世界の果てからお急ぎ便/更伊俊介
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序章
聖剣どうでしょう
それは、ここではない世界の、とある物語の終着点。
勇者と魔王。
そう呼ばれた者達による戦いの、その最終局面。
魔王城の最深部、魔王の部屋における、最後の戦いにて。
「フハハハハ、勇者よ破れたり! 我のスーパーダークネスウルトラデラックスダ ークネスバリアには手も足も出まい! このままじっくりとなぶり殺しにしてくれる! もしくは時間を掛けて日に日に衰弱させていってくれるわ!!」
「くっ、確かにこのバリアは手強い! 現に伝説の聖剣・クーゲルシュライバーも折れてしまった! 代わりの武器もMPも無いし、回復アイテムもほとんど残っていない! こんな事になるのなら、古い装備を下取りに出すんじゃなかった!」
「フハハハハ、愚かな勇者よ! 世界の半分で妥協しておればこんなことにはならなかっただろうに! もう少し粘れば、世界の三分の二くらいは得られるとでも思ったか! しかしもう遅い、貴様に与えるものは無様な死だけだ!」
「お、落ち着け俺! 魔王の挑発に乗せられるんじゃない! 確かに聖剣は折れてしまったが、まだここから逆転の目がある筈! 希望を捨ててはならない。こんな絶望的な状況でもどうにか乗り越えていくのが勇者という存在なのだから!」
「そう言えば勇者よ、貴様が故郷に残してきた幼馴染の娘が今度結婚するらしいぞ。勿論、貴様とは別の男とな! 今頃、さぞよろしくやってることだろうよ!」
「魔王め絶対に許さねぇぇぇぇぇ! こうなったら刺し違えてでも貴様を滅ぼしてやる! うおおおおお死ねぇぇぇぇぇ!!!!」
勇者は、絶望的な突撃を選択した。
その手の中の聖剣は、柄の数センチ先で無惨にも砕けている。
剣だけではなく、鎧にもヒビが入り、全身に無数の傷を負っている。
それでも、勇者は進む。
勇者であることが彼の全てだから。
あと、もう故郷に帰ってもろくなことにならないから。
魔王の嘲笑が響く中、それでも全身をぶつけるように、一心不乱に突撃する。
頬を伝う涙を振り切り、勝ち目のない戦いを挑む。
そんな勇者の最後の足掻きを、しかし魔王は笑って迎え入れる。
「フハハハハ、自棄になったか勇者よ! 名残惜しいが、これ以上貴様の情けない姿を見るのは忍びない。我が誇る最大魔王奥義、マキシマム魔王ストライクツヴァイで、塵も残さず、後のお掃除が簡単なように消滅するがいい!!!!」
「うおおおおおおおおお!!!!」
「フハハハハ、食らえ勇者、必殺のマキシマぶふぅッ!!!????」
絶望に向けて一直線に舗装された道行き。
止めを刺そうとする魔王の台詞の途中、勇者の視界の隅で何か青白い光が瞬いたと感じた、その瞬間に。
魔王が、吹っ飛んだ。
「え?」
というか、撥ねられた。
「……え?」
茫然とする勇者の前。
魔王の身体は、木の葉のようにくるくると宙を舞い、そのまま床に叩き付けられた。首から垂直に落下した為、受け身を取ることも出来ない。
ゴキンと、やけに生々しい音が大きく響いて。
そのまま、魔王の身体はピクリとも動かなくなった。
各部の関節が、明らかに向いてはならない方向を向いている。
ここまで、圧倒的な力で勇者の前に立ちはだかっていた魔王。
ダークネス何とかバリアを誇り、あらゆる攻撃を防いで来たのに、今はもう動かない、その魔王。
「ええええぇぇぇ???」
勇者は、混乱したまま辺りを見回す。
見れば、魔王を吹き飛ばした物体は、未だにそこに存在していた。
魔王を撥ね飛ばした後も、勢いのままに走り回っていたが、突然制動を掛けて、白煙を上げながら急停止した、その白い物体。
それは、白く大きな箱のような物体の下部に、黒い車輪が四つ付いている。
