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そんな私を心配した友人の1人が紹介してくれたのが聡だった。
聡の第一印象は、元カレとは正反対のタイプ。
その頃の私は、全てが元カレ中心に回っていた。比べる基準は元カレで、元カレより背が低いとか、元カレより顔がいけてないとか、元カレよりもお洒落じゃないとか…。
初めから聡個人を見つめることはなく、むしろ、聡を通じて、元カレを見つめていたのだ。
そんな私を、聡はデートに誘ってくれた。
正直、乗り気ではなかった。
でも、私は誘われるまま食事へ行き、映画にも行き、ドライブもした。
少しも楽しくはなかったけれど。
それでも聡とデートを重ねたのは、一人きりでいることに耐えられなかったからだ。
元カレは、私と過ごした時間や約束など忘れ、新しい恋にはしゃいでいるだろう。
新しい彼女を、お気に入りのハンバーガーの美味しいカフェには連れて行っただろうか。
得意のラブソングはもう披露したのか。
将来の約束事をベッドの中で囁いているだろうか。
かつて、私にそうしてくれたように。
そんなことを一人でいるといつも考えていた。
だから、私は誰かと一緒にいたかった。一人の時間を恐れていたから。
ようは一緒にいてくれるなら、誰でもよかったのだ。
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