愛憎珈琲殺人事件
波多野琴子
はじめに
探偵小説が推理小説と呼ばれるようになって久しいが、推理小説というとどうにも浪漫とやらに欠けるのではなかろうかと私は危惧している。しかし、探偵小説と名を戻したところで、やはり物語の面白さは書き手の腕に依ってしまうようである。実際、推理小説と銘打っても面白いものは面白いのだ。
さて、先日、私は非常に興味深い事件、そして探偵小説狂の私の心を擽るような、ある探偵たちの話を聞いた。私に、かの巨匠、江戸川乱歩や横溝正史のような文才があれば、その話を素晴らしい「探偵小説」に仕上げることができるのだろうが、残念ながら私の拙劣な文章ではそれも難しい。読者諸賢には予めそのことを念頭に置いて頂ければ何よりである。
この事件というのは友人のA君に聞いたのだが、私のような素人の物書きでも書かずにはいられないというような面白い事件であった。いや、むしろ、私が面白いと感じたのは、この事件というよりも、この事件を鮮やかに解決したという若い探偵気取りと、幼く可憐な少女のことであったかもしれない。しかし、どちらを中心に書くにせよ、この事件のことも二人の探偵のことも、どちらも詳細に書かねばならぬ。私の乏しい文の才で、どれ程読者諸賢にこの興奮を伝えることができるだろう、というのが私の中で最も不安な箇所であるが、そこのところは最善を尽くしたいと思う。
私が小説を書くにあたって、なかなかに面白い話を提供してくれた友人、A君には非常に感謝している。はてさて、私のような素人でもこの事件を書ききることが出来るかどうか、甚だ疑問ではあるが、先ほども書いたように、兎に角最善を尽くしたいと思う。
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