑色の髪の女のようです」


 警視庁公安部から応援に来ている安堂光雄はテレビスタッフが撮影したらしい映像をパソコンのモニターでチェックしていた。

 隣には警視庁警備部の画像情報分析室の葛城丈かつらぎじょうが紺の背広にネクタイ姿で画面を覗き込んでいた。


「緑の髪に深緑のミニスカアーミースーツかあ。コンパニオンか何かかな? 背中の英文字の<stella>というのはアメリカのドローンメーカーだな。こんなに目立つ格好してるのは犯人は私だと言ってるようなものだな」


「韓国側の記者会見でも彼女の姿が映ってます。この映像です」


 葛城丈は韓国の記者会見の映像を再生し始めた。


「では、もう星はこいつで決まりだな」


「だけど、安堂さん、この女、人間じゃないんです」


 葛城丈は困惑した表情で安堂を見返した。


「人間じゃないとは?」


「アンドロイドなんです」


「……それは」


 安堂光雄は驚きをかくせず絶句した。


「自律型第7世代アンドロイド<ステラ>という名前が彼女の正体です」


「───さしずめ、<グリーンステラ>か」


 アンドロイドによる殺人、『ブラックエンジェル事件』は混迷を深めていった。

 

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