馬車の仲間のようにも見えるが、馬車とは明らかに異なる、未だかつて見たこともない、その白い物体。
「……あれは、まさか」
しかし、勇者には、ふと思い出すことがあった。
それは、彼の生まれ育った王国に古くから伝わっている予言。
その予言の一説に、王国が暗雲に包まれる時の事として、記されていた。
【勇気あるものが危地に陥る時、空から青白い稲光を連れて、やって来る。それは馬を持たないまま走り、あらゆる財貨を積み込んで、どこからともなくやって来る。二人の御者を乗せて走り来るそれは、伝説の馬無し馬車っていうかただの車……四輪っていうかタイヤを携えた……ぶっちゃけ、軽トラックがやって来る】
予言の意味は、王国の学者達をもってしても良く分かっていない。
『軽トラック』って何だよ、とか、後半投げやりになってねぇか、などと、未だに議論の絶えない予言なのである。
しかし、勇者は確信する。
今、目の前に現れた、この白い物体こそが、予言の中にある『軽トラック』なるものだと。
「……!?」
勇者の見ている前、その軽トラックの前方にある扉が開いた。
扉からは、二人の人物が現れる。
二人の御者。
それもまた、勇者の知る予言と一致している。
緊張感を漲らせる勇者の前に現れた、その二人の人物は。
「おっ、お前! 今の本当に大丈夫なんだろうな。軽トラックに傷が付いたらどうするんだ! 修理代だって安くないんだぞ! 後で文句を言われるのも、修理代を払わせられるのも俺なんだからな!!」
一人は、何やら焦った様子の黒髪の青年。
撥ね飛ばされた魔王の方を強張った表情で一瞬見たが、すぐに軽トラックの方に目を向けると、魔王を撥ねた前面部を、不安そうに確かめている。
「大丈夫ですよ! かるーく擦っただけですから! むしろシューティングゲームなら高得点取れるやつですし!!」
一人は、元気溌剌といった感じの、オレンジ色の短い髪の少女。
青年とは対照的に、何も気にしていないという様子の少女は、荷台と思しき軽トラックの後部から、布に包まれた長くて巨大な何かを、軽々と床に下ろしている。
軽トラックから現れた謎の二人組。
魔王を撥ね飛ばしたことから察するに、恐らく敵ではないのだろう。
とはいえ、簡単に気を許すことは出来ない。何せここは魔王城。魔王軍の本拠地なのだ。いくら予言の内容と一致することが多いといえど、魔王の仕掛けた罠とも限らない。
勇者は、警戒心を解かないまま、二人を見つめることしか出来なくて。
「あっ!!」
「えっ!?」
そんな勇者と、オレンジ髪の少女の目が合った。
その瞬間、少女は嬉しそうな表情を浮かべると、長くて巨大な包みを抱え上げ、勇者の方に軽い足取りで駆け寄って行く。
その、敵意も何もない歩調を前にして、勇者は何ら警戒することが出来ず、接近を許してしまう。
「えっと、勇者さんですよね?」
「え? あ、ああ……確かに、俺は勇者だけど……」
「本当に勇者なんですよね? マジで勇者っぽい感じですよね?」
「ま、マジでぽい? よ、良く分からないけど、正統なる勇者の血を受け継ぐ勇者に間違いない……けど?」
ペースを乱されるような会話に戸惑いながらも、勇者は、目の前の少女を冷静に観察する。
オレンジ色の短い髪、大きな瞳に明るい笑顔は、初対面にも関わらず、警戒心を感じさせない、気安い印象を受ける。
着ているのは、魔法的な加護も何もない単なる布の服。鎧の類も身に付けていない。そんな、防御力の欠片もないような無防備な服装にも関わらず、少女はどこまでも明るい笑顔を浮かべている。
「良かった! ここまで三光年半近く迷いましたけど、どうにか無事に着きました! はい勇者さん、これ、お届け物です!!」
「お届け、物?」
「はい! 伝説の何とかかんとかの、バージョンⅡです!」
