スノウ
自分が
私は深海に生まれた。
当然ながらそこには、
傘は売っていない。
浮かび上がって、そして、這いずって、傘を買いに行くには勇気が足りなかった。
少し深すぎたし、肺も強くはなかった。
何より、この深海で息吹き続けることが私にとっての全てなのだと固く思い込んでいた。
そして実際に私はそうした。
スノウは堆積を続け、私はそれがために緩やかに意識を失っていき、深海に自分を留め置くことすらできなくなった結果、自然的調和のままに、私の体は静かな浮上を続けた。深海を脱する頃には、もはや私は何の意識も感覚も持ち得なかった。浮上の過程でスノウはわずかずつ零れていったが、私の体は深海で生きる為にしかできあがっておらず、もはや自我を取り戻すことはかなわなくなっていたのだ。それらは全て、私が傘を持ち得なかったせいだと断じてもいいのだろうか。
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