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初めのころ、私は本当に傲慢で嫌な女だったと思う。


私は、聡とのデート中、少しも楽しそうにしなかったし、口下手な聡が一生懸命冗談を言っても微笑みもしなかった。


連絡だって自分からはしなかったし、デートの後送り届けてくれた聡にお礼のメールも送らなかった。


それでも、何が良かったのか、聡は根気強く連絡をよこし、定期的に私を誘った。


短大を卒業して、すぐに今勤めている代理店に就職した私とは違い、聡はまだ大学生だった。


デート代はアルバイト代でまかない、車は親からの借り物。


別れた元カレは2つ年上だったから、聡が子供っぽく見えて仕方なかった。


そもそも、私たちは、友達以上恋人未満という関係でもなかった。


最初の頃は肉体的な関係はもちろん、手をにぎりさえしなかった。


私は聡を本田君と呼び、聡は私を一戸さんと呼びあった。


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