「……ば、ばーじょんつー?」
言われるまま、少女が差し出した、長くて巨大な包みを、勇者は受け取る。
危険だ、というような意識は、不思議と浮かばなかった。これは自分が受け取るべきものであると、そう思えたのだ。
受け取った包みを手の中で何度か確認すると、勇者は全体を厳重に覆っている布を、少し苦労しながら解いていく。
そうして、勇者の目に飛び込んで来たもの。
それは、勇者にとって、実に馴染みのあるものだった。
「こ、これは!?」
伝説の聖剣・クーゲルシュライバー。
幾多の敵を屠り、幾多の危地を共に駆け抜けた、唯一無二の相棒。
迷いの森の中の湖にて妖精王から賜りし聖剣。
魔王との戦いで折れてしまったばかりの聖剣が、確かにそこにあった。
「そんな……どうして?」
勇者の手の中には、今も折れた聖剣がある。
にもかかわらず手の中には、完全な形の聖剣がそこに存在しているのだ。
導かれるように、新しい聖剣を鞘から抜いてみると、すぐに馴染みのある重さが手に伝わって来る。間違いなく、それは伝説の聖剣の重みだ。
これまで共に戦って来た、聖剣・クーゲルシュライバーそのものだった。
「あ、勇者さん! その聖剣、バージョンⅡと言うことで、機能が追加されているんですよ! 長時間握っていても匂いが移らない機能と、刀身に付いた血がすぐに拭き取れるようなコーティング仕様になっていますから!」
「こ、こーてぃんぐ?」
「その他にも、お掃除機能や髙枝バサミ機能も付いて、お値段なんと据え置き!! いえ、冗談です。私達は、届けるのがお仕事ですからね。お代なんて頂きませんとも!!」
「え、仕事? 君、さっきから何を……」
「それじゃあ! こちらにサインをお願いしますね!」
「……さ、さいん?」
少女は、一枚の紙を手渡して来る。
一見して、見たことがない文字が書かれているその紙、しかし読んだ途端に、勇者はその意味を理解した。
まるで、脳内に直接意味が伝わって来るかのようで。
品物 : 伝説の聖剣・クーゲルシュライバー バージョンⅡ
おところ : 魔王城 最深部 魔王の部屋
お届け日時: 勇者と魔王の最終決戦 勇者の残りHPが20を切った時
配送方法 : お急ぎ便
そう、書かれているのが確かに分かる。
紙の右下部分には、ちょっとした余白があり、少女は、そこを指差しながら、上目遣いでこちらを見上げてくる。
「ここに、名前を書いて頂ければオッケーですので」
「し、しかし、書くものがないんだが」
何しろ、魔王との最終決戦の途中なのだ。筆記用具など持っている筈がない。
まさか聖剣を使って書く訳にもいかないし。
「それじゃあ、じゃあこのボールペンを使って下さい」
「あ、はい」
少女から受け取った、『ボールペン』なるものを使って、勇者は紙の空白部分に自分の名前を書き込む。すると、紙全体が、ぼんやりと燐光を放ち出す。
それは、勇者も知っている、契約の儀式などに似たもので。
「はい、確かにサインを頂きました! この度は我々、『OZ』をご利用頂きありがとうございます! それでは、失礼しましたー!」
「ご、ご利用……? いや、ちょ、ちょっと待ってくれないか 君達は一体……」
「ではでは、後はごゆっくり続けて下さいませ!」
少女は、勇者の手から紙を抜き取ると、あっさりと踵を返し、白い乗り物の方へと戻って行く。それで自分の仕事は全て終わったと、そう告げるかのように。
「い、一体何なんだ……?」
果たして今、目の前で、何が起きたのか分からない。
しかし、勇者の手の中には、確かに新たな聖剣が握られている。
その、確かな重みを感じながら、少女の背中を呆気に取られながら見ていると
「……なあ、ちょっと相談があるんだが」
「!?」
軽トラックに乗っていた、もう一人。
黒髪の青年が、勇者の真横から声を掛けてくる。
気配は感じなかった。いつの間にそこに立っていたのか。
「あんた、勇者なんだよな?」
その青年は、先程軽トラックを撫でていた時とは打って変わった真面目な顔で、勇者に向かって手を差し出してきて。
「だったら悪いけど、少し薬草か回復薬なんかを分けてもらえないかな?」
「はぁ?」
「ああ、あいつの運転が乱暴なせいであちこちぶつけちゃってさ。いやまあ、あいつの運転が悪いのは百も承知なんだけど……でも、そこはあんたに聖剣を届けに来てぶつけた訳だから、あんたにも責任はある訳で……ほら、分かるだろ?」
「あ、あぁ……」
戸惑う勇者相手に、淡々と告げられる青年の言葉。
「何だ、物わかりの悪い奴だな。そうだな、もし薬なり何なりがないのなら……」
それは間違いなく。
「何か金目の物でも良いんだぜ?」
カツアゲであった。
「先輩ー! 行きますよー!」
「ちょっと待ってろ! 今すぐ行く!」
「あっ、ちょっと! それは……!」
「安心しろ、悪用はしない。むしろお前よりも上手く使ってやるから大丈夫だ!」
「いや、そういう問題ではなくて……!」
「せーんーぱーいー!!」
「分かってるっての!」
少女に呼ばれて、青年は勇者から離れ、軽トラックの方へと走って行く。
その青年の懐には、先程まで存在していなかった膨らみが……まるで、勇者から何かを無理矢理奪い取ったかのような膨らみが存在していた。
「待たせたな」
「遅いですよ」
青年と少女の二人が乗り込むと、軽トラックは、命を得たかのように動き出す。
そして、四つのタイヤが急速に回ると、再び凄まじい速度で走り出す。
魔王の部屋の壁へ向かって、だ。
危ない、と勇者が叫ぼうとした瞬間にはもう遅かった。
軽トラックは、魔王の部屋の壁に高速で激突……しなかった。
壁にぶつかるかと思った瞬間、軽トラック全体が、青白い光に包まれる。
それは、軽トラックが突然出現した時にも帯びていたのと同じ光。
その青白い光が、魔王の部屋中を満たし、勇者の目を眩ませる。
「――ッ!?」
数秒置いて、光が晴れた時。
軽トラックは消えていた。
部屋の壁に激突したという様子も無い。
魔王の間を、静寂が支配する。
まるで、最初から何もなかったというように。
何もかも、夢だったように。
言葉を交わした筈の二人が、幻だったかのように。
しかし、勇者の手の中には、確かな手応えが残っている。
伝説の聖剣クーゲルシュライバー。
あの少女が言うには、バージョンⅡの、手応えが。
「う、ううむ……」
「ま、魔王!!」
勇者の背後で、気を失っていた魔王が起き上がる。
全身が痛むのか、身体のあちこちをさすりながら起き上がった魔王は、しかし立った瞬間に以前の威厳を取り戻していた。
再び、あの圧倒的なオーラが全身から迸る。
軽トラックで撥ね飛ばされ、気を失っていたとは、とても思えない。
起き上がった魔王を見て、勇者も聖剣を構える。
たった今、受け取ったばかりの聖剣を。
それだけで、全身に力が溢れるのを感じる。
「フ、フハハハハ、勇者よ、何があったのかは知らないが、まさかこれで終わりだと思ったのではあるまいな! 我は、軽くここではない何処かの世界で無双して来たばかりのように力が満ち溢れているぞ! さあ、続きを始めようではないか!!」
魔王は笑う。
腰の辺りに手をやったままで。
「そうだな、魔王。何か良く分からないことがあったような気がしたが、そんな事はどうだっていい! 俺はお前を倒し、世界を救うことに、全てを注ぐ!!」
勇者が笑う。
再び手にした聖剣を握りしめて。
「フハハハハ! 何故か全身が痛むが、貴様を倒すことには何の支障もない!!」
「どうせ故郷に帰ってもどうしようもないが、魔王よ、お前だけは倒す!!」
「フハハハハ! 血祭りに上げてやるぞ、勇者よ!!」
「掛かって来い、魔王め! 行くぞぉぉぉぉぉぉ!!」
そうして、二つの影が激突する。
光と闇の、果てしない戦いが、再び始まるのだ。
一つの介入によって、運命の変わったその戦い。
一つの世界の行く末。
しかしそれは、語られることのない、別の話。
本当の物語は、ここから始まる。
次元の狭間を、世界の果てを。
軽トラックで駆けながら、世界を救うアイテムを配達していく。
彼と彼女の物語は。
◆ ◆ ◆
「それで先輩、さっきは勇者さんと何を話していたんですか?」
「……別に、大したことじゃねぇよ」
軽トラックの車内にて。
ハンドルを握るオレンジ髪の少女は、助手席の黒髪の青年に話しかける。
「どうせ、また恩着せがましいことを言って、金品を要求したりしていたんでしょう。止めて下さいよそれ、後で問題になるんですから」
「ふん、どうせ安い給料で馬車馬のように働かせられてるんだ、これぐらいの役得がなけりゃやってられるかってんだ」
「ダメですよ! 規則なんですから!」
「いいじゃねぇか、減るもんじゃないし」
「絶対、何か減っていると思いますけど……先輩が何かやらかしたら、連帯責任で私にもペナルティが掛かるんですからね!」
少女の真剣な言葉に、青年は取り合おうとしない。
「ペナルティは酷いんですよ! お給料が半分にされちゃうことだってあるんですからね。パートナーとして、ちゃんとお仕事して下さいッ!!」
「都合のいい時だけパートナーなんて呼びやがって……ん、ちょっと待て。もしかして、今月の、俺の給料が半分になっていたのは……まさかお前のせいか?」
「パートナーですから!!」
「その言葉で何でも乗り切れると思うなよ!? 一体何をやらかした!! 何で給料が半分に減るようなことになるんだよ!!」
「ちょっと失敗しただけですよ?」
「本当にちょっとなのか?」
「ええ。配達前にちょっと本社の格納庫でガジェットの練習をしていたら、ちょっと調子が良いみたいだったので……」
「だったので……?」
「ちょっと複数起動とか挑戦したりして……移動系と攻撃系を同時に使ってみたら、ちょっと暴走しちゃって。ちょっと空中に投げ出されちゃったんですよね。でも、配達品や軽トラの上には着地できないから、何とかして、何もない地面に落ちようとしたら……ちょっと……格納庫の地面に大穴を空けてしまったんですよね」
「大事じゃねぇか! っていうか、あの穴空けたのお前だったのかよ!!」
「嫌ですね先輩、ほんのちょっとだけですって」
「何がちょっとだ。そのせいで俺の今月の給料が……! 給料が……!」
「おかしいですよね」
「ああ、おかしいな。お前の頭が!!」
「どうしてあの時、助けに来てくれなかったんですか? ほら、先輩は色々とガジェットの使うのが得意なんですから、何とかしてくれれば良かったのに。パートナーとして!!」
「その言葉で誤魔化そうとするなよ!!」
「さ、無駄話はこれくらいにして、次の配達先に行きましょう。先輩の再来月分のお給料を元の金額に戻す為に!!」
「来月分まで減らされるのが決まってるの!?」
世界を巡り、求めに応じて、あらゆるものをお届けする。
太陽も月も、星も命も、あらゆるものをお届けする。
全ての品物に、在庫切れはなく。
どんな世界の果てまでも、送料無料のお急ぎ便で。
古今東西、森羅万象、何もかもを取り揃えて、軽トラックでお届けする。
それは、次元を越える通販会社。
多元世界干渉通販会社『Otherwhere Zone』、通称『OZ』。
これは、そんな『OZ』で働く、とある配達員達の物語。
一人の先輩と、一人の後輩。
苅家ヒビキと、絹和コハネ。
二人の配達員が織り成す配達記録の、始まりである。
つづく
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